1998.08.15
池の鴨
都ホテル東京 Standard Room
楽-2

東京はお盆の真っ只中。都心の道はスイスイで気持ちがいい。ホテルも、はやりのホテルは混み合っているだろうが、ビジネス利用が多いホテルはこの時期が狙い目だ。白金にある都ホテル東京もそのひとつ。この日はさすがに賑わってはいたが、地方からの旅行者の団体や、親族の集まりで宿泊しているゲストが多かった。

客室はスタンダードルーム29平米。全日空ホテルの28平米よりも随分広く感じるのは、淡い色のインテリアと、床まである大きな窓のおかげだろうか。テーブルにはポットとグラスが置かれ、ポットの中には冷水が入っている。ユニークでありがたいサービスだ。

窓の外には緑が多く、くつろいだ気分になれる。散策ができる庭園もあるが、残念ながら今回は庭園と反対側の客室だったので、窓から眺めることはできなかった。宴会場では、縁日みたいなファミリーブッフェを開催していて面白そうだったが、のぞいてみるとあまりお客は入っていなかった。人のいない縁日なんておもしろくないので中止。

食事はプティサロン「カフェミヤコ」で軽く済ませた。ご近所の方なのか、サービス人と親しく挨拶を交わすゲストが何組か利用していた。翌朝の朝食は、「クレドール」を利用した。実はこのホテルで一番の楽しみが「クレドール」の朝食だ。別にメニューが充実しているわけでもないし、サービスが心地よいわけでもない。インテリアは悪くはないが、好みとは言えない。一応ここはホテルのメインダイニングなので、白いテーブルクロスに布のナプキンを使用しているので、ゆったりと朝食をとれる環境だ。

しかし、ぼくの掛けたテーブルのクロスは汚れていたし、サービス人も朝から険しい顔をして、せっかく雰囲気をだいなしにしている。朝一番乗りだったのに、テーブルクロスが汚れているということは、昨夜から替えていないということだ。それでも、ぼくがここの朝食を楽しみにするのは、庭園にある小さな池を眺めながら食事ができるからだ。

池にはアヒルや鴨がいて、彼らは朝が一番元気そうにしている。気ままに泳いでみたり、佇んでみたり、見ていて飽きない。よく見るとカメもいる。窓ギリギリまで近づいてきてくれたりと、サービス人よりもよほどサービスがいい。トーストが冷めていても、コーヒーのおかわりをくれなくても、動物たちを見ながら食事ができるから、何でも許せてしまう。

今朝は、数が少ないなと思ってみていたが、食後に庭園に出てみると、鴨が網から出てしまって、戻れなくなり困って鳴いていた。つかまえて戻してあげようと追いかけるがピョコピョコ逃げてしまってつかまえられなかった。

Y.K.