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2005.01.21.(金)

シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル Suite
Sheraton Grade Tokyo Bay Hotel
哀-4 失われた美意識
カスケードラウンジのシャンデリア
このホテルでクラブレベルやかつてのタワーズでないレギュラーフロアに泊まるのは今回が初めてだ。リゾートの開放感とくつろぎを、ラグジュアリーホテルのサービスで満たしたタワーズが閉じてから、一度だけクラブレベルに滞在したが、その差はあまりにも大きかった。では、クラブレベルとレギュラーフロアの差はどの程度なのか。それは滞在してみなければわからないので、実際に利用して比較することにした。

チェックインしたのは16時。すでにテーマパークを目当てにこの地を訪れた子供連れやカップルなどで、ロビーはおおいに賑わっている。チェックインそのものは、とてもスムーズに済ませることができた。係はフレンドリーで、テーマパークのキャストにも負けない、はじけるような笑顔が印象的だ。手続きが済むと、案内の順番が来たら呼ぶので待つように言われる。ベルが少ないのか、滞るのは部屋への案内らしい。パーク内のアトラクションのように、案内まであと「15分」との表示が出ている。

パーク目当てのゲストは、限られた時間を有効に使いたいと考えているのかと思いきや、みんな病院で薬をもらう時のように、おとなしく案内の順番を待っている。自分たちで先に部屋へ行き、荷物を後から上げてもらったらいいのに、待つのがルールだと思っているのか、あるいは、せっかく立派なホテルに来たのだから、案内してもらわなければ損だと思っているのか、いずれにしても、どの客もみな律儀に待っているところが、むしろ不思議な光景に見えた。

アサインされたのは9階のパーク側、72平米のスイートだった。客室はベッドルームとリビングルームに分かれ、それぞれ大型の家具とリゾートらしいファブリックでコーディネートされている。真鍮や艶出し塗装の華やかさの中に、東洋的なモチーフを巧みにブレンドしたインテリアは、まさにアメリカンテイストだ。見た目だけはオープン当初の雰囲気が保たれてるが、滞在すればいやでも使い心地を実感せざるを得ない部分は、ことごとく質が下がってしまった。

たとえば、リビングのソファはベッドにもなるタイプに入れ替わり、クッションが硬く座り心地が悪い。キングサイズのベッドも、この上なく硬いマットレスに極薄の寝具と、ビジネスホテル並みのクオリティ。一晩寝たら体中が痛くなってしまった。アメニティは最低限の品揃えで、トイレットペーパーに至っては、透かしてテレビの字幕が読めるほど薄く、最悪の肌触りだ。一応、バスローブは備えられており、タオルだけはまあまあなのが救いだった。チェックインの際に、10階の改装工事の音が響くかもしれないと言われていたが、それよりも廊下で騒ぐ子供たちの方が活発だった。

夕方にもそれなりに賑わっていたパブリックスペースだが、夜になって更に人の往来が激しくなり、週末のイオンショッピングセンターのような雰囲気だった。「サムプレイスエルス」は休業中で、その前のカフェテリア式の「マーケットエルス」ではカツカレーが1,600円、紙コップ入りコーヒーが450円という値段設定だ。店内はひどく安っぽい上に非常に不衛生。まるで昔の海の家かスキー場だ。ゴージャズだった「カスケードラウンジ」はもはやファミレスみたいだし、「グランカフェ」も効率だけを重視した空間配置になっている。

このホテルに、もはや美意識は存在しない。ニーズに合わせた結果なのかもしれないが、客はもっとクオリティの高いものにふさわしい額の料金を投じているのだから、それに見合う水準を保って欲しかった。サービスに関しては、熱心さが感じられる。きめ細かいことはできないが、ノリと愛想はよかった。また、レギュラーフロアと比べたら、クラブレベルで得られるサービス内容や客室アメニティの差は、十分価値のあるものに感じられた。

スイートのリビング ソファは座り心地が悪い

家具は立派だ 寝心地最悪のキングベッド

大理石製のダブルベイシン バスルームは大理石張り

外観 立派なエレベータホール

社員食堂のようなグランカフェ ファミレスみたいなカスケードラウンジ

[シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル] 920901 930625 950417 950625 970526 021129

Y.K.