冷たい手

演奏会でステージに出る直前、いつも気になるのは手の冷たさです。
ただの冷え性なのでしょうけれど、体が温まっているのに、手だけが冷たいと、これで思い通りに動いてくれるだろうかと不安になります。

事実、冷たい手は動きが鈍り、細かい音列や同音連打の精度が悪くなるので、楽屋を出るまでに、お湯の入ったカップや熱いオシボリを使って手を温めます。

あまり温めすぎると今度は汗をかいて滑りやすくなってしまうので、ほどほどのところで止めておかなければなりません。

ところが、どんなに手を温めても効果がなかったこともあります。
それは氷点下の屋外で演奏した時。
もう鍵盤が凍っているという感じで、触れるたびに、氷をつかんだ時のように、皮膚が張り付くような感触でした。

また、手が冷たいと感じるのは、冬や寒冷地でのことと思われるかもしれませんが、実際には季節を問わず、どちらかというと、午前中が要注意です。

終演後までには手はポカポカになっているので、お客様と握手をする時には、ちょっと汗ばんでいるかもしれません。
こうして、お客様と握手をするたびに、おひとりおひとりから元気とパワーをいただいているような気がします。

今日はホテルステイ。
ルームサービスで夕食を注文しましたが、「30分から40分でお届けします」とのことだったのに、1時間半経ってもまだ来ません。