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2005.04.23.(土)

ホテルJALシティ羽田東京 Luxury Twin Room
Hotel JAL City Haneda Tokyo
喜-3 身近なデザインホテル
石造りのバスタブ
ホテルJALシティのブランドは、宿泊特化型のアッパービジネスホテルとして、広く浸透しつつあるが、2005年4月1日にオープンしたばかりのホテルJALシティ羽田東京は、既存のJALシティとは異なった雰囲気を持った個性的なホテルとなった。多様な客室タイプを揃えたり、フロアごとに異なるイメージでコーディネートされたデザイン空間を持つなど、訪れる度に新鮮な雰囲気に包まれつつも、どこか自室のようなくつろぎを感じさせる工夫に満ちたホテルだ。それはJALシティというブランドから想像されるクオリティよりも、遥かに好印象な客室だった。

京急空港線の穴守稲荷駅は、昔ながらの大田区らしい雰囲気を持った小さな駅だ。駅にホテルの案内は見当たらなかったが、通りに出て見回せば、ホテルが近くに見えるので、迷うこともないだろう。駅からなら徒歩2分程度でエントランスに到着する。

エントランスを入ると、天井の高いホールになっていて、ベンチやソファが多数置かれたロビーがあり、自由に使えるようになっている。待ち合わせの他、客室に飽きたら、ちょっとロビーに下りて気分転換という使い方もいいかもしれない。ロビーに一角にはビジネスコーナーを設けた。日中は人影もまばらで静かなのはいいが、1軒だけのレストランもクローズしているので、コーヒーすら飲めなかったのは残念。小ぢんまりとしたフロントカウンターには2名の係が立っていた。

今回用意された客室は2階にあるラグジュアリーツインだ。低層階だが、建物の形状を活かして、プライベートガーデン風の空間を持ったスペシャルルームを3室設けている。それぞれ微妙に異なる内装に仕上がっているが、いずれもアジアンリゾートを思わせるウェンゲ色が、深い落ち着きを感じさせる。

扉を入るとクローゼットとシンクを備えたミニバーがある。扉のない間仕切りを抜けると居室になっており、まず最初に目に入るのはベッドを覆う木製のキャノピーだ。ヘッドボードの上部には、鳥の羽を収めた額が埋め込まれ、軽やかさと優しさを巧みに演出。この工夫が、ある種ありがちなモダンインテリアを、唯一無二のものに完成させている。

ベッドはシモンズ製で心地よく、清潔なデュベカバーを採用している。床はフローリングで、カーペット部分はなく、バスルームも含めバリアフリーだ。ベッド脇には小さなデスクがあり、無料の高速インターネット接続と2口のコンセントを備える。ワイドな窓のそばには、ふたつのアームチェアと小さなコーヒーテーブルを置いた。この付近は、結構窮屈なので、置き方をよく工夫する必要がある。

窓の外にはオリーブの木などの植え込みがあり、夕刻にはライトアップされて美しい。タイル張りのパティオ風空間があるものの、そこに出ることはできないようになっている。まぁ、眺めるだけでも庭の存在はありがたい。ベッドの前には液晶テレビが置かれており、その上下が棚になっている。

バスルームは、このクラスの客室には考えられないほどに立派だった。居室から続く空間には洒落たベイシンが設置されていて、その右側が独立したトイレ、そして左側がバスタブとシャワーエリアになっている。全体に黒い石を張り、広いシャワーエリアを設けただけでなく、バスタブそのものを同じ石で作っているのは珍しい。バスタブ周辺には2面の窓があり、庭を眺めながらゆったりと入浴を楽しめる。他の客室から丸みえだが、ブラインドもあるので視線を遮ることも可能だ。

だが、新しいからだろうか、まだ調整がうまくいっていない部分もあった。バスタブの給湯が遅いのに加え、時々勝手に止まってしまう。その度に熱くなった金具を操作しなくてはならず面倒だった。また、排水にも問題があり、シャワーを使用していると、すぐに湖になってしまう。

バスタブ上にはハロゲン光があって雰囲気がいいが、ベイシン部分は暗すぎる。化粧はおろか、コンタクトレンズの取り扱いにも苦労する明るさだった。それにも増して暗いのがトイレ内だった。アメニティはJALシティ共通のものだが、完成度の高いインテリアに、無粋なパッケージがアンバランスで気になった。

居室の照明デザインにも不足感が残った。蛍光灯が主体で、どうしても平板になってしまう。スタンドは調光可能にもかかわらず、コントローラがコンセント部分に付いていてわかりにくかった。また、全体に汚れが気になりやすいインテリアなので、しっかりと大切にメンテナンスをして欲しいところ。

夜になって、いろいろなタイプの客室を案内してもらった。各階のエレベータホールには、フロアごとのイメージにあわせた装飾が施され、それを見て回るだけでも楽しめる。そして、各客室の入口に掲げられた客室番号の案内板も、ひとつひとつ表情があり、興味深かった。それぞれの客室は、デザイン面での工夫が多様に凝らされており、その意匠を発見する楽しみに溢れている。旅の前後の滞在だけでなく、日常使いのセカンドルームとして、気軽に利用できるホテルだ。

アジアンテイストの室内 ベッドには天蓋がある

ベッドから入口方向を見る ベイシン

窓から自然光がふんだんに差し込むバスルーム バスタブ脇にはシャワースペース

エレベータホール ロビー

[ホテルJALシティ羽田東京]

Y.K.