東京で空を青いと感じたのは久しぶりでした。
こうもすがすがしいと上ばかり見てしまいますが、ふと地上に目を戻すともう葉が出始めた河津桜が咲いていました。枝にはうぐいすの姿もあり、春を胸一杯に吸い込みたくなります。
今日は、今年の上海国際芸術祭出演に向けての、作戦会議がありました。芸術祭事務局では現在、人選や企画が着々と進んでいるようです。
芸術祭への出演を目指して、さまざまな人々が攻防を繰り広げる中、これまであまり前例のない2年連続の出演を実現させるために、心強いエージェントが火花を散らす交渉を続けてくれており、その状況を聞く度に、嬉しいやら申し訳ないやらで胸がいっぱいになります。
加えて、北京国際音楽祭も視野に入れて粘ってみると、これまた夢のような話に向け具体的に前進し始めてくれていて、こうした周囲の努力に報いるには、私こそボケっとしていられないと、身が引き締まる思いがします。
つい昨年まで、こうした芸術祭や音楽祭は、私にとってだけでなく、エレクトーンという楽器にとって、夢のまた夢の世界でしかありませんでした。
それが、昨年は仙台クラシックフェスティバルと上海国際芸術祭という憧れの祭典に、ダブルでエントリーさせてもらうことができ、私にとっては夢のまた夢がふたつも同時に叶い、生涯忘れられない素晴らしい経験になりました。
世界中から集まったさまざまな楽器や感性に触れ、その多様性に目を見張り、圧倒されながらも、その中に滔々と流れる「音楽という共通言語」の血潮を強く実感したことで、私の人生観も大きく変わったような気がします。
楽器、歌、舞踊、芝居、それぞれに表現のツールは違っても、心の一番深いところにまで届くのは、手法でも個性でもなく、つきつめればどれも同じ本質であることに気付かされたのが、一番大きな発見でした。
以来、私の演奏の主軸は、「自己表現」から「自分がツールになりきる」という視点に激変しました。それによって責任も痛感するようになりましたが、不思議なことに同時に自由さも手に入れました。
今年ももし上海が実現したら、そして北京が奇跡的に実現したら、どのような体験が待っているのでしょう。決まってもいないのに、とても楽しみで仕方ありません。昨年の経験を生かし、更なる冒険にチャレンジしてみたいと意欲を燃やしています。
打ち合わせ場所が神谷町だったので、少し早目に出かけてお気に入りレストランでランチをしました。
ディナーには何度か訪ねていますが、ランチは初めてです。
店の名は「はれるや」。
微妙に和のDNAが感じられるモダンな隠れ家的レストランですが、私にとっては料理とサービスがしっかりしているところが魅力です。
こちらのイチオシは何といっても「お肉」。
食肉卸問屋がやっている店ですので、肉の品ぞろえには思い入れがあるようです。
通常ならケーキが置いてありそうなショーケースには、お肉たちがドーンと並んでいて、それらを実際に目で確かめてから注文することもできます。
ディナーならば、サンプルお肉からチョイスするのも楽しいですが、今回ははランチタイム。しかも、店を出るまでに40分しかありません。
マネジャーにそれを告げると、1,100円のワンプレートランチを勧められましたが、せっかくなので、2,200円の「まんぞくランチ」を注文しました。
コース仕立てですが、今日に限ってはなりふりかまわずバンバン出してねと頼みました。
やはりランチタイムはワンプレートランチが人気のようです。
ボリューム感もあって、手ごろなプライスが普段使いに嬉しい限り。
しかも、デザートとコーヒーまでついています。
このお得感をさらに高めているのが、ホテル仕込みのテーラードサービス。
1,100円のランチで、恭しくイスを引いてもらい、清潔なクロスのかかったテーブルに向かえるなんて、なかなか出会えるものではありません。
残念ながらこのサービスをさりげなく自然にできるのは、現在のところマネジャーひとりなので、洗練されたサービスを受けるにはマネジャーの気を引く必要があります。
というと、他のスタッフが悪いように思われるかもしれませんが、決してそうではなく、彼がひとり素晴らしすぎるのです。
他のスタッフは、またとない手本が目の前にあるのですから、ぜひたくさんのことを学んでほしいと思います。
「まんぞくランチ」は、前菜2皿、スープ、お肉料理、デザート、コーヒーという内容。
今日の冷製オードブルには黒トリュフも使っており、ケチってない印象です。
メインの肉も、適度に歯ごたえがあって好みに合っていました。
このランチ、ホテルで食べたら5,000円くらいは取られそうです。
急がせたにもかかわらず、タイミングを逃すことも、サービス手順を狂わせることもなく、心地よいテンポ感で食事ができました。
コーヒーを飲み終えると、ちょうど出発時間の3分前。短い時間でしたが、充実したランチタイムとなりました。