Songs from My Heart 渋谷

渋谷でのコンサートが終わりましたが、ひとりになってからも、リハーサルから終演までの出来事を何度も思い出し、ああすればよかった、ここが足りなかったと、膨大な反省点にため息。そこに届いた元弟子の星野隆行が撮影してくれた写真には、何とも楽しそうなショットがたくさん。それを見て、くよくよするのはよそうと思いました。

演奏会は「こうもり」序曲からスタート。ニューイヤーコンサートらしく華やかに楽しく。演奏後のおしゃべりも、いつもよりハイテンションかつスパイシーに。

中安さんは日本のうたを5曲。途中、昨年の留学先イタリアでの珍体験を語り、会場を大いに沸かせてくれました。終演後には、中安さんの歌声が一段とグレードアップしたとの感想がたくさん寄せられました。

第1部後半は、大森智子さんの代わりに私のソロ演奏で、「展覧会の絵」を。弾くには凄まじいエネルギーが必要ですが、後半にも体力を取っておかなければなりません。でも、それどころか、弾く前から燃料切れ警告ランプ点灯。で、弾きながら生まれて初めてのホワイトアウト体験。ある瞬間、「今、自分は何をしているの?」とわけがわからない状態に。ほんの数秒で戻りましたが、その数秒が私には永遠に思えました。

第1部を終えて楽屋に戻り、まずは水分を。そして次にチョコレートを。同時通訳の人たちは、交代休息時にチョコレートが欠かせないと聞いていましたが、これほど即効性があるとはビックリ。再度気持ちを引き締め第2部へ。1曲目の華麗なる大円舞曲は、懸念していたよりもいい気分で弾き終えました。

続いて藤原さんのピッコロで、ダマレの作品から2曲。演奏前には、藤原さん自身からピッコロの魅力や作曲家ダマレの紹介があったので、お客様も一層興味深く楽しめたことと思います。

中川さんは、フォーレとクライスラーの作品を。クライスラーはバイオリンのための作品なので、息つぎの箇所などで悩んだと言っていましたが、とても自然な流れがあり、中川さんらしい上品さが漂う演奏でした。演奏後のおしゃべりでは、演奏時とは違うリラックスした表情も。

絶好調なのはおしゃべりだけ?いいや、そんなことはありません。でも、次第に気分も盛り上がり、やっと楽しくなってきたところで、もう終曲。ドップラー作曲のフルートデュオ作品は、締めくくりに相応しいグランドワルツ。

今回もベテランプロデューサーによる小粋なプログラムで、たいへん魅力的なコンサートとなりました。でも、問題がひとつ。このコンサートをあるべき姿で成功させるには、私の力量では不足だということ。まだまだ努力が必要です。

アンコールでは、出演者4人に会場のお客様も加わり、一月一日を大合唱。正月ムードに縁のなかった私は、やっと新年の実感を味わえました。

このシリーズも、早いもので来年には10周年を迎えます。記念コンサートは来年に計画していますが、その前に通常のシリーズ公演をもう一度開催します。6月29日の日曜日。それまでに、私自身をグレードアップしておくことをお約束します。