2001.08.02
アメリカンテイスト
ラディソンホテル成田エアポート Standard Room
楽-3

客室から望むサンライズ

海外へ出かける時、首都圏の住人は主に成田空港を利用するわけだが、都心から本当に遠い空港だとつくづく思う。特に出発便が午前の場合、手続きの時間や余裕を考慮すれば、早い時間に自宅を出なくては気が気でないし、特に車の移動で混み合った都心を通過するなら、間に合うか逃すかの賭けになってしまう。また、帰国した時は飛行機で疲れるというより、入国してから自宅までの方がよっぽど疲れるのは、着陸した時に到着したという実感を味わってしまい、その先が一層長く感じるからかもしれない。

そんな時、前後の日程に余裕があるなら、空港周辺のホテルに前後泊してみると面白い。多くのホテルが低料金で利用できるパッケージを出しているし、旅行中の駐車料金が一定期間無料になるホテルも少なくない。そして、地上でつかの間くつろぐエアクルーたちが醸し出すインターナショナルなムードが、出発の前後にも旅の雰囲気を感じさせてくれる。

ラディソンホテル成田エアポートは、空港周辺に密集したホテル群とは少しはなれた地域にあるために、エアポートホテルとは言っても、まるでリゾートホテルのような静かで落ち着いた環境が得られる。敷地は広大で、エントランス脇の芝生やバレーボールコート、屋外・屋内プールなど、スポーツ施設やレクリエーション施設も充実している。周辺はのどかな森林が広がり、まるですでに外国にいるかのような眺めだが、館内にはホテルの活気がある。

フロントカウンターにはエアクルーや前後泊のゲストなどが、キャリーバッグとともにチェックインする姿が目立ち、係はにこやかに手際よく手続きを行なっている。丁寧さだけでなくフレンドリーな印象が伝わっているアメリカンタッチのサービスは、フロントだけでなく館内のどこででも受けることができ、思いのほか快適で楽しい滞在だった。なにしろほとんどのゲストが大荷物でチェックイン・アウトをするから、ベルボーイの仕事量といったらものすごい重労働だろう。しかし、みな快活に爽やかにサービスに当たっていた。また、ロビーにはちょくちょくマネージャークラスが顔を出し、ゲストやスタッフの様子を見届けていたのも好印象だった。

利用したスタンダードルームは27平米のツインタイプだった。濃い色調のファニチャーやファブリックからもアメリカンテイストを感じることができる。室内は手入れが行き届いており、真鍮部分にも曇りがなかった。窓からの景色もなかなかのもので、特に森の向こうから上がってくる朝日は見ごたえがあった。室内の天井高は260センチあり、ベッドは115×203センチと幅は狭いが高さは60センチあって高い。枕はひとつで、寝具にはトップシーツを用いないセッティングだ。冷蔵庫は空だが、自販機コーナーがあって、500ミリリットルのペットボトルが180円、350ミリリットルの缶が150円で販売されている。氷は大きなキューブで、業務用の製氷機が自販機コーナーに置かれているところもアメリカン。そして、空調の冷房がキツいのもアメリカン。

ルームサービスは6:00から22:00まで。値段は手頃だが、注文は1,000円以上でお願いしますとのこと。朝食のルームサービスには、ミッドウエスタン、イーストコースト、ウエストコーストなど、多彩なセットメニューがあり興味深かった。地下にランドリーコーナーがあるほか、室内のクローゼットにはアイロンとアイロン台が用意されている。もちろん、通常のランドリーサービスもあるし、エアラインクルー用には制服クリーニングなどの特別料金設定もある。

バスルームは3.2平米のユニットバスで、220センチの天井高がある。床がグレーのタイルなのを除いては、一面が白でコーディネートされており、清潔感があった。バスルーム内にはBGMを聞く設備や洗浄機能付便座でないのは珍しくないが、電話機が着信専用のものすら設置されていないのは意外。アメニティはオーソドックスで、タオルは3サイズ。シャワー圧は普通。バスタブのシャワーカーテンが2重になっているのが、一番個性を主張していた部分だ。

もっともユニークに感じたのは、ペットの同伴を許可していることだ。とは言っても制限があり、5キログラムまでの小動物に限られ、万が一施設にダメージを与えた場合のデポジットが必要となる。スポーツやアメリカンテイストな雰囲気を味わいに、家族そろってペット同伴で、休日を過ごしに訪れるにはもってこいのホテルだ。リゾートとしても穴場的な存在。

クラシカルな色調の客室 重厚感のあるファニチャーが使われている

イスのデザインもいかにもアメリカ的 真っ白いタイルがはられたバスルーム

ベイシンとトイレ アメニティはオーソドックスだが、シャンプー/リンスはなかなかよかった。

窓の下にはプールが見える グラスフィールドから見上げるホテルタワー

「カリフォルニアレストラン」

館内にはレストランらしいレストランはここ1軒しかない。そのかわりに、この店はホテル内ファミレスともいうべき充実したメニューと手頃な料金設定をして、いつでもゲストをフレンドリーに迎えている。滞在中に3度この店を利用したが、飽きることはなかった。

店内は「ロイヤルホスト」によく似た内装だが、テーブルの上にアジアンテイストの楕円形のマットと水色の布ナプキンがセットされているところが、ホテルらしさを主張している。すべてのテーブルに小さな観葉植物が置かれているのもいい。午後3時半頃、小腹が空いて「ラディソンバーガー」を注文してみた。新鮮な野菜とジューシーな肉が、さすが本場の連中を満足させるだけの出来栄えで提供され、とても美味しかった。しかもサービスは溌剌としていながら、決してうるさくなく、親切な面も感じられた。

2度目の利用はディナーブッフェだった。20時を回ると2,500円で楽しむことができる。カニ足のカクテル、サラダ、オードブル類、ピラフやチキンなどの温料理、豊富な温野菜、そして、目玉はロースとビーフ。子供向けにはナポリタンや春巻きなどもある。デザートはケーキが数種、白ごまのムース、フルーツといった内容。これでコーヒーも付いて2,500円だから結構オトク。しかし、目玉のロースとビーフは部位がよくないのか、脂身がほとんどなく、ぱさついて、冷めるとかなり硬くなってしまうのが残念だった。その他のものはなかなか。屋外テラスの席ではバーベキューを楽しむこともでき、どこからともなく猫が出没してゲストにご馳走の分け前をねだっていた。

3度目はチェックアウト日の朝食。ブッフェ形式だが、品数も値段の割には豊富で満足。シリアルだけで6種あり、ワッフルやクリスピーベーコンなど、自分流の朝食スタイルを持っている外国人が多いホテルならではの品揃えだった。もちろん和食もある。その他、入り口のカフェコーナーでは、スタバ感覚でコーヒーやデザートなどを楽しむこともでき、さまざまな利用が可能な店だ。

スポーツバー「スーパースターズ」

ホテルバーというよりも、アメリカのちょっと地方のドライブインのような雰囲気のスポーツバー。カジュアルなスタイルでくつろぐエアラインクルーが多く、異国の地で久しぶりの再会をよろこび合うシーンが次々にあるような店。野球のバットを取っ手にしたエントランス、ジュークボックス、ポップコーンベンダー、ネオンサイン、スポーツフォト、ワイドモニターと、スポーツバーの必須アイテムが揃う他、カラオケも人気。キャッシュpンデリバリーで街場並の手軽な料金も魅力。ホテルバーらしさを求めるゲストには、ビックリ仰天されてしまいそうだが、これはこれでとても楽しいし、気に入った。

Y.K.