大分全日空ホテル オアシスタワー Moderate Double Room
ANA Hotel Oira OasisTower
2009.07.25(土)
大分県大分市
哀-2

大分駅のホーム
 
さよならホバークラフト 初めて降り立った大分空港は雨だった。市内まではタクシーを利用するつもりだったが、不意に未知の乗り物に惹かれ、気がつけばホバークラフト乗り場でチケットを購入していた。

待合室の人々は普段から乗り慣れているのだろうか、通勤電車を待つように表情ひとつ変えずに佇んでいる。そこでひとりはしゃぐのも気が引けて、乗り慣れた現地の人を気取ってみたが、おそらくそうでないことはバレバレだったと思う。ならば、堂々と写真でも撮ってくればよかった。これきり二度と乗る機会がなくなるとは夢にも思わなかったが、今となっては後悔するばかりである。

待合室からは船へは、わずかな距離だが段差があって屋根のないところを歩かなければならない。ちょうど、ローカル空港で飛行機のタラップへと向かうような感じだ。路面がぬれる中、靴と重い荷物を気遣いながら、人々の後に続いて船へと乗り込んだ。

船体は古く、無数の波を飛び越え、傷めつけられてきた様子。これがバスなら、とうにインドやベトナムあたりに売られていることだろう。並んだイスは不釣り合いに派手な布と下品な宣伝に覆われているが、カーテンや天井が生まれた時期を物語っている。

「ホバーに乗るなら、なるだけ後ろがいいですよ」と現地の人からあらかじめ聞いたが、その時は実際に乗るとは思っていなかったので聞き流していた。船内に入ってそれを思い出し、教えに従って後ろの席に陣取った。

「前の方に座るのは観光客が多いです」とも言っていたっけ。前に行くほど揺れが激しく、慣れている人でも酔いやすいのだとか。確かに客はまばらだが、それでも前の方に座っている人はほんのわずかだ。でも、待合所の表示には「おだやか」とあったので、さほど揺れはしないのだろう。

やがて船は陸上を滑走しはじめた。なんとも不思議な乗り心地である。左右をコンクリートの壁に挟まれた、まるで干上がった人口の川のような軌道を、ふわふわと不安定に進んでいく。途中、急カーブがあり、船体はほぼ真横になりながら滑りゆくのだが、初めて乗る者としては、手に汗握る気分だった。

そしてダイブするように海へ出ると、波の上を飛ぶように進む。窓には潮が激しく打ち付け、雨があがったにもかかわらず、豪雨なのにワイパーが壊れたフロントガラスを見るようなものだった。揺れは想像してたよりも確かに「おだやか」だったが、十分にスリリングでもあった。

出発から約30分で大分のターミナルに到着。市内へはバスもあるが、客待ちをしているタクシーに乗り込んで、ホテルへと向かった。空港から約1時間。そして料金は4,000円を超すとなると、空港アクセスとしては不便な部類と言わざるを得ない。これも大分の発展を阻むひとつの原因ではないだろうか。

大分全日空ホテルオアシスタワーは、最初は第一ホテル大分オアシスタワーとして1998年9月に開業したが、わずか2年後に現在の全日空に改称した。内装はほぼ以前のままであると思われる。

ドアガールが出迎えたが、荷物を手伝おうとはせず、ただ先導してフロントを指し示すのみ。フロントは正面玄関を入ってすぐ右のわかりやすいところにあるので、係に先導されながら、その後ろから重い荷物を持って付いていくというのはかえって屈辱的でもあり、むしろ案内はない方がよかった。

フロントではメンバーカードを提示したが、レジストレーションカードには名前の他、住所、電話番号の記入を求められた。ここではサインだけのチェックインはやっていないようだ。この時、係は全員女性。愛想は悪くないが、なんとなく作り笑顔に見えるのはなぜだろうか。

ロビーは吹き抜けになっており、中央にフラワーアレンジメントがある。柱の陰にいくつかのソファが並び、正面の奥にロビーラウンジ、左側に2階へと通じる階段がある。2階にはレストランがあり、うち洋食レストランはアトリウムに向かってオープンになっているのだが、そこのブッフェで焼き肉かなにかを提供しているらしく、ロビー全体に食べ物のにおいが充満し、気分が悪くなりそうだった。

エレベータは低層用と高層用とに分かれているが、高層用は2基しかないのに高層レストランや高層宴会場と客室が共用なので、何度も非常に長いこと待たされた。

今回用意された部屋は廊下の一番奥にあるダブルルーム。少し広いのかと思ったが、入口付近に無駄なスペースがあるだけで、居室部分はむしろ幅が狭いように感じられた。コーナーなので多少は静かだという点はメリットかもしれない。

客室の設備やデザインは、第一ホテルらしさが感じられる。窓際の石製の重たいテーブルと、レストランででも使いそうなアームチェア、そしてハロゲンのダウンライトは、第一ホテルの基本セットだ。そして、木製のヘッドボード、アラーム時計と調光が一体になった可動式ナイトパネルも、お馴染みのアイテムである。

カウンターデスクユニットには、ミラーサイドのブラケットだけでは不足と苦情が多かったのか、インバーターデスクライトが添えられている。脇の引き出しは3段。テレビは液晶だが、非常に小型で悲しくなるほど。LANは無料だが、テレビの下に接続口があり、使うにはテレビ画面で回線にログインする操作が必要だ。

窓は大きく、一部が手前に倒れるように開けられるようになっているが、換気用という感じ。窓からは大分市内から別府方向を望み、遠くに海も見える。

バスルームはタイル張りのユニットで、広さは3.2平米。シンプルな空間だが、シャワーヘッドは立派で水圧も十分だった。バスルーム扉は外側に開く点も、バスルーム内が狭く感じるのを防いでいる。タオルは3サイズが2枚ずつで、アメニティはボトルディスペンサーと液体ソープの他、全日空ホテルズ共通のものを揃えている。

清掃はかなり甘い。木目のベトベト感、窓の汚れ、壁の埃など、一瞬で汚いとわかるものが放置されている。

朝食は「グラッチオ」でのブッフェか「折鶴」での和定食。ブッフェの方はファミリーやビーチサンダル姿の若者が多いが、和食店は落ち着いた雰囲気だった。同じ料金ならば和定食の圧勝だろう。

チェックアウトはスムーズに行われたが、総じて退屈な滞在だった。ジムもプールもサウナもなく、単に泊まるための施設。しかも、全日空のいいところではなく、悪いところが出てしまっている印象だった。

 
ホバークラフトの船内 ホバークラフトの窓からの眺め コーナーのダブルルーム

ベッドからデスクを見る ベッド 部屋の幅はむしろ狭いようだ

デスクユニット イスとテーブル 窓からは遠くに海を望む

タイル張りユニットバス ベイシン アメニティ

入口脇のクローゼット 客室階廊下 客室階エレベータホール

ロビー フロントカウンター ロビーのフラワーアレンジ

2階からロビーを見下ろす ロビーラウンジ 和朝食

 大分全日空ホテル オアシスタワー(公式サイト)
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