ホテルクラウンパレス秋北 Deluxe Single Room
Hotel Crown Palais Shuhoku
2009.09.17(木)
秋田県大館市
喜-3

 
羽後の正統派ギャルソン

秋田県に来て5日目。毎日車で県内を縦横無尽に移動していると、初秋の風景に心奪われると同時に、乗り心地の悪い車に体力と気力を奪われる。だが、それも最後の夜を迎えた。秋田ツアーも翌日の2ステージを残すだけとなり、感慨にふけった。

大館のバスターミナルに併設された今回のホテルは、かつて秋北ホテルと名乗っていたという。今ではインド系出身の帰化人が営むHMIホテルグループであるクラウンパレスの名を冠するようになったが、以前とあまり雰囲気は変わっていないようだ。

到着した際、駐車場に車を停め、そこからバスターミナル内を通ってホテルへ入ったのだが、そのルートがいささかわかりにくかった。バスを待つ老女にホテルの場所を尋ねたら、親切に教えてくれたのだが、今来たルート以上の近道はない様子。結構遠く感じられたのは、そろそろ疲労が危険水域まで蓄積してきたからだろうか。

ロビーは広々としており、大理石を敷き詰めた立派な空間だ。長いフロントカウンターの外には女性ベルアテンダントとマネジャーが立って控えており、その背後には十分なソファーやイスが用意されている。一角には自動演奏のアップライトピアノがあり、その上は吹き抜けになっていて、落ち着いたロビーラウンジも設けられている。

全体にレトロな雰囲気だが、初めて訪れる辺境の町には、モダンテイストよりもノスタルジックなムードの方がしっくりくる。

用意された客室はコーナーにあるデラックスシングルルーム。広さは20平米程度だろうか。室内は改装が済んでおり、フローリング床に改められている。シングルルームと奥行きは同じだが、横幅が広く取られているらしく、ベッドは入口に対して横向きに設置している。

だが、それには横幅が足りずに、ベッドの足もとあたりが少しはみ出してる状態。入口付近の幅には余裕があり、クローゼット前は広々と感じられる。ベッドと窓の間にはアームチェアとコーヒーテーブルがあり、ダークブラウンのデスクユニットには小さな液晶テレビが載っている。

電話機はベッドサイドではなく、デスクにのみ設置。デスクに照明スタンドはなく、ダウンライトで照らしてる。室内照明はシーリング。あとはベッドの両脇に設けられたナイトランプという照明プランである。

バスルームはかなり旧式。ベイシンの形状が懐かしさを漂わせ、金具類にも年季を感じるが、清潔感に不足はなかった。館内には小さいながら浴場が設けられている。男性用は5階、女性用は4階にあって、18時から23時まで利用可能。男性用は出入り自由だが、女性用はフロントでキーを借りる仕組みのようだ。

夕食は最上階12階のレストランへ。田舎のドライブインのような雰囲気で、テーブル席の他にこあがりもあり、客は思い思いにくつろぎながら過ごしている。メニューは居酒屋と大衆食堂が合体したような内容で、料金はとても手ごろだ。豆腐ハンバーグの和膳を注文したが、豆腐ハンバーグは揚げ出し豆腐そのものだったのはガッカリ。

そんな中、気になる給仕がひとりいた。50代と思われるその男性は、キビキビとした身のこなしで、片腕にトーションを下げた昔ながらのギャルソンスタイルを守っている。客にやたらと愛想を振りまいたりしないが、まったく嫌味のない安心のサービス振りには惚れ惚れする。こうした振舞いのできる給仕は絶滅寸前。まさか秋田の町でこのようなサービスに出会えるとは思いもよらなかった。

朝食は同じレストランで提供される。入口で朝食券を渡すと、卵料理のオーダーを尋ねられ、あとはブッフェスタイルで自由に取り分ける。特段心惹かれる料理があるわけではないが、前日のひどい朝食と比べたら、こちらは遥かに上等だった。

 
改装されたばかりの客室 デスクユニット 入口方向を見る

ベッドの足元が壁から飛び出ている フローリング風床にイステーブル バスルームは古めかしい

客室階廊下 大理石張りのロビー 隣接するバスターミナル

 ホテルクラウンパレス秋北(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 初登場


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