1998.04.21
アールドヴィーブル
「エピドルレアン」新百合ヶ丘/「ラ・パレット」中央林間
喜-4

この日はフランスの普段着生活のような一日だった。朝からいつものCafeで朝食を。そして昼と夜の2回とも中央林間のいつものレストランで食事。その合間に音楽の仕事。こんな毎日だったら楽しいけれど、たちまち太ってしまいそう。

朝8時からオープンしている店などどこにでもあるが、このカフェは少し違う。昼間はおしゃべりの声が絶えることのない活気ある店だが、朝は落ち着いたいい雰囲気だ。出勤前にひとりで来ている客がほとんどなのだから静かで当たり前だが、犬の散歩途中にオープンエアの席でコーヒーを楽しむ人の姿や、朝の空気そのものの爽やかさでサービスに当たるギャルソン、おいしい本場のパンの味わい、これらに接していて豊かな気分にならずにいられない。

オルレアン地方産出の特上小麦のみを使用して焼き上げたPain de Campagneに軽く火を当てて食べる。口に運ぶ前に感じるその深い香りに、一瞬気が遠くなるほどだ。この極上のパンとコーヒーを好きなだけ楽しんで500円という破格。しかし、おなかいっぱいにしたい人よりも、朝から気分を高めて、いい一日を持ちたいという人に利用してもらいたい。

朝食の後ひと仕事あってから、午後は中央林間の欧風台所でデジュネを取った。約束が立て込んでいたので、ほんの30分ほどしか店にいられなかった。それでも、Wine Pageで紹介しているワインを味わいながら、そのワインに合うと薦める「平目の香草パン粉焼き」を試してみた。細かい蘊蓄はソムリエに任せるとして、おすすめ通りの素晴らしい相性だった。

短い時間で慌てて食べたにもかかわらず、印象が記憶となって留まっていることからも、料理・ワイン双方が冴えていたことが伺える。こうして味わうと、今度は欧風台所というより、フレンチレストランだと言った方が相応しいような気がしてくる。

さらにひと仕事終えた後、再び中央林間へ。この日はこの店に初めてお連れする大切な友人との食事だった。この店が再びこうした要求条件の高い食事にも対応できる準備を調えたことは実に素晴らしい。気さくな雰囲気の店でありながら、会話を邪魔することのないスマートなサービスがあり、存在感溢れる力強い料理と、このご時勢には考えられないほどにリーズナブルな高級ワインがある。

ムルソーとレフォールドラトゥールをそれぞれデミであけ、最も高いコースを2人で食べても3万円でタクシーで家に帰れるくらいお釣が来る。強いて言えばデセールと食後のコーヒー紅茶をぜひどうにかして欲しい!

Y.K.