1999.08.21
徒話
「SATSUKI」ホテルニューオータニ
怒-2

コーヒーショップ「アゼリア」を全面改装してオープンした「SATSUKI」は、スタイリッュなインテリアと軽快なサービスで楽しむワールドワイドな料理が自慢の、コーヒーショップと呼ぶにはもったいない店だ。入口脇にはピエール・エルメのペストリーブティックを併設している。

店内は喫煙、禁煙の2セクションに分かれており、禁煙セクションの方は狭く、明るく健康的なイメージを狙ったのか、蛍光燈を煌煌と点灯しているので、あまりムードを感じることができない。一方の喫煙セクションは、広くゆったりとしたスペースを割き、間接照明を巧みに使った洗練された雰囲気の空間に仕上がっている。

朝食時に利用する場合、ブッフェのカウンターは喫煙のセクションにあるので、タバコの苦手な人は煙のたち込めるセクションに足を運んで料理を選ばなければならない。このセクションの分離は逆にした方がよいように思う。それを知って別の店に出直したかったが、今回は紀尾井ホールでのリサイタルがはねた後の遅い夕食だったので選択の余地はなかった。

メニューはプリフィクススタイルのディナーコースが3,300円から用意されており、選ぶ品数によって基本料金に差があるほか、選ぶアイテムによっても追加料金が必要な場合がある。その他のアラカルトはコーヒーショップらしい品揃えの他に、洋食屋さんの味を集めた懐かしいコーナーも用意されている。また、デザートはかなりの力の入りようで、コースのデザートも含め力作揃いだ。

あまりおなかも空いていなかったので、プリフィクスで一番軽いコースを注文してみた。スープはビシソワーズ、メイン料理にはタラバガニのサラダのようなものを葉巻状のコロッケに仕立てたものを選択。そしてデザートにはオリジナルモンブランというのを選んでみた。料理はこれといって目新しさはなかったが、デザートは確かにおいしかった。

一番残念だったのは、バケットが乾ききってバサバサなばかりでなく、他の食品と一緒に保存でもしているのか、いろいろな臭いを吸ってしまっていたことだ。そして、最後のコーヒーは結局出てこなかった。うっかり忘れることもあるかもしれないが、十分すぎるほどの従業員が頻繁に往来しているにもかかわらず、まったくテーブルに注意を払わないのには驚きだった。空いたデザートの皿さえ、最後までテーブルに残っていた。

従業員のうち幾人かは、翌朝のためのテーブルセットに夢中。その他は、たまたまひとりで食事に来ていたトゥールダルジャンの総支配人のテーブルに群がっておしゃべりしている。客の立場から見れば、たとえ食事中でも従業員同士の徒話だと感じてしまう。

全体的にサービスしている時の従業員の態度がよくない。柄が悪いという印象さえ受けた。今度紀尾井ホールでの催しがはねた時は、このホテルには入らず、多少遠くてももう少し快適な店まで足を運ぶべしと肝に銘じた。

Y.K.