ノドグロ
2006.09.08(金)
島根浜田ワシントンホテル Double Room
Shimane Hamada Washington Hotel Plaza
楽-2

非電化区間の単線を走りぬける 浜田は遠かった。羽田から飛行機で出雲へ飛び、連絡バスからJRの特急に乗り継いだのだが、接続時間がギリギリで、気が気でなかった。それでも、特急列車に乗ってしまえば、あとは浜田への到着を待つばかり。ホッとしたところで喉が渇いたが、2両編成の気動車特急には、車内販売も自動販売機もなかった。

列車は、電化されてない単線を結構なスピードで駆け抜けていく。車内がガラガラだったので、運転席の見える席に移動し、先頭からの眺めを楽しんだ。子供の頃にも、よくこうして一番前から景色を眺めるのが好きだった。運転席の速度計を見ると、直線区間では100km以上で走行している。カーブやトンネルになると若干速度を緩めるが、カーブが多くてよく揺れる列車だ。トンネルに入ると、ディーゼルの排気ガスで、トンネルの出口が霞んで見えることもあった。日本海の海岸線や真っ白な砂浜が、なんとも美しく、旅行気分が膨らんだ。

浜田駅に到着して、コンサート会場に入る前に軽く腹ごしらえと思ったのだが、駅前にはレストランらしきものは見当たらなかった。きょろきょろしているうちに、この日の宿であるワシントンホテルまで来てしまった。コンサート会場も同じ敷地内にあり、ホテルとホールとは専用の中扉で結ばれている。なんともありがたい条件ではないか。

まぁ、ホテルなら何かしら食べるものはあるだろうと考え、とりあえずチェックインをすることにした。ワシントンホテルはビジネスホテルチェーンだが、ここ浜田ではランドマーク的存在で、市内随一の規模を誇っている。宴会場もあり、各種会合や婚礼にも利用されているようだ。こうしたコミュニティホテル的な役割を果たすビジネスホテルは、地方都市に多く見受けられる。昨年の暮に訪れた会津若松のワシントンホテルも、ちょうどここと同じような存在だった。

荷物を部屋に置いて、さぁ腹ごしらえと思ったが、館内唯一のレストランはランチタイム営業を終了して、ちょうど休憩時間に入るところだった。隣接するラウンジは営業中だったが、サンドイッチすらなく、飲み物だけしか提供できないという。はてさて困ったものだ。まったく読みが甘かった。かといって近隣には飲食店が見当たらない。やっと見つけたのは、テイクアウトの寿司ショップだった。そこで折り詰めをこしらえてもらい、ホールの楽屋に持参し、かろうじて餓死を免れた。

コンサートが終わった後は、近くの居酒屋「SAKURA」に顔を出した。駅前商店街「どんちっちタウン」にあるこの店は、居酒屋なのにカフェバーのような趣きで、店内にはいつもJAZZが流れている。「どんちっち」とは聞き慣れない言葉だが、石見地方に古くから伝わる神楽太鼓の音に由来しているらしく、浜田漁港にあがる魚のブランド名にもなっているそうだ。市議会の議長も勤めているマスターのオススメは、ノドクロとアジ。見事に脂がのっていて、とろけるような味わいだった。浜田を訪れたら、ぜひ立ち寄って欲しい。

部屋に戻ったのは、23時近かった。昼間は気付かなかったが、広々としたロビーに、虫かごが置いてあり、中で鈴虫が鳴いている。すっかり秋なんだなぁと、ホッと一息。ロビーに隣接したチャペルからは、飾られた百合の甘い香りが漂ってくる。一瞬、ここがワシントンホテルであることを忘れてしまいそうだった。

だが、部屋は狭かった。140センチ幅のベッドが入っているダブルルームだったが、シングルルームとしか捉えようのない設備だった。これで16,000円はいかがなものか。天井高は240センチと低く、窓は小さい。デスク、テレビ、冷蔵庫などはコンパクトなユニットにまとまっている。冷蔵庫は小さく、483円のビールや273円のソフトドリンク類が入っており、持込スペースはほとんど残っていない。館内の自販機では、ソフトドリンクが200円で販売されている。テレビの有料プログラムは10分ごとに100円というシステムだ。

バスルームは160×120センチと小さい。バスタブも小型だが、深さがあるのが救いだった。アメニティはゲルマニウム入浴剤と壁掛けのシャンプー類のみで、歯ブラシなどはチェックインの際に男女を見分けた上で、必要なものを渡すというシステムだ。ルームマッサージの営業はないが、ランドリーサービスはシャツが294円と安い。

駅前なのに環境的には静かで、外からは虫の声しか聞こえない。だが、館内の音は筒抜けだった。隣室の音、廊下の音など、遮音性はないに等しい。これは、設計業者に問題があるように思った。朝食は最上階のレストランで和洋のセットメニューが1,260円。和食を選んだら、板わかめ、浜田の赤てん、松江のシジミの味噌汁、奥出雲の仁多米のごはんなど、山陰の味覚が中心となったヘルシーな内容だった。

 
ダブルにしては狭い コンパクトなデスクユニット ベッドは140センチ幅

狭いユニットバス アメニティはほとんどない フロントロビー

正面玄関 山陰の味覚が揃う和朝食 脂ののったノドクロ

 
島根浜田ワシントンホテル


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