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2003年7月22日

ホテルオークラ新潟 Superior Room
喜-2 信濃川と万代橋
朝焼けの万代橋
新潟での4日間の公演に際して、主催者からホテルの希望を尋ねられた。大抵の場合、こちらの好みとは裏腹に、主催者にとって都合のよいホテルが選択される場合が多い。先方が用意してくれたものだからと、気が進まなくてもありがたく泊まらせてもらうケースがほとんどだが、あまりに好みとかけ離れている時には、自腹でもって宿を変えることもある。しかし、今回のように好みを尋ねてもらえるのが一番ありがたいのが本音だ。新潟にもいくつか魅力的なホテルがあって悩んだが、喜怒哀楽読者からのオススメもあり、オークラを選んだ。

新潟駅からタクシーでほんの5分程度、ホテルオークラは万代橋のすぐ脇に建っている。最近までオークラホテル新潟と名乗っていたが、チェーンのイメージをより明確にするために、ホテルオークラ新潟と名称を改めたそうだ。車寄せへのアプローチは、道路の構造上、表通りから直接入ることができず、ちょっと変わったコースを通るようになっている。エントランスは70年代のホテルらしい独特の風格があり、初めて訪れたにも関わらず、大変懐かしい思いがした。ドアマンやベルアテンダントに出迎えられ、ロビーに足を踏み入れると、オークラ独特の雰囲気に包まれる。そこには十分なゆとりがあるロビー空間が広がり、そこから数段下がったところにゆったりと配置されたソファが、オークラの血統であることを色濃く語っていた。

ロビーの上部は2層の吹き抜けになっており、天井からは昔風のシャンデリアが下がっている。エントランスを入って右手に進むとフロントカウンターがある。フロントの係も、ベルボーイたちも、東京のオークラにいるスタッフよりも、ずっとオークラらしい立ち居振る舞いをしていた。そして、最も東京と差をつけていたのは、アシスタントマネージャーたちのサービス姿勢だった。やもすれば投げやりな印象すらある東京の連中と比較すると、やわらかい物腰で丁寧に対応をしてくれる。どうすればゲストが気持ちよく過ごせるかを熟知しながらも、決してそれを振りかざさないところが好印象だった。

今回利用した客室は10階の万代橋を望むスーペリアルームだった。このホテルでは9階、10階、12階がスーペリアフロアになっている。他のフロアとの比較はできなかったが、どうやら最近改装を施したということらしい。客室そのものは、さほど広くない。30平米近くあるような印象だったが、ホテルのデータによれば26平米だとのこと。

部屋に入ると、まず窓際の天井から下がる長いカーテンに目がいった。部屋をすっきりと見せるいいアクセントになっている。室内には見覚えのある家具類が多数あった。どうも東京のオークラのお下がりを活用しているような気がする。そうかと思えば開業以来使い続けられているような家具も混在し、テイストがまとまりきっていない。ヘッドボードやナイトテーブル、クローゼットなどと、見るからにデビット・ヒックス氏デザインのデスクやテーブルとはどうしても溶け合わないのだ。ベッドは120センチ幅のものが2台入り、大きな枕が心地よかった。天井にはシーリングライトが設置されているが、点けるとムードがなくなる。こうしたちょっとレトロなホテルは、若干薄暗い方がイメージに合って味わい深い。

ふつう、ホテルにはサービス内容や館内の案内を記したディレクトリーが用意されているが、このホテルではそれがない。テレビでの案内放送もなく、ホテル内設備やサービスについてのヒントを、もう少し充実させて欲しいと感じた。ルームサービスは午前7時から深夜0時まで。LAN回線はなくインターネット環境は出遅れている。冷蔵庫にはビールやミネラルウォーターが若干用意されているが、ほとんど空に近かった。

バスルームはシンプルなつくりだが、使い勝手はよかった。床とベイシンの天板には大理石を使い、壁はタイルで仕上げている。カランの水量は強力で、シャワーにはサーモスタットが付いているので温度調節が容易だ。アメニティは品質、品揃えともに今ひとつだが、3サイズ揃うタオルは新しく肌触りがよかった。バスローブも備わっている。

この客室の魅力は、何といっても眺めだろう。信濃川と万代橋を間近に望み、刻々と表情を変えてゆくので、いつ眺めても新鮮だ。川や橋というのは、人の心に何かを呼び起こす作用がある。さまざまなものを象徴する川と橋を両方同時に楽しめるのも、オークラ新潟ならでは。このホテルに泊まるなら、はやりこの眺めを手に入れたいものだ。

24日の夜、部屋で過ごしていると、上の階が非常に騒がしかったので、様子を見に行ってみた。すると、そこには韓国から来ているジュニアサッカーチームが滞在しており、ほとんどの客室の扉が開け放たれ、若者たちが廊下や客室を縦横無尽に俳諧していた。ちょっと部屋の様子を覗き見れば、床には脱ぎ捨てた衣服やスナック菓子の空袋が散らかり、無邪気な子どもたちの一面が垣間見られ、微笑ましいと感じた。しかし、こちらもまだコンサートを控えているので、アシスタントマネージャーに相談し、ルームチェンジをしてもらうことにした。

マネージャーは丁寧に詫びながら、こちらの立場を考慮してくれ、12階の客室を用意し、自ら荷物を持って案内してくれた。新しい客室は同じカテゴリーながら、インテリアは随分と違っていた。12階の方が新しく、最近に改装された印象だったが、重厚感はなく、明るく軽やかな雰囲気だった。こちらは冷蔵庫が空っぽ。ベッドやバスルームの印象は、第一ホテルやエクセル東急のテイストに近く、どちらかというと女性向きな設えだ。

このホテルの設備は標準的で、驚くような工夫や仕掛けはないが、安心して滞在できる雰囲気があった。とりわけ格調が高いこともなく、風雅な空気があるわけでもない。しかし、生真面目でありながら、人間味も感じられるサービススタイルは信頼に値する。

しっとりと落ち着いた雰囲気のツインルーム デスクは広くて使いやすかった

ベッドやナイトテーブルに古さを感じる 色が混在するファニチャー

コーナーに位置するリビングスペース 控えめな品揃えのアメニティ

ベイシン天板は石 タイルが渋さをかもし出すバスルーム

昼の万代橋 エレベータホール

フロントの様子 広々としたロビースペース

この下からルームチェンジ後の12階の客室です

ベッド ベージュでコーディネートされた室内

デスク側 六角形のテーブルがオークラらしい

バスタブとトイレ 明るく清潔感はあるものの軽いデザイン

2003年7月23日
ホテルオークラ新潟 「都波喜」
楽-2 コシヒカリ
滞在中、朝食レストランとして3度利用した。礼儀正しい黒服のマネージャーに「おはようございます」と溌剌と声を掛けられ、席に案内される。店内中央にはブッフェ台があり、和洋の料理をバイキングで楽しめるが、定食やアラカルトのメニューも用意されている。ブッフェ台には、地元産のタマゴやハム、コシヒカリのご飯をはじめ、新鮮な野菜やフルーツなどが並ぶが、品揃えは少なめだ。

コーヒーや紅茶もブッフェ台からセルフサービスにて取るのだが、日によっては係が気を利かせて運んでくれることもあった。済んだ皿を下げる際、「お済みでございますか」と言うスタッフが多いのが気になった。韓国のサッカー少年たちは、朝の練習が終わった後、ここ「都波喜」で朝食をとる。緑のジャージ姿で店に入ってくると、ブッフェ台から豪快に料理を取って、もくもくと食べている。自分たちの客室とは違い、他にゲストがいる空間では、礼儀をわきまえて行動しているのが印象的だった。

2003年7月23日 夜
ホテルオークラ新潟 「スターライト」
喜-3 ミスマッチ
ホテルの最上階に位置し、ラウンジとダイニングを兼ねた「スターライト」は、客船のダイニングルームを思わせるロマンチックな空間だ。ソフトフォーカスで撮影した写真のように、どこか懐かしさを漂わせている。ゆれるキャンドルに、少し低めのアームチェア、そして、眼下に広がる川面と新潟の夜景がムードを高めている。超高層でなもないし、夜景もまばゆすぎず、このホテルのサービス同様に、やや控えめながらも、十分に説得力のある輝きを放っている。

ディナータイムにはコース料理を中心に、本格的なフランス料理を出しているが、22時を回ると、1階の「都波喜」が閉じることから、カレーやパスタ、サンドイッチなどのライトミールも提供するナイトメニューにかわる。コーンスープ1000円は、大きなボールにたっぷりと盛り付けられ、味も伝統的で懐かしかった。男性ボーカリストによる弾き語りの生演奏があり、雰囲気のある演奏で楽しませてくれた。もはや東京では味わえなくなってしまったレトロ感とロマンスがここにはある。サービスは行き届いており、オークラの名に恥じないもの。連れたちがメニューにない料理をリクエストしても、難なく対応してくれた。

2003年7月24日 夜
ホテルオークラ新潟 「桃花林」
楽-3 つゆそば
エントランス
細切りチャーシューとネギ入りつゆそば1200円、蒸し若鶏の胡麻ソースがけ1600円、春巻1本200円など、価格は驚くほど良心的だが、盛り付けは本格派で、味もなかなかだった。その反面、ハウスワインのバイザグラスは1000円と、飲み物はやや高め。サービスも若い女性たちが上品にこなし、安心だった。東京の「桃花林」と違い、客が少なく活気がないのが残念だ。

[ホテルオークラ新潟]

Y.K.