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2003年10月21日

京都全日空ホテル Superior Room
喜-3 季節感のあるホテル
滝の流れる庭を望むラウンジでは和服姿でのサービスが受けられる
京都でのホテルステイは10年ぶりのことだった。大阪・神戸にはよく出向いても、京都にはなかなか縁がなかった。だが、秋が深まり始めた京都の印象は素晴らしかった。京都にはホテルの中にも四季がある。季節ごとの空気感や人の気持ちの微妙な移ろいが、ちょっとしたところから感じられる。公演に沿って慌しく過ごしたため、街をそぞろ歩くこともできなかったが、京都の気質のようなものに、ふわりと包み込まれたような印象だった。この街がもっと好きになった。

京都駅からタクシーで15分程度だったろうか。小雨の降る中、細い路地をいくつも曲がりながら、京都全日空ホテルの正面玄関に到着した。この時ドアマンはおらず、自分で荷物を持ってロビーに進んだが、館内に入ると直ぐにベルマンが気付き慌てて手伝ってくれた。若い男性のフロント係は、非常に模範的な対応で、落ち着きながらもはきはきとして気持ちがよかった。その正確さは狂いのない時計のようで、スタッフ用マニュアルビデオや館内案内ビデオの撮影に参加しているような気分を味わわせてくれた。

こぢんまりとしたロビーには中央の吹き抜け階段を囲むようにして、14脚のアームチェアと8名分のソファが配置され、自由に利用することができる。大理石と真鍮を使った全日空ホテルズらしいデザインだが、織物をはめ込んだ丸テーブルや見事な洛中洛外図など、京都らしい演出も印象的だ。ロビーに続いて滝を配した庭を望むラウンジやバー、レストランがある。ラウンジでは着物姿のスタッフがサービスに当たっている。中央の階段を下りた地階にもスペシャリテを用意するレストランを配置している。案内によれば、着物姿のゲストは10%引きになるとのこと。

客室は7階の二条城を望むベストビューのダブルルームを用意された。30平米に少し欠ける程度の室内は、ひとりで過ごすには丁度よい広さで、オーソドックスなレイアウトながら使い勝手のよい客室だった。昔のヒルトンや浅草ビューホテルなど、和のテイストを意識しているホテルと共通するデザインが随所に見られて面白い。デスク前のミラーも、ちょっとしたカーブをつけただけで和風に見えるから不思議だ。これが中近東ならアラビア風に見えるのかもしれない。

ベッドはキングサイズで、今はやりのデュベスタイル。ベッドの足元を見ると、2台のベッドを寄せてあるのだが、マットレスはキングサイズになっており、微妙なハリウッドツインのようでもある。デスクにはダイヤルアップながらも無料でアクセスできるインターネット専用ジャックがある。幅は広くないが、縦に長い窓にはライトアップされた二条城が美しく浮かび上がる。二条城が正面に見える客室は、ワンフロア63室中のわずか14室しかない。この眺めはなかなかのもの。

また、この客室には様々なアイテムが用意されている。まるで通販生活で買い揃えたかのようだ。加湿器、ズボンプレッサーまではありがちだが、足つぼ刺激板、靴用乾燥機、マイナスイオンドライヤー、くるくるドライヤー、デンマンブラシなど、ホテルではレアなものがあって面白い。また、客室備え付けの絵葉書は、フロントに持参すれば切手を無料で貼って送ってくれるサービスがある。

バスルームは細長いつくりになっている。入ったところがカーペット敷きのベイシンになっており、その脇にタイル張りのトイレとバスタブが並んでいる。ベイシンにはスツールや照明付きバニティミラーもあり、実に豊富なアメニティが用意される。ひょっとして、ここはレディスルームかな?と思ってしまうほど充実していた。タオルは3サイズが2枚ずつで、バスローブも備えている。バスタブにはサーモスタット付きのカランが付いているが、バスタブ周辺が少し暗いのが気になった。客室の入口付近もやや暗い。

夕食にはカフェレストラン「Cozy」を利用した。ブッフェを3,800円でやっていたが、それほど空腹でもなかったので、ハワイアンピザ1,200円にスープとコーヒーのセット650円をつけた。アルバイトと思われる女性たちのサービスも、素朴ながらとても親切で、なかなか感じのよい店だと思った。レジに立つ黒服も、常連客たちと楽しそうに会話しつつも謙虚さを失ってはいなかった。また、部屋付けにしようとルームキーを提示したところ、料金が自動的に20パーセント引きになった。客室案内にはサービス券を持参した場合となっており、それがないから割引されないと思っていたから、ちょっぴりうれしかった。

このホテルでは客室も悪くはなかったが、サービスの誠実さが非常に好印象だった。館内でとんがった感じのスタッフに出会うこともなかった。そして、マネージャーや黒服たちも、同じように真面目で感じのよい人たちばかりだった。外資系にはない日本のホテルらしいしっとりとした落ち着きや、表面を取り繕うだけで終わらせない真心からのサービスをこれからも大切にして欲しい。どんな立派な建物にも負けない財産を持ったホテルだった。

快適なキングサイズベッド 広くはないが使い勝手のよい客室だ

デスク周辺にも和のモチーフが生かされている 客室備え付けの絵葉書はフロントで切手をサービスして発送してくれる

客室奥から入口方向を見る クローゼット内には靴用の乾燥機も

シャンプーとトリートメント 実に豊富なアメニティ

標準的なバスタブ ベイシン下にはスツールやヘルスメータがある

窓から見る二条城 ロビーの洛中洛外図

外観 客室階エレベータホール

[京都全日空ホテル]

Y.K.