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2005.02.03.(木)

ヒルトン小樽 Deluxe Plus Room
Hilton Otaru
楽-4 小樽回遊
レストランからマリーナを望む
公演の打ち合わせと準備のために訪れた小樽だが、後で振り返ったら、まるで観光としか言いようのない、充実した3日間だった。仕事の旅でこれほど羽をのばしたのは、初めてかもしれない。

降り立った小樽築港駅のホームから見る景色も、一面の雪だった。レールすらかろうじて見えるほどで、列車が過ぎるや否や、降りしきる雪が真っ白に染め直してしまう。空も海もグレー。マリーナの海面は一部が凍結している。見渡す限りのモノトーンの世界は、心の芯まで引き締めてくれる。

フロントはてきぱきとしており、客室もいつも通りだ。広々とした客室には5箇所ものハロゲンライトを使い、家具の質感もいい。コンセントも多く、機能的で使いやすいデザインだ。最近はロシア人や中国人のグループ客が多いようで、ロビーは国際的な雰囲気で賑わっている。また、夕方以降は日本人団体客も加わり、館内は廊下も含めて騒がしくなることも。

サービスについては、フロントや客室係など、宿泊に関するセクションは好感が持てるが、レストランでは一部に感じの悪いサービスをする係がいる。テーブルでの食器の扱いがぞんざいだったり、立つ姿勢が悪いなども、失態ではないにしても、見ていて気持ちのよいものではない。

滞在2日目は、小樽の観光名所を一通り案内してもらい、古い建築や歴史に十分に触れることができた。中でも鰊で財をなした人の屋敷が興味深かった。それにしても、この凍てつく寒さの中、広い屋敷に住まうことは、かえって大変だったろうにと想像される。逆に、ガラス製品の工房では、冬でも半袖でなければ過ごせないほど、炎の熱が肌をも焦がす。溶けたガラスへ一心に魂を吹き込む職人の姿は、物静かだが力強かった。

ランチタイムにはホテルノイシュロス小樽のダイニング「ブラウ・キュステ」に立ち寄った。古いホテルを全面改装して新たにオープンしたオーシャンビューが魅力のリゾートホテルだが、この季節はさすがに客足もまばらなようだ。吹雪く日には目の前の視界すら奪われ、アクセス不能になることもあると言う。この日も雪が舞っていたが、時折り海や海岸線を眺めることもできた。ランチコース3種の他、パスタセットも用意されているが、今回は中間の3,135円のコースを注文した。女性によるサービスは、控えめだが丁寧だった。彩り鮮やかな盛り付けは見た目にも楽しく、よい素材を使っていて味もよい。値段以上の満足が得られる。

夜に立ち寄ったのが、運河沿いにある「福鮨運河店」。鮨職人でありながら、洋食の心得もあるに違いないと思わせるご主人の感性には脱帽した。店内にはテーブル席や座敷もあるが、無口だが優しい表情をたたえつつ素材と向き合う姿を眺めるにはカウンターがいい。店が混雑してくれば、ご主人の腕と頭はますます冴えてくる。滞りなく料理を出すのが物理的に難しい状況になっても、客をがっかりさせることがない。こちらはじっくりと時間を掛けて味わう気構えでいるので、待たされることも苦にならないが、ご主人の気配りが感じられると、待つことすら楽しく思えてくる。とにかくすべてが素晴らしい味だった。店はホテルノルドとソニアの間に位置する。

最終日の昼前には、「小樽倶楽部」という運河近くの喫茶店で、ノスタルジックな気分を満喫した。古い建物を再利用した店は、小樽にも数多くあるが、完全に時が止まったままのような優しい雰囲気は、作ろうと思って作れるものではない。昔ながらのストーブや、ちょっと危なっかしいトイレなど、初めて来たのに、何年も前から通いつめているような気分にさせてくれる。ごく普通の喫茶店だが、そのフツウさがグッとくる。

帰りの飛行機は久しぶりの日本航空国内線だった。スーパーシートがなくなってから、あまり乗らなくなった。クラスJに初めて乗ったが、スーパーシートの代わりにはならない。この日はデリケートなレザージャケットを着ていたのだが、座席に座る前に脱ぎ、丁寧にたたんで上の棚にしまった。その後、キャビンアテンダントが他の客の土産物をジャケットの上に載せようとした。気をつけてくれるよう声を掛けたが、「フンッ」という感じの反応をして、そのまま乱暴に荷物を押し込んでしまった。

幸いジャケットに大きなダメージはなかったが、日本航空がこのようなサービスレベルにあることは嘆かわしく思った。どのキャビンアテンダントにも、客の面倒を見るだけの余裕が感じられない。以前はこの上なく優雅で気品のある人たちだったのに。今は、ただただ何かに追われて焦っているようにしか見えなかった。そして、それは彼女らの本意ではないと、彼女らの目が訴えているように思えた。

32平米の標準客室 家具は機能的な配置

ダブルベッド バスルーム

フロントカウンター モノトーンの世界

運河近くの喫茶店「小樽倶楽部」 旧日本郵船小樽支店内

「福鮨」のカウンター 「ノイシュロス」のダイニングで出たアワビ

[ヒルトン小樽] 001128 020321 031209

Y.K.