1999.03.24
静かな一日
欧風台所「ラ・パレット」中央林間
喜-4

いまさらうれしくもないはずの誕生日。でも、その日になるとなんとなく楽しい気分に浸りたくなる。昨年はミュージシャン仲間がプライベートパーティーを開いてくれたが、今年は例年になく静かな一日になった。それを望んでいたのに、実際は拍子抜けする一日だった。

夜は独りで過ごすことにしていたので、昼食の時間帯に近くのレストランへ出かけた。友人がマネージャーをしているのでよく出かけるのだが、誕生日当日に行くのは初めてだった。

マネージャーからクリュグがプレゼントされ、一緒に乾杯。料理はシェフが文字どおり腕を振るって、特別なものをこしらえてくれた。その料理が想像以上においしいこと。思わずいつもこんな風に作ったらいいじゃないなんて言ってしまったくらい。最近は量を食べたくないから少しでいいと伝えてあったので、前菜と主菜の2品構成。グランメゾン並みに手の込んだ料理で、一つ一つに手間を掛けて仕込んである様は、一皿に盛られた懐石料理のよう。この店の料理をこれほど旨いと思ったことはかつてない。

食事が済むと、誕生日ならだれでもプレゼントしてもらえる小さなデコレーションケーキにロウソクが立てられ運ばれてきた。テーブルに置かれるやいなや、ふっとひと吹き。こういうのは結構照れくさいものだ。記念のポラロイド写真というのは、フィルムが勿体無いということで辞退した。

店のスタッフからだというカサブランカの花束までいただき、恐縮しつつも存分に楽しませてもらった。いくら高級でも知らない人たちばかりの店よりも、気持ちの通じる店の方が、居心地がいい。高級で気持ちが通じればなおいいけど。

夜は、希望通り一人きり。これは実際結構きつかった。つまらない。いつもは一人の時間は大好きだが、特別な日は、独りで過ごすものじゃない。結局、蕎麦を食べて終わり。なんか、さみしい。

Y.K.