鹿児島経由宮崎行
2007.10.14(日)
京町観光ホテル Single Room
Kyoumachi Kankou Hotel
楽-3

提燈が下がる玄関前 宮崎県に行くのに、なんで鹿児島空港なんだろうと、素朴な疑問を持ちつつも、エージェントに指示された通りの飛行機に乗って、鹿児島空港に降り立った。迎えの車に乗り込んで、30分ほど走っただろうか。「そろそろです」と言われ、周りを見るとコスモスが咲き乱れる川岸だった。これが川内川らしい。夕暮れも近く、これでカラスが鳴いたら、まったくもって童謡の世界だ。初めてなのに、ふるさとに帰ってきたような気持ちになった。

この日の宿は京町温泉にある京町観光ホテル。温泉郷というよりも、周辺を普通の民家に囲まれた、日常的な環境にある小さな宿だ。小ぶりながらも車寄せのある玄関先には、温かい光を放つ提燈が連なっている。玄関を入ると、そこで靴を脱ぐようになっていて、両脇には靴箱が並んでいる。こんな時に限って編み上げブーツを履いて来てしまった自分が情けない。

エージェントがチェックインをしている間、ロビーに並んだレザーソファに座って雰囲気を見回しながら待った。天井には華やかなシャンデリア。中庭には池があり、鯉が泳いでいる。フロント脇のお土産コーナーには、有名になった知事のイラストが描かれた菓子が並んでいる。やっぱりここは宮崎なんだと実感する瞬間である。掲示された地図を見ると、鹿児島との県境にも近いようだ。鹿児島と違い、宮崎には温泉が少なく、ここは小規模ながら宮崎を代表する温泉地だという。本当かウソか知らないが、掘削中に雷が落ちて突然湧き出したと伝えられているらしい。

用意された客室はビジネス館のシングルルーム。客室に風呂はなく、トイレと家庭用の洗面台が設置されている。窓際のカウンターデスク、オフィスチェア、14インチテレビ、123センチ幅ベッドというシンプルな設備で、照明はデスクスタンドとシーリングの蛍光灯のみ。タオルは大小1枚ずつ、アメニティは歯ブラシ、カミソリに、使いまわしの大型ソープだけだ。室内には時計もない。

景色はどうだろうと思い窓を開けてみたが、屋根しか見えなかった。それより、困ったことに蚊が入ってきてしまった。大きくてシマシマで毛だらけの蚊が何匹もである。これにはさすがに身の危険を感じ、恐れながらもフロントに頼んで蚊取り線香を拝借。蚊からは身を守ることが出来たが、室内は目が痛くなるほど煙だらけになってしまった。

入浴は、露天風呂付き大浴場、もしくは貸切にできる2箇所の家族風呂を利用する。大浴場は古びており、それがまたこの京町温泉にはマッチしているように感じられた。昔風の脱衣場に、石造りの浴槽とタイルの壁は、どこか銭湯的な趣きもある。庭園に設えた露天風呂には、サウナ、カメ湯、寝湯、洞窟風呂とバラエティも豊富。

だが、洞窟風呂に入っている時に地震でも来たら、完全にサンドイッチになって、数千年後に押し花化石状で発見されることになるかもしれないので、一人で入るには覚悟がいる。また、24時間利用可能なのはありがたいが、屋外の電球がほとんど切れているので、足元もよく見えない状態。よほど気をつけなければ怪我をしてしまいそうだ。なお、浴槽はすべて源泉掛け流しだとのこと。

食事は「真幸の郷」を利用した。まだ改装したてで清潔感にあふれ、手頃な値段でボリュームたっぷりの美味しい郷土料理が楽しめた。朝食も同じ店で1,050円で提供される。テーブルサービスの定食で、素朴な内容。出発時も気持ちよく送り出してくれる、家庭的な宿であった。

 

ワンルームマンションのようなシングルルーム ベッドから入口方向を見る 窓からの景色

蚊取り線香を焚くブタさん 部屋の洗面室 朝食

ロビー お風呂 露天風呂

 
京町観光ホテル


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