アトリウムで朝食を
2007.12.04(火)
グランドホテル浜松 Deluxe Double Room
Grand Hotel Hamamatsu
楽-3

シッティングスペース 磐田での公演を終え、タクシーでホテルに到着したのは午後10時を過ぎていた。浜松駅からは車で5分程度の場所にある。このホテルには初めて訪れたが、周囲を住宅に囲まれた静かな環境に溶け込んでいることは、夜の車窓からでも感じることができた。住宅もそれぞれの敷地が広く、石畳の道もあって、歴史に彩られた街並みには情緒も漂う。

時間が許せばゆっくり散策してみたいところだが、今回はあいにく10時間ほどのショートステイだ。車がゆるやかな坂を上がると、そこはホテルの広い車寄せだった。それに比較してエントランスは小さい。ドアマンの姿はなかったが、館内に入るとベルがひとり控えており、こぢんまりとしたフロントにも男性の係がふたり立っていた。だが、他に客は見当たらない。

大理石を敷き詰めたロビーはひっそりと静まり返っており、正面にしつらえたクリスマスのディスプレイの灯りだけが華やいだ雰囲気を発している。フロントで名前を告げると、まるで握り締めて待っていたかのようにすぐさまルームキーが差し出され、レジストレーションカードにはサインだけを求められた。部屋への案内はしてくれそうもなかったので、エレベータの場所を尋ねて、自ら部屋へと向かった。

フロントがあるのは本館。この本館にも客室はあるが、今回用意されたのは新館の部屋だ。本館から連絡通路を進むと、新館アトリウムへのエスカレータがあり、それは館内がひっそりとしているこの時間でも運転していた。

アトリウムは12階まで吹き抜けで、中央が広々としたパティオになっている。コーヒーショップの一部がアトリウムに張り出しており、開放的な環境で食事が楽しめそう。また、ホンダの車やバイクが展示されている他、周囲には浜松にある企業のブースが点在し、さながら見本市のようだ。

客室へと向かうエレベータは3基で、いずれもアトリウムを見下ろすシースルー。各階の廊下はアトリウムを取り囲んでおり、アトリウムの空気や音を肌で感じられるオープンな構造になっている。各階の廊下が描くストライプと曲線は、このホテルを代表する造形美である。

この日の客室は、新館の各フロアに1室ずつしかない、37.5平米のデラックスダブルルーム。ホテルのロゴを象ったドアノブを押し開くと、クロゼットと姿見のみを配した広い前室があるが、やや無駄なスペースだという印象だ。内扉の先が居室になっており、ワーキングスペースとベッド&シッティングスペースを左右に分けて配置している。

ベッドは160センチ幅で、ピンクのスプレッドと一体になった寝具を使用しているが、ヘッドボードはしっかりとした木材とレザーでできている。ベッドの前には鮮やかな赤色のひとり掛けソファがふたつ並び、中央にはティーセットなどが載った丸テーブルを置いた。こちら側にある窓は幅が170センチだ。一方、ワーキングスペース側にあるコーナーウィンドウは230センチ幅。しかし、曲面のため室内が映りこんでしまって、夜景がよく見えなかった。

これらの窓の間には、ブラウン管テレビと旧式の冷蔵庫を置いてある。デスクは窓を背にしているが、窓に向けて置いても邪魔にはならないだろうし、その方が部屋の雰囲気もよくなると思う。家具類はどれも使い込まれることによって、いい味をだすようになっている。造りもしっかりしているので、このまま長く大切に使い続けて欲しいものだ。

バスルームの入口は前室に面している。200×160センチのタイル張りユニットで、ベイシンに設置された飲料水用の蛇口がユニークだ。バスタブのカランはサーモスタット付きで、タオルは3サイズ用意してある。このホテルはニューオータニグループだが、あまりそれらしさを感じる部分がなく、強いて言えば、バスルームの内装とアメニティに、ニューオータニテイストが漂う程度である。

LANは無料だが、利用できる部屋は限られており、無線LANが使えるのは新館5階から10階の東と西向きの部屋のみだという。ルームサービスは7:00から21:30まで営業しており、朝食は前日の営業時間内に予約が必要とのこと。

館内には直営、テナントを合わせると多数の飲食施設があり、ホテルの母体となる料亭「聴涛館」や民芸割烹「いなんば」も近隣にあって、食は充実している。また、リラクゼーションスペース「ブラウンコート」はサウナ主体の施設で、10×5メートルのミニミニサイズプールを併設しており、宿泊客は1回2,100円で利用できるそうだ。

朝一番でレストラン&カフェ「サニーサイド」へ出向いたが、ガラガラだった。アトリウムがよく見える席に陣取って、1,785円の朝食バイキングを。和洋のスタンダードなアイテムの他、朝にしては珍しいものも並んでいて結構楽しい。気に入ったのは和風パスタ。そこに和食コーナーにある大根おろしとジャコと高菜をトッピングしたら、味も見た目もグレードアップした。ちょっとしたアレンジで朝食も一層充実するものだ。

出発時、エントランスにはタクシーがいなかったが、ドアマンがすぐさま手配をしてくれた。待つ間も、寒くない場所へと案内してくれ、到着したらすぐに声が掛かった。元気一杯に見送られ、気持ちのよい出発となった。

 
ベッドとシッティングスペース 窓は2面ある コーナーに位置する湾曲した窓

シンプルな空間にクイーンサイズベッド 壁向きのデスク やや無駄に広い前室

バスルーム バスタブ アメニティ

窓からの景色 外観 ホテルのアプローチ

ロビー ロビー 朝食ブッフェ

アトリウムを見上げる シースルーエレベータ アトリウムを見下ろす

 
グランドホテル浜松


公開中リスト | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
| ホテル別リスト | レストラン別リスト | 「楽5」「喜5」ベストコレクション |