9月10日は大阪茨木、翌11日は千葉美浜でそれぞれ演奏会があります。共通点は、ラフマニノフ作曲のパガニーニの主題による狂詩曲。ひとつの協奏曲を異なるソリストとともに連日演奏する機会というのは、約30年の奏者歴で初めての経験です。
茨木では米津真浩さんがピアノを演奏します。長年のコンビで強固な信頼関係が築けていることに加え、つい先日共演したばかりなので、むしろリラックスし過ぎることのないよう、気を引き締めていくつもりです。
美浜でピアノを演奏する青柳晋さんとは、今回が初共演。卓越したピアニストとして名を馳せるだけでなく、次世代のスーパースターを育てる大先生の顔もお持ちなので、普段から青柳先生とお呼びしています。
初リハーサルはこの上なく緊張しました。少しはいいところをお見せしたいのに、まるでダメな姿しか出せず、穴があったら入りたい気分でしたが、青柳先生は何を感じたにせよ、私に恥をかかせるようなことはなさらず、見事にまとめてくださいました。
どう振る舞おうとも、何もかも見透かされているのははっきりとわかるので、2度目のリハーサルでは、もうカッコつけるまでもなく、青柳先生のダイナミックな音楽に、ガツガツと食い込んでいく冒険を楽しみました。
そう、青柳先生はピアニストでありながら、稀代のバリトン歌手のような太い音楽を見せてくれるのです。米津さんと合わせる時の安心感や協調性とはまた一味も二味も違う感覚は、音楽の仕上がりにも顕著ですので、ぜひ連続で聞いていただきたいものです。
神田将リハーサル名物「エレクトーンを弾かない人がエレクトーンを弾く部屋」も、青柳先生にお付き合いいただきましたが、たちまちいい音を出されてびっくりしました。チェンバロやオルガンは、まるでそのものに聞こえますし、面白そうにシンセの音を選んで未知との遭遇を弾かれるなど、たくましい遊び心も。そんなお姿にも刺激をいただきました。
さて、茨木ではサクソフォンの波多江史朗さんとリュエフ作曲コンチェルティーノも披露いたします。ラフマニノフの音楽と並ぶと、これまた軽快さや洒落た感じが際立ち、フランス音楽の魅力を再発見できるように思います。どうぞご期待ください。