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| ウォルドルフ・アストリア上海オン・ザ・バンド King Deluxe River Room | |
| Waldorf Astoria Shanghai on the Bund | 2011.04.01(金) |
| Shanghai, China | 喜-5 |
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ARCHIVES ・ 1992 |
新旧の気品と風格 3ヶ月ぶりのウォルドルフアストリア上海。今回の上海訪問では、4月2日からのヒルトン上海ステイが手配されており、自己都合でホテルを変更するわけにはいかなかった。しかし、どうしてもウォルドルフアストリアでひとときを過ごしたいとの思いが通じたのか、一日早く上海入りすることになり、迷わずウォルドルフに予約を入れた。
ウォルドルフでのステイは、スタッフたちの恭しくも親しみのある歓迎からスタートした。まだ2度目の宿泊にもかかわらず、多くのスタッフが顔を覚えていて、名前を呼び掛けてくる。前回、部屋付きのバトラーだった青年も、ロビーですれ違う度に「ご用があれば何なりと」と頼もしい限りだ。
館内の雰囲気は、年末年始だった3ヶ月前に比べると落ち着いていた。この日は天候も穏やかで、正面玄関のシャンデリアが風に煽られてカランコロンと音を立てることもない。鏡面のように磨き上げられた大理石の床は、人の往来が途絶えるとすぐにモップが掛けられる。ダスキンマットなどが敷かれているでもないのに、どうしていつもキレイなのかと不思議に思ったが、その秘密は頻繁な清掃にあるというわけだ。
ロビーはエレガントで実に美しい。高級感を漂わせながらも、デコレーションは控え目。重厚感ではなく、あくまで繊細さが前面に出ており、何かにつけて慌しい上海の雰囲気とはまるで別世界の穏やかさだ。
チェックインはフロントカウンターで。サインのみのスピーディーな対応だった。次いでパーソナルアシスタントがカウンターから出て来て、自己紹介をした後に部屋まで案内するという段取り。これでもう少し手慣れてくれば、インルームチェックインも可能になるかもしれない。
フロントロビーのみならず、館内には甘い香りが漂っている。その香りはかなり濃厚で、好みが分かれるところではないかと思われる。とりわけ鼻が敏感な者にとっては、慣れるまでが苦痛だった。その分、新鮮な花や淹れたてのコーヒーなどに触れた時には、鼻がくつろいでいるのを強く実感する。まあ、ある意味、嗅覚にメリハリがついていいのかも。
前回は旧館のスイートに宿泊したが、今回はタワーの標準的な部屋を利用した。タワー客室階へは、フロントロビーに面したエレベータホールから上昇する。エレベータホールの床には、ウォルドルフのマークとともに、見事なモザイクが施されている。
タワーのエレベータは4基。客室は200室程度なので、じゅうぶんな数だといえる。それぞれのカゴは大きく、内装も立派。各エレベータホールも、石の枠組みのある豪華な造りだ。
客室廊下の両隅に窓ガラスがあって、自然な光が差し込んでいる。廊下は邸宅風の落ち着いた内装。客室扉は艶出しのマホガニーで、獅子頭のドアノックが取り付けてある。
標準客室は約50平米。建物外観に若干の凹凸があるので、同じカテゴリーの部屋でも広さにばらつきがあると思われるが、客室内設備には大きな差はないそうだ。今回アサインされた部屋は、建物の両隅に近く、部屋の奥行きが比較的長いタイプ。じゅうぶんに広く、じゅうぶんに快適な部屋だ。
インテリアはクラシカルでゴージャス。それでも、旧館の超ゴージャスな内装と比べると、モダンでさっぱりとした印象で、よりホテルルームらしい機能性が感じられる。
しかも、これだけ装飾性の高い内装でありながら、下品になるどころか、センスのよいまとまりを感じさせるのだから、たいしたものだ。ひとつひとつの備品のクオリティが高く、部屋全体の質感を引き下げるようなものは存在しない。
塗り壁のボードや装飾板を張り巡らせた天井など、壁紙一色ではなく変化のある凝った壁面を演出している点も効果的。照明はシーンによるコントロールが可能で、シンプルなスイッチ操作だけで、時間帯やシチュエーションに応じた照明設定ができるのが便利。
ベッドの寝心地は最高。清潔で肌触りのいいベッドリネン、体を包み込むマットレス、やわらかい照明と枕元のガス入りガスなし両方の瓶入りミネラルウォーターなどが置かれ、眠るのがもったいないほどの環境だ。テレビはベッドの目の前。ブルーレイプレイヤーも備わっている。
窓際に設置されたワークデスクには、ふたつのレザーソファが向かい合わせにセットされている。机上には蘭のアレンジメント。サイドボードにはステーショナリーやメディアステーションが用意されている。
窓際にはオットマン付きのソファ。シルク生地の鋲打ち仕上げがエレガント。サイドテーブルには、山盛りの金柑が置いてある。
冷蔵庫はテレビ下のキャビネットにあるが、エスプレッソマシンやティーセットは、ホワイエ側のコーナーに設置されたコンソールに用意されている。
ウェルカムチョコレートと、ガラス瓶に入ったクッキーと麦チョコ。これらは無料。もっと欲しい時は、客室係に言えば補充してくれる。
引き出しにはエスプレッソマシン用のカセットが6個と、6種12個のティーバッグ。カップ&ソーサーは、下の飾り棚に収められている。
テレビ下の冷蔵庫にはソフトドリンクや白ワインが豊富に入ってるが、最下段が空にしてあるのがありがたい。他に、ミニボトルや赤ワイン、数種類のグラスが用意してある。
入口ホワイエ部分は大理石床と塗り壁。コンソールデスクには、胡蝶蘭の鉢植え。居室のぬくもり感とは対照的に、白をベースにした引き締まった空間だ。
バスルームは両開きのフレンチドアを引いてアクセスする。ドアの取っ手も凝っており、バスルームというより、もうひとつの部屋に通じているかのようだ。
バスルームは白い大理石仕上げ。バスタブの上部だけは、居室と同じ壁紙を張っている。斜めに配置されたバスタブがバスルーム空間に変化を感じさせるが、同じカテゴリーの部屋でも、斜めになっているのはごく一部らしい。
バスタブ上の丸窓は、ボタンひとつで曇らせることが可能。シースルーというよりは、明り取り的な役割だが、ユニークな形状が存在感を醸している。
バスタブはどちら側にでも寝そべられるシンメトリーな形状。床に滑り止めがなく、バスタブ縁が厚いので、年配や女性はまたぐのに苦労するかもしれない。
ベイシンは2面。ミラーには液晶テレビが埋め込まれており、身仕度をしながら画面を見ることができるが、バスタブやシャワーブースからはあまりよく見えない。充実したバスアメニティや豊富なタオルを備えるほか、4本のミネラルウォーターが置かれている。
ベイシンの両脇には、それぞれシャワーブースとトイレがある。トイレの方には大型の姿見とバスローブ。姿見の効果で、広いバスルームが一層広く見える。
シャワーブース内も、大理石仕上げ。一部、柄を揃えてあり、中国のホテルにしては施工が丁寧だという印象。ハンドシャワーは角度がコントロールしにくい。天井にはレインシャワーもある。
トイレは磨りガラスで仕切られた個室。バスタブ同様に、下半分が大理石、上は居室と同じ壁紙。小さな中国風のテーブルに観葉植物が置いてあり、これがいいアクセントになっている。トイレには洗浄機能付き便座を備えている。
バスルーム扉の内側はミラー張り。これを閉じておけば、ベイシン前のミラーと合わせて、背中を見ることができる。角度によっては、三面鏡の役にも。
クローゼットはウォークイン型。床とバゲージ台は大理石製。さほど広くないが、かなりの収納力を持つクローゼットだ。室内金庫や、引き出しもここに集約されている。木製のシューキーパーや、ふかふかのスリッパも便利。
そして、この部屋最大の魅力は何と言っても眺めにある。タワー高層階の黄浦江側からは、息をのむ景観をのぞむことができ、世界中からの観光客を魅了してやまないバンドの景色を独占するような気分を味わえる。
見下ろせは古い建築物が、川の対岸には近未来的な高層ビル群が見え、夜ともなれば、まばゆいばかりのライトアップやビルの壁を使った華やかなコマーシャルが、不夜城上海の活気をアピールする。
少し脇に目を移せば、川沿いに続く遊歩道の様子もよく見える。ひっきりなしに通り過ぎる車と、遊歩道をのんびり歩く人々のコントラストが面白い。歴史的建築物のライトアップを、道沿いとはまた違った角度から眺められるのも興味深い。
タワーに滞在中でも、時折旧館を訪れ、新旧で放つ雰囲気の違いを感じれば、双方の魅力が一層浮き彫りになってくる。重厚感のある旧館には、時を超えた気品が漂っており、何時間でもそこに留まっていたい気分になる。
特に夜が更けてからは、ほとんど人の姿がなくなり、世俗から遠く離れたところを訪ねているかのよう。石床に響く自分自身の靴音だけが耳に入ってくる。
2階にはライブラリー風の部屋があり、そこは夜がとりわけ心地よい。ふだんは宴会の待合い室に使われているが、ここで小さなパーティが催されることもあるようだ。
抑えられた照明に、100年の時を超えた建物の風格。そこに点在するモダンなイスや額のアートたちが、21世紀の上海を物語る。昔の人たちは、ここで何を語りあったのだろうか。
前日まで過ごした北京の宿があまりにも酷だったこともあり、ウォルドルフでの1泊は天国にも勝る心地よさだった。次回の滞在チャンスをまた心待ちにしたい。 |
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このホテルに関する過去のレビュー |
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