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2004.04.12.(月)

ホテルアバンシェル赤坂 Junior Suite
Hotel Avanshell Akasaka
哀-3 ホテルに恋したマンション
レザーのソファ
オープン間もない新コンセプトホテルに宿泊した。前宣伝によって掻きたてられた期待が大きかったからか、利用した感想は複雑なものだった。ホテルのサイトなどから受ける印象は、スタイリッシュな空間で我が家のように過ごす都会のホテルライフをイメージできるが、それは想像力の働かせすぎであった。チェックアウトした後に改めてサイトを見れば、なるほどウソは書いていない。「私邸のようなくつろぎをお届けしますよ」ということを、装飾的な言葉で膨らませているだけだ。無理があるのは「高級アーバンホテル」とか「高級レストラン」という表現。いったい高級とはなんなのかわからなくなりそうだ。

まずエントランスがわかりにくい。とても高級ホテルのエントランスとは思えない。夕暮れ時に到着したが、この日はまだレストランは開業前で、レストランでは開店準備に余念がなかった。レセプションホールは、確かに石張りで少々立派ではあるが、ホテルレセプションとしては情けない造り。ご近所のサンルート赤坂の方が立派。とにかく狭くて、高級スイートのバスルーム程度の空間だった。狭いカウンターには4名の係が立ち、慣れない手つきで慎重に手続きを行っていた。

客室への案内はなく、室内設備を説明したコピーを渡されると同時に、バスソルトを選ばされ、なんだかロイネットやヴィラフォンテーヌを思わせる。エレベータは1基だけ。それがやたらと待たされる。到着してからここまでの間に、抱いていた期待は完全に打ち砕かれた。なんじゃこりゃ。そう言うしかない。

エレベータを降りるとそこはマンションの廊下。一瞬、降りるところを間違えたのかと思った。廊下は風さらし。そりゃ、ブセナテラスにもそんな部分があるが、リゾートとは訳が違う。客室番号を確認して恐る恐るカードキーを挿すとちゃんと開錠した。間違いではなかった。扉を開くとそこはまさに踏み込み。下駄箱があり、居室は一段高くなっている。靴を脱ぐのかと思ったが、そのまま上がるように案内書きがあった。また、ルームキーを紛失すると200円だとも書いてある。

入口付近には本格的なキッチンスペースがあり、電子レンジも用意されているが、道具は一切なし。冷蔵庫には無料の490mlミネラルウォーターが4本入っていた。奥に進むと、大きな鏡に面したダイニングテーブル、レザーのソファ、テレビ台が置かれたリビングスペースがあり、更に奥へと回り込むとセミダブルベッドが2台並んだベッドスペースになっている。ベッドの前には十分な収納庫を用意し、バスローブなどを備えるが、ハンガーや引き出しが非常に少なかった。

空調もマンション用で、バルコニーに室外機が置かれている。思わずサンダルを履いて洗濯物でも干したくなるようなバルコニーだ。窓は多いが、カーテンやカーペットなども安普請。ベッドの寝心地はまあまあだが空調の作動音が気になった。バスルームはオーソドックスなプラスチックのユニットバスで、これぞビジネスホテルクラスだ。洗浄機能付き便座すら備えず、シャンプー類に至っては健康ランドのクオリティ。湯温も不安定だった。

無料のLANや、無料ドリップコーヒーなどはうれしいサービスだが、荷台はないし、テレビもつまらないし、オーディオもなくて、楽しい演出は皆無。長期滞在をターゲットにするにしても、コインランドリーすらないので中途半端だ。朝食は予約制とあった。静寂を強調しているが、3階の客室ではかなり外の騒音が気になる。

マンションをにわかにホテルとして設えたのは間違いなさそうだが、広さとクオリティのバランスが取れていない。この施設の存在価値を否定する気はないが、ホテルという空間に最低限求めたいものが大きく欠けている気がした。一瞬だけ赤坂に「暮らす」錯覚を感じたい人にはお買い得物件か。

セミダブルベッドが2台並ぶ 窓が多くて明るいのだが・・・

広い部屋に対して平凡なテレビ ベッド前の収納スペースはまさにマンション風

ダイニングテーブル周辺が一番垢抜けている 外気にさらされた客室廊下

バスタブ オーソドックスなバスルーム

[ホテルアバンシェル赤坂]

Y.K.