紆余曲折
2007.12.05(水)
沖縄ナハナ・ホテル&スパ Deluxe Twin Room
Okinawa Nahana Hotel & Spa
哀-3

グランデーションストライプの外観 このホテルの歴史は波瀾万丈だ。最初は1987年5月に沖縄オーシャンビューホテルとして開業。全日空やJTBなどが出資した琉球総合開発が運営に当たっていたが、家賃問題が原因となり2002年8月20日に突然の閉館を発表し、沖縄の旅行業界に衝撃が走った。1階のラウンジ以外は9月24日で営業終了と、残すところ1ヶ月余りしかなく、従業員の雇用確保が大きな話題となった。

残った1階ラウンジも2002年11月30日に終了して完全に閉館。オーナーはスムーズな引継ぎを期待していたが、適当な後継企業が見つからず、その後1年半に渡りクローズしたままとなる。ふたたび宿泊客を迎えたのは2004年4月。ホテルグランドオーシャンとしての再オープンだった。ホテルの経営経験のない企業が後を引き継ぎ、一度はシックスコンチネンツホテルズとの提携も考えたようだが、最終的には直営でいくことを選択した。

クラブラウンジ「THE Living」での食事までオールインクルーシブにしたクラブフロアを設け、ブルガリのアメニティ、高級なベッドリネンとタオル、スパ無料など、相当の気合いを入れては見たが、所詮、ビジネスホテルに毛が生えた程度の設備が基になっているので、上辺だけつくろっても旅慣れた客には受け入れられず、結局2006年4月に閉館。その後はイシンがオーナーとなり、14ヶ月のクローズを経て2007年7月1日に沖縄ナハナ・ホテル&スパをオープンし、今日に至っている。

この日、東京を夜出発する便で沖縄入りした。空港ではターンテーブルから荷物が出てくるまでに相当の時間を要するようになり、また空港におけるあらゆるサービスの質が低下したような印象があった。タクシーに乗ってホテルに到着したのは、午後11時を回っていた。スタッフは、夜遅いことを忘れさせてくれるような、親切で感じのよい対応だ。

用意された客室は4階のデラックスツインルーム。予約通りのカテゴリーだが、3階から12階にある客室のうち4階とは、あまり印象がよくない。オーシャンビューホテルが開業間もない頃に高層階のコーナールームに宿泊したことがあるが、それなりに沖縄らしい景観だったように記憶している。しかし、4階の窓から見えるのは隣の東横インと駐車場くらい。眺めに期待などしていなかったのに、それでもガッカリしてしまったほどだ。

最上階の12階にはバーと特別客室があり、シングルルームは3階と4階にしかない。また、2階にはレストラン、地下1階にはスパがある。宿泊客は2,500円でスパのバスを利用できるそうだ。4階のデラックスルームは、なぜか入口に照明がなく暗かった。他のすべての部屋には扉の上に照明があって、入口が明るく照らされているのに、ひと部屋だけないのは不自然。もしかするとここだけ以前は客室でなかったのかもしれない。

広さはシングルが2室分で、約30平米。入口を入るとハンガーが4本しかないクローゼットがあり、仕切りの壁を回りこんで居室に至るようになっている。ベッドは120センチ幅が2台並ぶが、マットレスは12センチで、両ベッドとも下にエキストラベッドを収納したスタッキングタイプだ。これは最悪の寝心地を覚悟しなければと思ったが、実際はそれほど不快でもなかった。まだマットレスが新しいからかもしれない。

シーツは粗い肌触りだが、枕はふっくらと気持ちがよかった。ヘッドボートの上には、シーサーを象ったパネルが掛かっているが、これはグランドオーシャン時代のものをそのまま使っているものと思われる。ベッドと反対側の壁には、デスクユニットが設置されている。正面に鏡があり、オフィスチェアを添えたデスクには、大小の引き出し、金庫、空の冷蔵庫などを備えている。テレビは20インチの液晶だが、ベッドから離れたところに置くには小さすぎるように感じた。

居室の中央にはオットマン付のソファとコーヒーテーブルを配置。オットマンをスツールとして使えば、かろうじて二人でも向かい合って座ることができる。室内の照明はすべてダウンライト。シーリングもスタンドも一切なく、それが室内を殺風景に見せている原因のひとつ。デスクがダウンライトだけだと、物を書く際に影が出来て困る。

天井高は最も高い部分で245センチだが、ほとんどの部分はそれよりも低いので圧迫感がある。窓は2面あるが、キッチンの目隠しに使うようなはめ込みレースと遮光ブラインドが、オフィスのような色気のない雰囲気を醸している。

バスルームは160×240センチのユニットで、全体が新調された印象だ。透明のアクリルボトルに入ったシャンプー類の見た目は悪くないが、ベイシンのトレーに載ったアメニティのショボさにはビックリした。これで定価1泊37,000円とはどういう神経だろう。もちろんそんな高いレートで泊まったわけではないが、全体がカジュアル過ぎて、値段とは釣り合わない印象が強かった。

翌朝はブッフェの朝食を。2階のレストランと宴会場を開放し、多くの客が一斉に押し寄せた場合に備えている。実際、出発の早い団体客が集中し、かなりの賑わいを見せていた。ブッフェ台に並ぶ料理の品質はよくないが、アーサー入りのオムレツや、シークァーサージュースが沖縄らしい。カトラリーがフォークと箸しかないというのも不思議に感じた。

チェックアウトはスムーズだった。フロントでタクシーを頼むと、係が通りまで出て呼び止めてきてくれた。サービスが好印象だけに、施設のチープさが一層強く感じられた。

 
極薄マットレスのベッド ベッドからデスクを見る デスク

窓からの眺めに沖縄らしさはない ベイシン バスタブ

廊下(照明がないのがこの部屋) エレベータホール 2階レストラン前

夜のフロントロビー ロビーのシッティングエリア 日中のロビー

ロビー階のティーラウンジ 琉球ガラスのオブジェ 外観

 
沖縄ナハナ・ホテル&スパ


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