1998.10.30
「のぞみ」ののぞむこと
新幹線車内にて
怒-3

これはホテルレストランとは関係ない話し。東京−大阪間に「のぞみ」が開通して、より近くなった感じがする。「ひかり」の時代はむしろ飛行機を利用することが多かった。面倒な手続きや空港までの交通を考えると、新幹線の方が圧倒的に便利だが、サービス面では飛行機の方が充実している。電話で予約や変更ができ、キャビンアテンダントはきちんとした接遇の訓練を受けている。マイルも貯まる。

新幹線にも最近はパーサーとかチーフパーサーなる人がいて検札などをしているが、「飛び職」の人からすれば笑わせないでよって感じだろう。実際、車内販売のお姉さんが、パーサー風の格好をさせられ、パーサー風の仕事を押し付けられているだけのようにしか見えない。ついでに言えば、車内販売はサンドイッチとコーヒーで1,000円近くが吹っ飛ぶのだから、まだまだ高い気がする。

以前カフェテリアが登場し立ての頃は、チーズの盛り合わせを始め、バラエティーに富んだ品揃えで、ついつい買い込んでしまったが、最近は弁当とサンドイッチ程度しか扱っていない。

一番古いタイプの車両でなければ、車内で音楽が聞ける設備があって、普通車では手持ちのFMラジオで、グリーン車では手持ちのヘッドホンで聞けるようになっている。でも、普段からヘッドホンを持ち歩いている人がどれだけいるだろうか。以前は車内でも販売していたが、今では扱っていない。高いグリーン料金の割にはサービス無しなのだから、せめてヘッドホンくらい貸し出してほしいものだ。この現状で、いったい何人の乗客がオーディオサービスを楽しんでいるんだろう?

この日、新大阪から東京行きののぞみに乗った時のこと。車内は比較的空いていのに、ぼくの隣の席にサラリーマン風の中年オヤジが座ってきた。空いているのにどうして隣りなんだ!と思いつつもお互い様だろうと我慢していた。京都を出発して、東京まで一眠りしようかと思ったその時、彼のケータイがけたたましく鳴った。着信音はミッキーマウスマーチ。話す声も着信音に負けず大きい。「携帯電話のご使用はご面倒でもデッキでお願いします。」というお馴染みのアナウンスは彼には届いていないようだ。

その後にも、何度か掛かってきたり、自分で掛けたり。それも、どうでもいいような内容ばかり。しばらくすると今度は鞄の中の書類整理を始めたらしく、ドキュメントの束をテーブルだけでなく足元や、果ては通路にまで並べ始めた。通りかかった車掌さんが親切にも拾ってくれ、「スミマセン」なんて言ってはいたが、反省などしていない様子だ。

こんな人にはなりたくないと思いながら、世の中いろんな人がいるんだからと、諦めていた。彼が前方の化粧室に行って、戻ってきた時、彼の上着に付いた徽章をみてびっくりしてしまった。彼はJR西日本の徽章を付けている。どうりでグリーン車に相応しからぬ人が乗っているわけだ。JRの誇りであろう新幹線の車内で、乗客が快適に過ごすのを妨げているのは唯一、その管理者のひとりだった。最新の500系車両もさぞかし遺憾だろう。

Y.K.