ちょっと先の話ですが、10月5日に、東京豊洲シビックセンターホールにて、ピアニストの米津真浩さんとともに、ラフマニノフ作曲のピアノ協奏曲第2番と第3番を演奏するコンサートを開催します。
今回、共演者に米津さんを選んだのは、私自身が米津さんのピアノのファンだからです。もう付き合いも10年になり、その間、彼の変化や成長も見てきましたが、初めて出会って演奏を聞いた時の第一印象が色あせることはありません。
彼が自分で意識しているかどうかは知りませんが、いい意味で必死に音楽を求めてどこまでも深く踏み込んでいる印象があり、演奏を聴いている側もその域に一緒に引き込まれていく感覚になります。人から触れられたことのない、自分の内面のグッと掴まれるような感じ。それでいて、聞き終わった後、つまり音楽が終わった後には、世紀の対戦を見終わった時のような清々しさと高揚感が溢れてくるのです。そして、それが最も強く表れるのが、ラフマニノフ作品だと思います。
コンサートでは、ソロメインでもコンチェルトでも室内楽でも、とにかく米ちゃんの思うプログラムを考えてくれればいい。ただ私の出番も少しは残してね。リクエストはそれだけでした。で、何やりたい?と改めて聞くと、2番と3番をやりたいですとの返事。そう、私の期待通りでした。
私はコンチェルトの相手として、オーケストラの向こうを張るつもりは毛頭ありません。むしろ、オーケストラには困難なところを実現したいと考えています。
私はコンダクターであると同時に、全楽員の立場を担いますが、所詮はひとり。ですから、米津さんとは、ソリスト対オーケストラではなく、ソロ対ソロ、イーブンなデュオでいられます。
そして、私は対するソリストのことを徹底的に研究して演奏にのぞみます。米津さんのことは10年に渡り観察していますから、彼がどのように弾きたいのか、どんなラフマニノフを目指すのかを、じゅうぶんに理解しています。
さらに、本番までに、何度もリハーサルを重ねられます。これが対オーケストラなら、せいぜい数度の合わせで本番ですが、私となら納得がいくまで練り上げることが可能です。
もちろん、リハーサルが多ければいいというわけではなく、本番での化学反応も欠かせませんが、それに対しても極めて鋭敏な反応を示せるので、演奏中の意思疎通が図りやすく、互いをリアルに尊重しながら進められます。
このようなグランドコンチェルトを、300人だけの空間で親密に共有できる機会は、そうあるものではありません。大規模な演奏会ではなく、わずか300人のために過酷なプログラムに挑む米津さんの意欲にもご注目ください。
オーケストラ共演の時には発揮し切れない本当の米津真浩が、この日、顕わになるはずです。私としては、エレクトーンの演奏能力や編曲能力ではなく、共演者を最高に輝かせる手腕をぜひ見ていただきたい。それが1×1=∞シリーズです。ご来場、お待ちしております。
※クラシック音楽をメインとするエレクトーン演奏家を目指す25歳までの方、4500円のチケットを100円に優待します(数量限定)。私の演奏が好きでなくても構いません。なぜ神田将はこんなにあちこち出演できるのか、その理由を見つけて、自身の将来に役立てて欲しいと思っています。上手く弾くとか、いい音出すとかも大事ですが、それだけではよい仕事には恵まれません。来てくれる方は、メールやSNSダイレクトメッセージでプロフィールを添えて連絡ください。待ってます。
2019年10月5日(土) 14:30開場 15:00開演
豊洲シビックセンターホール
4,500円 全席指定
詳細はチラシ画像をご覧ください。