2000.08.21
琉球家庭料理
「壺中」那覇
楽-4

やはり旅先でおいしいものを食べようと思ったら、現地の人に従うのが一番だ。うまいものナシの沖縄にも、おいしい店はたくさんあるらしい。でも、そういった店が表通りに構えていることは少なく、路地を入ったところで堅実に商売していることが多い。それを観光客の立場で自ら発見するのは至難の技だ。

沖縄の伝統料理は個人的にはキライな部類でないのに、どういうわけかその手の店で食べておいしいと思った経験がなかった。でも、コンサートの打ち上げや個人宅のパーティでだれかが作って持ってきてくれる郷土料理はいつもおいしく食べている。

ここ「壺中」もそうした家庭的な味わいを大切にしてだれにでも抵抗なく受け入れられる料理を出しながらも、沖縄だなぁと思わせる琉球料理らしさを楽しませてくれる。58号線のRBCのビルから一本入った路に面したビルの2階であまり目立たないが、探して訪れるものまた面白いかもしれない。店の中は小上がりの座敷とカウンターに分かれており、気取らずにわいわいと居酒屋感覚で楽しめる。各種揃った泡盛の古酒も魅力のひとつだ。観光レストランに飽きたらぜひ。

2000.08.22
ゴーヤジュースで乾杯
「月ぬ美しゃ」那覇
喜-3

この日は地元の音楽家たちと一緒に食事をすることになり、皆さんがお気に入りの店に案内してもらった。約束の時間は午後9時。さすが沖縄、遅い時間からでもアクティブあなぁと感心する。日中は積極的にプロモーションをして回るスケジュールで、お昼を食べてから随分と間隔があり、おなかが空きすぎて空腹さえ感じなくなっていた。約束した国際通りの交差点に時間よりすこし早く着いたが、皆さんはすでに待っており、その足で近くの店へと連れて行ってくれた。

大通りから筋を折れ、細い路地に面した小ぢんまりとした店からは、やわらかい光とともに賑やかな活気がもれ伝わってきて、何も聞かずともこの店の人気が理解できる。店の中へ入ると、まず靴を脱いで板の間に上がり、掘りごたつ風のテーブル席かカウンター席に座る。カウンター越しに厨房が見え、カジュアルなユニフォームの調理人たちがめまぐるしく料理をしている。サービス人も含め従業員はみな若く、素朴な人柄を感じさせながら、それでいて手馴れた仕事振りを見せていた。

手書き風のメニューには沖縄の人か、よほどの沖縄通でなければ解読できない料理名が並んでいる。どの料理も値段が手頃なので、思い切って内容を考えずにオーダーしてみるのもおもしろいだろう。この日は皆さんのおすすめに従い、目の前に並んだ料理を一通り味わってみたが、どれもなかなかのもの。泡盛でも飲んでみたかったが、日中の疲れがあったのでセーブして、ゴーヤジュースを飲んでみた。ちょっとフルーティな冷抹茶という感じか。閉店時間まで楽しく過ごしたが、それまでほとんどひっきりなしに入退店があり賑わっていた。

2000.11.01
スコール
「コスタブランカ」砂辺・沖縄
楽-3

仕事が終わってからお世話になった現地の方々と食事を共にすることになった。那覇の店も面白いが、せっかくだからちょっとクルマを飛ばして違う街に行きましょうと、ホントにクルマをかっ飛ばして案内されたのが、砂辺という若者に人気のエリアにあるスパニッシュレストラン「コスタブランカ」だった。洒落た構えの店が軒を連ね、店先はすぐに防波堤があり、その向こうには海と那覇の夜景が広がるというロマンチックなロケショーンが魅力的だ。関東に置き換えれば鎌倉あたり、関西なら塩谷から舞子辺りまでの雰囲気に似ているだろうか。

我々が店に入ったときにはお客が誰もいなかったので、もう閉店かなと思ったのだが、まだ大丈夫ですよと招き入れられた。するとその後に続いて数組の入店があり、落ち着きと賑わいの中間くらいの、このロケーションにはピッタリの感じになった。メニューはバラエティ豊かなパスタやピッツアが中心で、好みのメインが選べるセットメニューも用意されている。味もなかなかのもの。

この日は急に強い風と雨が襲って、一時期は台風直撃のような天候になった。漆喰で塗られた店なので漏電しやすいらしく、食事中数回にわたって停電した。音楽と明りが急に消え、一瞬の静寂と闇があって、次の瞬間には風と雨の音が店の中を支配する。このアクシデントがこの島の気候と今回の旅を一層思いで深いものにしてくれた。

Y.K.