ユニバーサルルーム
2007.09.07(金)
ホテルサンルートプラザ新宿 Twin Room with a Sofa
Hotel Sunroute Plaza Shinjuku
怒-2

ロビーの一角 2005年3月に閉館したホテルサンルート東京が、2年半の間にすっかり新しく建て替えられ、サンルートホテルズの新たなフラッグシップとなるホテルサンルートプラザ新宿としてオープンするに際し、せっかくなので初日に泊まってみることにした。予約を入れたのは、受付開始と同時だった。実は、半年も前の予約だったので宿泊日をすっかり忘れていたのだが、数日前に送られてきた確認メールで思い出すことが出来た。もうちょっとで生まれて初めてのNo Showをしてしまうところだった。

当日は台風の余波で都心にも強風が吹いていた。到着したのは、ホテルがいよいよオープンし、最初のチェックイン業務本番が始まる午後2時。エントランス車寄せは前よりも広くなったが、警備員の姿はあっても係はいない。フラッグシップと言えども、舞浜のプラザ東京とは違ってドアマンやベルマンは配置しないようだ。

ロビーは2層吹き抜けになっており、大理石の床が天井からのライトを反射して美しく光っている。その中央には、ウッドデッキを設けて、スパリゾートを思わせる様々なイスを配置。まるで大理石の海に浮かぶ小舟のようだ。一角には2階へと上がる階段を効果的にレイアウトし、スケール感といい雰囲気といい、なかなかのロビーが完成した。まだ人は少ないが、それでも先客はいた。

フロントはロビーの奥にあり、600室以上を擁するとあって、カウンターもそれなりに幅広い。開業初日だからか、カウンターにはずらりと係が並んでいるが、大半は研修生。チェックインを担当したのは、その中でも経験のありそうな係だった。手続きはスムーズ。IC式のカードキーを受け取り、自ら客室へ向かった。エレベータでは、カードキーをタッチしないと行き先階のボタンが作動しない仕組みだが、目的の階だけでなく、どの階のボタンでも押せるようになっている。

アサインされた客室は3階だった。客室フロアとしては最も低層階。高層階だからと言ってよい眺めが期待できるわけではないが、それでも最低層というのはあまり気分のいいものではない。メリットは万が一の時に逃げやすいことくらいだろうか。部屋に入ると、そこには人の姿があった。部屋を間違えたのかと思い、とっさに「ごめんなさい」と言ってしまったが、フロントで受け取ったルームキーで開錠したのだし、部屋番号も間違っていない。よく見ると、その人影は客室係のインスペクターをしている兄ちゃんだった。その兄ちゃんもビックリしたようだが、仕事は済んだらしく、「失礼しました」と言って出て行った。

めでたしめでたしと思って部屋を見ると、ベッドはひとつだけ。ツインを予約してあったはずなのにと思いつつ、とりあえずバスルームを見てみると、ここがバリアフリー仕様のユニバーサルルームであることがわかった。アサインを間違えたのだと思い、そのまま荷物を持ってフロントに引き返した。

チェックインを担当した係は接客中だったので、おそらくマネジャーかと思われる中年男性に声を掛け、対応を求めた。すると、彼は端末を操作しながら、予約は確かにユニバーサルダブルで受けているので間違いではないと答えた。そんなはずはない。予約した際のメールにも、数日前に来た確認メールにも、確かにツインルームと書かれていた。

予約内容をもう一度確認するよう求めると、今日は満室なのでどうにも出来ないと言い出したが、こちらが「それがどうした」という顔をして待っていると、しばらく端末を操作した上で、今度は同じくユニバーサル仕様のツインをアサインし、広めのツインを用意したと言ってきた。このホテルのスタンダードツインは最低でも23.12平米で、25,200円。ユニバーサルツインは24.19平米で、24,150円。広いと言ってもわずか1平米程度であり、それよりもユニバーサルの方が料金が安いということ。予約したタイプよりも安い部屋を用意して、それで事が済むはずがない。しかも、予約時の案内では、ソファ付きツインにアップグレードすることになっていた。

係は事情がよく把握出来ていないようだったが、最終的にはソファ付きツインが用意された。そのタイプは各階の先端部分にあって、面積は26.71平米ということになっている。入口から居室までの廊下が長く、そこで面積が割かれているために、印象としてはかなり狭く感じる。一番の特徴はコーナーウィンドウだが、周囲をビルに囲まれているので、仮に最上階だったとしても、開放感のある眺めは得られないと思われる。今回は低層階だというのに、携帯電話の電波状況が悪かったので、いかにビルの谷間かが想像出来よう。

客室の天井高は270センチ。窓際をリビングスペースにして、ずっしりと重いラブソファと、小さなテーブル、そしてこれまた狭くて小さなライティングデスクユニットを設置してある。テレビは37インチのAQUOSで、地上デジタル放送を見ることが出来る。部屋が狭いからか、テレビがとても大きく感じられた。クローゼットは両開きで、こぶりながら9本のハンガーを備えているのはいい。だが、引き出しはまったくない。ベッドは121センチ幅で、マットレスは快適ながら、ベッドリネンはゴワゴワした肌触りが気になった。バスルームは160×200センチのユニットバス。タオルは3サイズが2枚ずつで、アメニティも揃っている。

だが、客室全体の清潔感はいまひとつ。ソファには夥しい髪の毛が絡みついているし、バスルームは拭き残しだらけ、クローゼットの棚は埃で真っ白になっているなど、開業初日にこのような状態とはガッカリだ。いくら気取っても、基本が伴っていなければ高い評価は出来ない。

朝食は1階のレストランで提供される。入口でトレーと皿を渡され、そのままブッフェ台に進まされるのだが、社員食堂のようであまり好ましく感じない。ブッフェであっても、まずは席に着いてから料理を取りに行きたいもの。サラダやフルーツは頑張っているが、スクランブルエッグやパンがまずい。係は十分に揃っているのだが、彼らが動くのは客が帰った時の最終下げだけで、途中では一切サービスしない。そのため、ほとんどの時間はボーっと突っ立っているだけで、退屈そうに見えた。楽そうに思えるが、実際は時間が経つのがとても遅く感じられることだろう。

やはり、このホテルはパブリックスペースの雰囲気が一番のウリの様子。2階には宿泊客用のラウンジまで設けている。ルームキーでアクセス出来るラウンジには、大型ディスプレイに向いたベンチシート、PCコーナー、雑誌類の他、各種飲み物をセルフサービスで楽しめるようにもなっている。狭い客室で圧迫感に襲われたら、ラウンジで一息ついたり、ロビーで気分転換を図ったりすればいいが、ホテルステイそのものを楽しめる環境とまではいかないようだ。

 
コーナーの窓に面したリビングスペース ベッド ベッド

デスクは隅に追いやられた感じ バスルーム扉とクローゼットが向かい合っている ユニットバス

ベイシン 窓からの眺め 外観

ラウンジ ラウンジには飲み物もある ロビーを2階から見下ろす

ロビー ロビーには様々なイスが並ぶ ロビーの奥にあるフロントカウンター

スパリゾートを思わせるディスプレイ フロント前 2階へと続く階段

 
ホテルサンルートプラザ新宿


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