2004.04.02
アイロン
ホテルイースト21東京 Deluxe Room
喜-2

横長の客室内

このホテルのネックはやはり立地だと思う。これだけの設備とサービスを提供しながら、もし都心の便利な場所か垢抜けたイメージの街にでもあったなら、もっと高く評価されていたに違いない。スタンダードの客室面積が27平米と、都市型高級ホテルと胸を張るにはやや物足りないが、最近はやりの眺めとスタイリッシュさだけでナイナイづくしのホテルに比べたら、格段に柔軟で応用が利くと思う。エキスプレスランドリーやルームサービス、ビジネスサポートなど、準備されているサービスは十分に都市型高級ホテルの域だ。今回は急いでジャケットにプレスをする必要が生じ、アイロンを借りたかった。室内でアイロンを使用すると火災につながる可能性が高いことを理由に、断られるケースが多いばかりか、宿泊規約でアイロンなどの利用を禁ずるホテルも少なくない。確かに危険がないとはいえないが、タバコも十分に危険であることに変わりはない。イースト21では、アイロンを希望する場合にはアシスタントマネージャーまで依頼するよう案内に記載されており、アイロンを拝借したい旨を伝えると「ご一緒にズボンプレッサーもご用意させましょうか」と気を回してくれた。今回利用したデラックスルームは、横に細長いタイプで、2面の窓を持っている。大きく分けてベッドスペースとリビングスペースで構成されており、非常にしっかりとしたつくりのファニチャーが所狭しと置かれている。ごちゃごちゃとした印象は前回同様だが、慣れてくるととても使いやすい客室に思えてくる。ベッドの仕様はスタンダードルームと同等だが、ドレッサーは一回り大きく、別に用意されたライティングデスクやウォークインタイプのクローゼットもあり長い滞在にも対応できる造りだ。バスルームはベイシンの下までがカーペット敷きになっており、スタンダードよりも一回りゆったりとしている。トイレはウォシュレットだ。アメニティはスタンダードの用意に加え、バスローブ、爪きりやソーイングセットが入ったキット、マウスウォッシュが用意されていた。また、クローゼットに備わっているハンガーは幅広肉厚で使いやすかった。都会の穴場的ヘルスクラブは早朝から営業しており、12時までにチェックアウトすれば総合利用で2,000円と手頃。それ以降は4,000円となるが、すいている場合が多いのでそれなりの価値はあるだろう。ヘルスクラブの利用が含まれたパッケージ宿泊プランは通年用意されているので、利用する予定がある場合はその方がオトクなようだ。更に面白いプランとして、占いが含まれたプランも用意されている。「今夜は悪い夢を見ますよ」なんて言われたらどうしよう。でも、逆にハッピーな結果だったら、いい思い出になるかもしれない。

しっかりとしたファニチャー バスローブも完備

2000.04.23
ワインレッドなおふろ
ホテルイースト21東京 Suite
喜-3

赤いバスタブ

ホテル客室の最上階に用意されたこのスイートはスタンダードルームのちょうど2部屋分の面積があり、コンパクトながら充実した設備を集約している。入口を入るとリビングルームになっており、2人用のソファセットとライティングデスク、アーモア、ミニバーなど配されているが、狭い空間に大型の家具が所狭しと並んだ印象なのは、デラックスルーム同様だ。もう少し天井が高かったり、空間にゆとりがあれば、立派な家具の見栄えもまた変わっていたかもしれない。部屋に掛かる絵画はほとんどが油絵で、これもまた重みのあるインテリアゆえに、やもすればくどいと感じる人もいるだろう。しかしベージュや青銅色を基調としたお陰で、重苦しさは最小限にとどめられている。メンテナンス状態は良好で、家具の傷みなどはほとんど気にならなかった。非常に大きなアーモアにはテレビの他、ステレオが収納されており、両サイドにはスピーカーも埋め込まれている。リビングの電話機はコードレスだ。ベッドルームには110センチ幅のベッドが2台入り、窓際にドレッサーが置かれ、隣りにはアーモアがある。これといった仕掛けは見られないが、とても使い勝手がよかった。そしてこの客室でもっとも印象的だったのはバスルームだ。石をふんだんに使い、電球色の照明巧みに配し、ゴージャスで重厚な空間を作り上げた。バスタブやベイシンはワインレッドと、一見悪趣味に捉えられかねないものの、他では滅多に見られない雰囲気ゆえのありがたみは確かに存在する。ワインレッドのバスタブは、厚木ロイヤルパークホテルのスイートでもお目にかかったことがあるが、バスタブに張ったお湯の色が美しく見えないのが難点だ。色の付いた入浴剤でもいれようものなら、まるでコーヒーにでも浸かっているような色に見えてしまう。しかし、金や黒を多用したこのバスルームの内装にはマッチしているので、個人的には嫌いではない。蛇口もグレードの高いものを使い、流れ出る水のフォルムもひときわ美しい。もちろんシャワーブースを備え、トイレは扉で仕切られている。アメニティはデラックスルームに準ずるが、バラの一輪挿しが置かれたり、タオルにはホテルロゴが刺繍されているなど、若干の差があった。この客室の総面積に比べると、思い切った面積を割いたバスルームだといえるだろう。客室料金も比較的控えめな設定なので、手軽に利用しやすいのもうれしい。

室内には多くのスタンドがある 後の絵は油彩

イースト名物の読書灯は、このタイプには付いてない!! ベッドルームのアーモアとドレッサー

ゴージャスなバスルーム ステレオも埋め込まれた大型アーモア

鬼平膳 日本料理「さざんか」

実は、なにを隠そうここの「鬼平膳」の大ファンなのである。お昼は2,500円、夜でも4,000円でバランスの取れたヘルシーな食事を楽しむことができるのがうれしい。鬼平膳というネーミングの意味はさて置き、野菜や魚を中心とした料理は、家庭的でさっぱりとした「気軽なご馳走」という感覚だ。なんだか、気が利く女房をもらった感じ。どうしてもヘビーなものが多くなってしまう外食としては珍しく胃もたれの心配もない。季節ごとに内容が替わり、飽きさせない工夫をしていることもロングランヒットの要因だろう。店内はあまりすいているということがなく、特にお昼は隣接するオフィスビルのビジネスマンたちでいつも賑わっていて忙しそうだ。それでもサービスはいつも安定しているし、なかなか居心地がよい。テーブルは広く、配置もゆったりとしている。数寄屋風の贅沢な造りで、どの点を取ってみても2階のブラッセリーよりは遥かに利用価値が高いと思う。休前日が明けた朝だけ朝食の営業を行っているが、なかなか食べる機会がない。早くホテル全体の客室稼働率を上げて、常に朝食営業ができるようになって欲しい。

2000.08.13
プールは早めがいいみたい
ホテルイースト21東京 Deluxe Room
楽-1

7月の末、オペラ「ヘンゼルとグレーテル」の編曲をするために1週間ほどステイした際、客室係から「プールは今が比較的すいていて気持ちいいですよ」とアドバイスをもらったので、滞在中毎日行こうと思っていながら、結局はシゴトに追われ一度きりしか利用できなかった。ホテルイースト21のガーデンプールは都内でも有数のスケールと設備を誇る人気スポットだ。確かに7月中はそれほど混み合っておらず、朝っぱらから乗り込まなくても好きな場所のデッキチェアを使えたし、少々寒いのをガマンしさえすればのんびりとした雰囲気で快適だった。客室からちょうどプールを見下ろせたので、作業の合間に覗いたりしてみると、みな思い思いにくつろぎの時間を過ごしているのがよくわかる。しかし、そうしたくつろぎの場として羽根を伸ばせるのもせいぜい7月中。8月ともなれば連日ものすごい混雑で、日にちによっては入場できない日もあるらしい。プールでくつろぐゲストはほとんどがデッキチェアで本を読んだり日焼けしながら昼寝したりと、あまり水の中では長時間過ごさないらしく、プールの中はたいして混んでいるように見えなくとも、周囲にはぎっしりと人が取り巻いている。また、少々風が強かったり、パラパラとでも雨が降れば営業しない日もあるので注意が必要だ。ガーデンプールの利用料は、宿泊していれば2000円だが、外来だとトップシーズンなら1泊できてしまうような立派な料金を取られる。プール利用付きの宿泊プランでゆっくりとくつろぐのが賢いかもしれない。また、よりゆとりあるリラクゼーションを求めるなら、ヘルスクラブ「ジ・イースト」との併用がおすすめ。ヘルスクラブ内のロッカーで着替え、バスローブのままガーデンプールへ出られるし、日差しがきつければ屋内プールでクールダウンすることもできる。泳いだ後は、クラブ内のラウンジでくつろいだり、サウナで汗を流すなどして、一層充実したリラクゼーションタイムを過ごせるだろう。
話しは変わるが、よくよく考えてみると、このホテルではレストランを除けば、いつも若いスタッフばかりに接しており、貫禄のある熟練ホテルマンといった雰囲気をもった従業員を見かけたことすらない。たまにマネージャーらしき人がフロントあたりをうろうろしているが、校長先生がいたずらっ子を見るような目でギョロっと睨まれるだけで、開業以来一度もサービスを受けたことがない。若いスタッフたちは先輩格でもおそらく25歳程度ではないかと思われる。このホテルに限らず、こうした若いスタッフが中心でサービスに当たるとなると、気の利いた積極的なサービスは期待できない。何かして欲しい時に相手が気を遣ってくれるのを待っていると肩透かしを食らうことになるだろう。逆にこちらからどんどんリクエストを出してゆけば、権限の範囲内ならとことん動いてくれる。問題はその与えられた権限の狭さだ。現場をよく知らない管理職が顧客のニーズをろくに考えもせずに決めたことだけを守らせ、ちょっとしたことでさえも自分で考えて判断されることを恐れているように思えてならない。このままではホテルで働くのにアタマもココロも必要なくなってしまう。幸いぼく個人としてはこのホテルでそのようなことに落胆させられたことはないが、ふと垣間見せるような場面が何度かあった。目下、決して待たされてイライラすることもなく、あまり混み合っていないところが最大の魅力だが、今後は若いスタッフが自分の適切な判断を武器にのびのびとサービスに当たるホテルに成長してくれることを期待したい。

2000.11.08
喫煙室
ホテルイースト21東京 Deluxe Room
楽-1

いつも利用している禁煙フロア16階のデラックスルームが埋まってしまい、今回は同じタイプながら低層階のデラックスルームを利用した。こちらは喫煙可能な客室なのだが、部屋の中でもタバコの臭いはそれほど気になることもなかった。しかし、ちょっと部屋を見回せば、禁煙フロアに比べてカーテンの色や壁紙の汚れ具合などが随分と違うことに気が付く。だが、それが単にタバコの影響なのか、それとも禁煙室に比べて喫煙室の方が稼動がいいからなのかはハッキリとわからない。確かにタバコの影響と思える黄ばみ以外にも、読書灯が破損していたり、絨毯の染みが激しかったり、バスタブ周りにカビやカランの曇りなど、汚れが目立っていた。それよりも違いを感じたのは眺めだった。16階と8階ではほぼ倍の差があるわけだが、このホテルの近所はマンションなどの住宅が多く、それが目線と同じ高さにあると、妙に生活感が伝わってきてしまい、ホテルステイのありがたみが薄らぐような気がした。この高さでもとりあえずレインボーブリッジは見えるものの、目の前にあるヘルスクラブの屋根が夜景を大きく切り取ってしまっていた。チェックインしたのは、午前0時を回っていたが、どういうわけかこの日の館内は国際色豊かな客層でこの時間の割に賑やかだった。エレベータで8階に上がるまでの間でさえ、陽気な英語で話し掛けてくる謎のロシア人や、やけに謙虚な中国人などと遭遇し、たった数十秒の外国旅行気分を楽しめた。ついでに感じたのは、このエレベータ内には館内施設の案内が小さな真鍮のプレートにささやかに書かれているだけで、目立たないなぁということだ。階数表示ボタンの横にもなんら添え書きがないのも珍しい。

Y.K.