黒い飛行機と地獄の訓練
2006.07.21(金)
ホテルヴィアイン下関 Single Room A
Hotel Via Inn Shimonoseki
哀-1

北九州空港でのスターフライヤー機 羽田から北九州へ向かうために、クライアントが用意したスターフライヤー便を利用した。機体だけでなく、機内のシートやカップなどの小物に至るまでがブラックカラーでコーディネートされ、とてもスタイリッシュな印象があった。しかし、地上でのサービスは散々だった。接客の基本も心得ていないのに、気取りだけはたっぷりの若いスタッフが多く、サービス面では不安と不満が残った。もう二度と利用したくない。

北九州空港は、まだ開港してから間もないこともあってすべてが真新しいが、空港内で見かける人があまりに少なくて驚いた。ターミナルにも、周辺道路にもほとんど人がいないので、ここが空港だとは思えないほどに静かだった。北九州空港から車で下関まで一時間ちょっと。運転してくれているエージェントは、何度もこの地を訪れているのに、どうやら道がおぼつかない様子だったが、なんとか目的地まで到着することができた。

公演のリハーサルを終えてチェックインしたのは、ホテルヴィアイン下関だった。下関駅周辺には、東急インを始め、いくつかのビジネスホテルがあるようだが、本格的なフルサービスのシティホテルはない。九州と本州を結ぶ古くからの交通の要所にもかかわらず、ホテルが少ないのは不思議。駅周辺の環境もなんとなくいかがわしく、30年前の新橋のような雰囲気で、立ち並ぶビルはボロボロだ。

しかも、駅前の都市デザインは、非常に劣悪だ。駅は人が集う場所だというのに、歩行者の便宜はまったく無視され、自動車優先の設計になっている。道路に横断歩道がほとんどなく、歩道橋やぺデストリアンデッキが設けられているのだが、スロープやエレベータなどが見当たらない。道の反対側にある目の前の店に行こうにも、遠回りして5分も歩かなくてはならない。自転車や年配、障害のある人には、まさに地獄の街だ。

ホテルヴィアイン下関は、西日本グループの宿泊特化型ホテルチェーンのひとつ。東のメッツ、西のヴィアインといったところだろうか。正面玄関には階段があり、荷物が多いと不便に感じるアプローチだ。ロビーは明るく、フロント前にはソファコーナーもある。サービスはアットホームな感じで、雨が降れば傘を貸してくれたり、オススメのレストランを尋ねれば丁寧に教えてくれるのだが、その情報自体はあまり有益ではなかった。

今回用意されたシングルルームAタイプは、面積12平米のコンパクトルーム。120センチ幅ベッドと、テレビ台を兼ねたデスクユニットだけで、いっぱいいっぱいだ。デスクに添えられたスツール以外にイスもなく、ベッドの上以外に体を伸ばせる場所がない。窓にカーテンはなく、スライド式の遮光扉が付いている。バスルームは1.76平米と、これまた超狭く、とてもくつろげるような空間ではない。近所に銭湯でもあるのなら、そこに行きたい気分だった。この部屋に3連泊、しかも連日演奏本番有りとは、まさに地獄の訓練。

館内には居酒屋とカラオケパーラーしかなく、朝食もそこで提供されるので、結局食べなかった。せっかく下関に来たのだから、新鮮な魚介類を食べたいと思い、県のコンベンションセンターの人に紹介してもらった「お魚市場」という店を訪ねた。意外とモダンな新しい店で、イカの活き造りが素晴らしい。また、ヴィアインの目の前にある(けれど、歩いて5分かかる)「和や(なごや)」には、堅気の板前が揃う、昔ながらの割烹の雰囲気がいい。シマアジが美味しかった。

下関や門司は、また機会があればゆっくりと観光してみたいと思っているが、とにかく宿探しが容易でない。門司なら門司港ホテルが興味深いが、下関では下関グランドホテルぐらいだろうか。立派なホテルが立地のいいところに1軒くらいあってもいいように思うのだが。

 
12平米のシングルルーム すべてが集約されたデスクユニット 2平米にも満たないバスルーム
 
ホテルヴィアイン下関


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