湯沢グランドホテル Single Room  
Yuzawa Grand Hotel
2009.09.13(日)
秋田県湯沢市
喜-1

 
正統派レストランと丁寧なランドリー

夕方までに大阪での公演を終え、余韻を分かち合う時間もなく、新大阪から新幹線に飛び乗った。そのまま東京駅経由で秋田県の湯沢まで向かうためである。東京駅から乗り込んだ最終秋田行き「こまち」は満席。「のぞみ」の広いシートから乗り継ぐと、「こまち」のグリーン席はやけに窮屈に感じられる。

実際に狭いだけでなく、隣に座った体格のいい中年男性の圧迫感と相まって、息のつまりそうな空間と化していた。こんな時は眠ってしまえばいいのだろうが、この車内でオペラのスコアを解釈しておかなければならない。とにかく集中しよう。大曲に着く頃には、スコアに目を通し終え、なんとか危機感からは脱することができた。

大曲から湯沢までは、ローカル線に揺られて向かうことにした。明日からのコンサートツアーエージェントには、タクシーを使うように言われていたが、電車の方が時間的に正確だし、予算的にも節約になる。それに、ローカル線の最終列車なんて、滅多に乗る機会がないので、このチャンスに旅情を満喫するつもりでいた。

だが、やってきた鈍行列車は、通勤電車とそう大差ない風体だった。車内はロングシートオンリー。無粋な吊り広告に、ムードのない蛍光灯の照明。関東近郊にもありふれている日常の光景にちょっとガッカリ。湯沢の改札では、香川県の坂出からここ湯沢までの長距離切符を差し出し、ひとひとりいない駅前の道を、まっすぐにホテルを目指した。

この9月18日に開業20周年を迎える湯沢グランドホテルにチェックインしたのは零時半。ロビーの照明はほとんど落とされ、フロント係も最後の客を迎えてやっと仮眠ができるといった安堵を、無表情の片隅にわずかに浮かべていた。

用意されたのは最上階にあたる6階のシングルルーム。広さは15平米程度だろうか。シングルルームといえば、入口から見てベッドが縦向きに置かれた細長い部屋が多いが、ここの場合は横幅に余裕があり、ベッドは横向きに置かれている。色の濃いベッドスプレッドに枕をふたつ添えたベッドメイクだが、マットレスは薄く、ベッドリネンは粗い肌触り。

ベッドと窓の間には、アームチェアとコーヒーテーブルがあり、大きく取られた窓のある面は天井から床まで、横幅いっぱいにカーテンが掛かっている。デスクユニットやバゲージ台は機能的に造られており、質感も悪くないが、衣類を収納する引き出しがない。入口脇のクローゼットは、扉の幅が狭くて扱いにくかった。

テレビは26インチの液晶。地デジとアナログBSが放映されている。無料の高速インターネットは全室に完備されている。バスルームはシンプルユニット式で、アメニティはかなり絞り込んだ品揃え。タオルは青緑色がスリーサイズ用意され、バスタオルだけは予備の2枚目が置いてある。シャワーが弱いのが気になった。

朝食はレストラン「トレンディ」で提供される。この店名からしてすでに時代遅れだが、店内にはクロスの掛かったテーブルが並び、小奇麗だった。滞在中は、夕食もこの店を利用した。ディナーメニューは昔のファミリーレストラン風で、手ごろな値段の割には、調理や盛り付けが丁寧で好印象。サービスも正統派のホテルスタイルを貫いており、なかなか心地よかった。

また、ランドリーサービスは地方のホテルにしては高いという印象だったが、仕上がりを見て納得。ラグジュアリーホテル並みの丁寧な手仕上げだった。

今回は3泊したが、なぜか2日目はステイ清掃をしてくれなかった。あまりに部屋を整え過ぎていたためだろうか。でも、濡れたバスタブを見れば、使ったことはわかると思うのだが。

 
縦長よりも横長の方がゆったりと感じる ベッドとイステーブル デスクユニット

入口側 バスルーム タオルとドライヤー

エレベータホール 朝食 夕食

 湯沢グランドホテル(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 980710

 


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