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2005.03.04.(金)

裏磐梯猫魔ホテル Suite
Urabandai Nekoma Hotel
楽-4 パリより遠い裏磐梯
ロビーの天井
若い門下生たちの親睦のため、グループで裏磐梯を訪ねることになった。ところが、この日は関東地方でもかなり積雪を観測し、早朝から交通が乱れてていた。中止するかどうかおおいに悩んだが、門下たちがせっかく企画した機会なので、道中に注意することを確認しあった上で、車に分乗して東京を出発した。

午前中のうちに現地へ到着することを目指して、一番早く家を出た者は朝6時に出発したのだが、雪の影響は想像以上だった。首都高速は通行止、やっと東北自動車道に入ったと思いきや、途中のインターチェンジから通行止、仕方なく国道に下りた時には午後になっていた。国道は片側一車線で激しく渋滞しており、逃げ場がない。大型トラックが列を成す中、ひたすら北を目指した。

郡山に着いた時には、すでに陽が落ちていた。そこで現地の友人と合流し、裏磐梯までの案内役を務めてもらうことに。すでに降雪も峠は越えていたが、この先は本当の峠が待ち受けている。雪道に慣れている現地の友人ですら、この日の運転は怖かったというほど路面は堅く凍り、車道とそれ以外の部分の区別すらつかない一面真っ白の世界だった。

やっとの思いでホテルに到着したのは20時頃。東京から14時間の道のりだった。パリへ行くより遠かった。若者たちは順調に来れなかったことでかえって忘れられない思い出になったと前向きだし、何と言っても無事に着いてホッとした。

猪苗代を過ぎたあたりから、目に入る光と言えば街灯や信号くらいだったので、ホテルのエントランスに到着し、その燦然たる輝きを目にした時には、氷の城に迷い込んだような気分だった。ホテルの周囲は雪でできた城壁で堅く守られ、さながら別世界だ。すべての音が吸収された真の静寂が心地よい。メインロビーは高い天井からシャンデリアが下がり、全体を大理石に囲まれた立派でダイナミックな空間だ。

チェックインはスムーズで、印象もよかった。「天候の悪い中ようこそお越しくださいました。」と心から歓迎してくれた。来るに来られずキャンセルせざるを得なかった客も少なくないことだろう。ロビーから客室まではベルアテンダントが案内してくれた。ホテル棟は横に非常に長く、ノースリッジとサウスリッジに大きく分けられている。ノースリッジにはスタンダードやスーペリアが、サウスリッジにはデラックスとスイートを配し、サウスリッジは一層グレードの高い内装になっている。

サウスリッジの廊下は明るく淡い色でコーディネートされ、ラグジュアリーホテルの雰囲気だ。客室は廊下の両側に配置されており、今回は湖側のスイートを利用した。面積は83平米。扉を開くと広いホワイエがあり、テラコッタの床に曲線を描いたロングソファやアームチェアが置かれ、ここだけでもちょっとしたリビングスペースになる造りだ。

ホワイエからフレンチドアを開けるとワンルームタイプの居室が広がる。ゆったりとソファが置かれたリビングスペース、クイーンサイズベッドを2台並べたベッドスペースを分けるのは、テレビやビデオデッキを収納したコンソール。家具はヨーロピアンスタイルでまとめられ、山のリゾートホテルらしい端整な仕上がりになっている。天井の間接照明、シャンデリア、数多いダウンライトやスタンドはそれぞれ独立してコントロールができて便利だった。

窓は2面あり開閉可能で、電動カーテンを採用している。眼下に桧原湖を望むのだが、この季節は完全に凍結しており、湖上にはわかさぎ釣りを楽しむ釣り人が見える。汚れのない一面の銀世界は神秘的だ。軒先には氷柱が下がり、雪が積もらないよう斜めになった屋根から、時折り雪の塊が滑り落ちる音が大きく響く。

バスルームは広々としており、斜めに配置されたバスタブと独立したシャワーブース、大きなベイシンとトイレがある。内装はタイルとモザイク大理石に加え人造石を使って仕上げだが、モザイクタイルの部分が非常によくできているので、それとバランスの取れたコーディネートをして欲しかった。アメニティはモルトンブラウン。バスローブも備える。

若者たちは最上階にある60平米のデラックスルームを利用した。山小屋風の高いとんがり屋根が特徴で、ゆったりとしたリビングスペースや洗い場付きの広いバスルームなど、スイートクラスの設備が整っている。

夕食はノースリッジにある中国料理「桃源」にてテーブルバイキングを。40種類のメニューから好きなものを好きなだけチョイスできる仕組みだ。店内は広く、サービスはフレンドリーで明るい。ボリューム感のある料理は、若い連中には評判がよかった。

温泉浴場も充実している。ちょっとしたプールほどの広さがある内湯と、桧原湖の景観と共に楽しめる露天風呂があり、茶褐色の湯は源泉掛け流しだという。早朝5時から深夜0時まで利用でき、宿泊客はもちろん無料、日帰り入浴は1,000円だ。温泉もノースリッジに位置しており、サウスリッジからは結構遠いのが難点。また、宿泊客が少ないからだろうか、館内の至る所が節電のために消灯されて寂しい。

夜遅くの到着で1泊だけという、物足りない滞在ではあったが、はるばる出かけてきた甲斐のあるホテルだった。圧倒的なスケール感と立派な設備は、名だたる高級リゾートと十分に肩を並べて通用するもの。外資の名を冠すれば、雪を求めて台湾あたりからたくさんの客がやってくるような気もする。せっかくの建物があまり盛らずにいるのはもったいない。

チェックアウト後は、猪苗代町役場近くにある「くいものやラ・ネージュ」に立ち寄った。店名も外観も洋食屋かカフェテリアかという感じなのだが、この店の自慢は手打ち蕎麦だ。その味は猪苗代のみならず周辺地域でも評判で、この季節でさえいつも混雑しているという。その噂に違いのない見事な蕎麦が味わえた。蕎麦の後に、そのままコーヒーやケーキを楽しめるというのも「ラ・ネージュ」ならでは。(耶麻郡猪苗代町字城南140-1TEL:0242ー62-5070)

窓側から入口方向を見る ベッド

リビング バスルーム

サウスリッジ客室廊下 サウスリッジロビー

茶褐色の天然温泉 ホテル外観

客室からの眺め ホテル正面玄関からの眺め

[裏磐梯猫魔ホテル]

Y.K.