2000.01.01
正月さまざま
銀座東武ホテル Renaissance Twin
哀-3

充実のアメニティ

正月のホテルロビーといえば、新年らしい飾り付けや工夫を凝らした演出が付き物だと想像していたが、このホテルでは、そうした「正月らしさ」はまったく感じられなかった。むしろ、人通りが途絶え、まるで戒厳令が出されているかのように静まり返った銀座の街並みに合わせたのかと思うほどにひっそりとしたロビーが、「銀座の元旦」を物語っていたのかもしれない。

ホテル内では特別なイベントは行われず、レストランさえも、営業時間が短縮されている他は、いつもと変わらない雰囲気だった。それでも客室の稼働率はそこそこ順調な様子で、外から見る限りでは結構な数の窓に明かりが点っていた。チェックインを担当したフロント係は事務的な対応を身の上としているのか、正月にもかかわらず愛想のかけらも感じさせてくれなかったが、客室まで同行したベルマンはまだ初々しさが残る若者ながら、よい仕事をしようとする姿勢が顕著だった。

今回は禁煙ルームをリクエストしてあったのだが、客室に入るなり、ものすごいタバコの臭いに圧倒された。ところが室内を見回してみてもどこにも灰皿はなかった。ベルマンに尋ねてみたところ、このホテルでは禁煙室の用意はなく、リクエストがあった時に限ってオゾン脱臭をして灰皿等を外し案内するシステムだが、この状態は確かにひどすぎるので、すぐに新しい部屋を用意するとの返答だった。

彼の対応は適切だったと評価できるが、定められたことを一通り行ったからといって、この状態の客室を禁煙ルームとしてゴーサインを出したインスペクターの感覚を疑わずにはいられない。新しい客室は確かにタバコの臭いが気にならない客室ではあったが、こちらは喫煙ルーム。これではまったく逆ではないかと首を傾げずにはいられなかった。

10階のルネッサンスフロアは、一応特別階ということで、エレベータはルームキーを差し込まないと停止しない仕組みになっているが、客室内設備は一般階とまったく同じで、バスローブが付くこと、ミニバーにあるインスタントのコーヒーが無料であること、レストランで使用できる朝食券とラウンジで使用できるドリンク券が付くこと以外に違いはない。

客室内はオープンから12年が経ち、かなりくたびれてしまった。踏み固まってしまった絨毯や、ヤニだらけになった扉、ベコベコになったランプシェードなど、メンテナンスに手が回らないのか、する気がないのか、とにかく悲惨な状態だった。清掃もいい加減な部分があり、特にバスタブにこびり付いた垢は半端でなかった。上質な家具や、440チャンネル有線とステレオスピーカーなど、うれしい設備もあるだけに残念だ。

また、客室のすぐ横に配管が通っているとかで、深夜不気味な物音に悩まされた。翌日チェックアウト時にそれを指摘すると、配管が通っているんだから仕方がないと、平然とした態度を取っていた。ホテル側に落ち度があるなしにかかわらず、ゆっくりと休めなかったことに対する気遣いは見せるべきではなかったか。

カーテンの柄が華やか 家具はさすがの高級品

Y.K.