1999.11.08
豪農の姑
横浜プリンスホテル Standard Room
楽-1

ゆったりとした室内

2日に渡るイベント出席のため磯子を訪れ、横浜プリンスホテルに滞在した。通常33,000円のダブルルームがシングルユースで10,000円という破格の料金だったこともあって、多くを期待せずにいたら意外と満足度が高かった。

このホテルは磯子駅方面から来ると、急な坂を上がった丘の上にあるので、低層階からだとしても見晴らしは抜群だ。この料金だというのに11階にアサインされたので、かなり遠くまで見通すことができた。建物が緩やかな弧を描いて建っているので方向によって眺望に差がある。スイートが横浜方面にあることから、部屋番号が若い方向がよい眺めとされているようだ。

今回の部屋は、横浜とは反対側の八景島方面を望む眺めだったが、控えめな夜景にかえって趣きを感じたので、こちらはこちらなりに良さがあると思う。ただ、眼下で土地の造成が行われており、パワーショベルのうなりにうんざりすることもあるかもしれない。ところが、うるさいのはパワーショベルだけではなかった。隣室では中国人グループのお客さんが泊まっていたのか、集まっていただけなのか、いずれにしても深夜までかなりの盛り上がりようだった。壁の薄さにも問題はあるようだが・・・

客室は33平米あり、実際にはそれ以上に広く感じさせるシンプルなデザインだ。天井高は250センチあり、プリンスのシティホテルとしては群を抜いてゆとりのある空間設計だ。このゆとりは客室のみならず、館内の至るところで、村野藤吾氏による建築美とともに存分に味わうことができる。また、なんといっても平日は館内がひっそりと静かなのがいい。

客室でまず目を引いたのは、両サイドからアクセスできるクローゼットだ。あまり意味のあるデザインには思えないが、おもしろい意匠だ。エントランスから中扉を開けて進むと、200センチ幅のベッドが中央に置かれ、窓際に2つの肱掛椅子と丸いテーブルが配置されている。テレビはむき出しでその下が空っぽの冷蔵庫、ライティングデスクの両脇は引き出しになっている。スタンド類はすべてシンメトリックに対で置かれており、室内はかなり明るい。ライティングデスク回りからはコンセントやモジュラージャックが遠く、PC対応にはかなりの遅れを感じた。

バスルームはさほど広くはないが、ベイシンがバスルームの外に設えてあるので、プリンスの標準よりはかなりゆったりしている。バスタブは足を伸ばせるし、使用済みタオルを入れる籠や拡大鏡など、プリンスとしてはかなりの頑張りが見受けられる。タオルは3サイズの他にボディスクラブタオルも備える。バスローブがある部屋もあるようだが、さすがに格安ルームには用意されていなかった。アメニティは、ポーションのシャンプー・リンス、バスジェルの他、3つの石鹸など、比較的充実しているような気分にしてくれる。これも、プリンスにしてはという注釈付きだが。

感心したのは、清掃が行き届いていたことだ。さすがに設備の修繕にまでは手が回らないのか、家具類は表面が剥げたりしているものの、隅々まで清潔だった。なんだか田舎の豪農の昔ながらの家で、厳しく目を光らせる姑を連想させられた。

テレビやライティングデスク アウトベイシンのバスルーム

1999.12.20
カート
品川プリンスホテル新館 Standard Room
哀-1

コンパクトな室内

クリスマスを目前に控えて、いつも以上の人々でごった返すロビーには、ホテルを超えた活気が溢れている。ディナーの営業開始が迫ったブッフェレストラン「ハプナ」の入口には長蛇の列ができていたが、チェックインカウンターはさほど混雑していなかったので、スムースにチェックインすることができた。ここでは、ワシントンホテル同様に、カウンターであらかじめレジストレーションカードを記入してから、チェックインの行列に並ぶことになっている。銀行のキャッシュコーナーと同じくロープで一列に並ばされ、空いたカウンターへと進む。ホテルというよりは、空港のチェックインカウンターのようだ。

確か以前はベルがいて、大きな荷物がある場合は運んでくれたように記憶しているが、現在はベルがいない。ベルデスクであったと思われるカウンターには「フロントサービス」と表示されており、空港リムジンなどの案内をしているようだ。ベルがいない代わりに、正面玄関付近には空港によくあるようなカートが用意され自分で押して客室まで行くのだが、カートにはフロントまで戻すようにと書かれている。かりにもサービス料を徴収するのだったら、カートを廊下に出しえすれば回収くらい行ってもらいたいものだ。

客室には20平米程度と狭いスペースに、幅105センチ長さ195センチのベッド2台と、ライティングデスク、テレビ、小さなテーブルとアームチェアが置かれ窮屈な印象だが、幅180センチ高さ180センチのワイドな窓が、狭さを緩和させている。ワイドな窓からの眺めは、とりわけ高層階からからが見事だ。また、CATVの内容も充実しており、テレビ派にはうれしい限り。

バスルームは3平米とコンパクトで、バスタブは足を伸ばすことのできない大きさだ。トイレは洗浄式になっていないのが残念。タオルはスリーサイズが揃うが各1枚きりの用意だ。ラックレートが比較的手頃に設定されているほか、旅行代理店を経由すれば、更にオトクなパッケージが多く販売されているので、急な出張などに便利。ちょうど5周年を迎えたばかりだが、この稼働率にしてこの状態なら、メンテナンスは良好だと言える。

Y.K.