1998.04.10
深夜クラブ
「シンポジオン」代官山鉢山町
楽-3

ファッショナブルな店が軒を連ねる旧山手通り沿いに新しくエキサイティングなレストランがオープンする。この日はそのオープニング前夜祭に参加するチャンスに恵まれた。招待状には「思い思いのドレスアップでお越しください」との注意書きがあり、さて何を着ていこうかと迷いに迷った。客層や雰囲気がよく把握できていなかったからだ。この店のオーナーは平松氏だから、きっとクラスの高い客が集まるのだろうし、オープニングだから店に敬意を払って結局お気に入りのタキシードで出かけることにした。

スタートは深夜24時。そして、28時28分に終わることになっている。広尾のグランメゾンと同じ感覚でいたので、当然バレーパーキングをするのだろうと思い、時間ぎりぎりに車を正面に付けると、まず「その辺と言っちゃなんですが、適当に停めてください」と言われてしまった。

店の前にタムロしてる客も平服だし、妙に若い。週末とあって車を停めるには困難を極めたが、とりあえず駐車スペースを確保し、道すがらタキシードで街をうろうろしても少しも変に思われないところも、この辺りならではだなぁなんて考えながら数分歩いて店に向かった。

すでに相当数の客でごった返している中、大勢のスタッフに迎えられながら店内へ入ると、ハウスミュージックとプロジェクターから写しだされるキッチュな映像が迫る。客はシャンパンやワインを片手にカナッペをつまんだりタバコをふかしたり、思い思いのおしゃべりに興じている。そうか!これはセレモニーと言うより、深夜クラブなんだと、はじめて気付いた。タキシードでなくコスプレで来た方が喜ばれたに違いない。

やや気劣りしながらも、せっかく来たのだから楽しもうと意を決して溶け込んで、初対面の人々との会話を楽しんだ。途中、ピチカートファイブのライブがあり、彼らのパフォーマンスを聞けただけでも十分価値ありだ。この店が通常どんな形態で営業するのかを今日のイベントから判断するのは極めて難しい。でも、かの平松氏が今まで日本の食文化に対して提案してきたことの実績を考えれば、足を運ぶ価値が十分にあるはずだ。

営業は夕方6時から3時まで。これなら舞台がはねた後でもゆっくりと食事ができる。メニューには本格的なオードブルが多数用意されており、ワイン片手につまみ感覚で楽しめる。おなかがすけば本格的な料理も手ごろなものから高級食材をふんだんに使ったものまである。成り金の皆さんと食卓を共にしたいサイフの寂しい方に特にオススメのレストラン。芸能人に会いたいミーハーなかたにもぴったり。でも、本当においしいものをよいサービスで召し上がりたい方はぜひ広尾の方へ。

1998.04.28
エロスの館
「シンポジオン」代官山鉢山町
哀-1

急遽アポイントがキャンセルになったので、「シンポジオン」に出かけてみた。休前日できっと混み合っているだろうと思いきや、9時過ぎに入店してガラガラ。従業員の数の方が圧倒的に多かった。その後、10時を回ってからちらほらと入店があった程度。

パーティーの時のより、ぐっと落ち着いた印象を受けたのは、余りの人出だったパーティーの時より空間が十分あったからだろう。フランス料理中心の店で、これほど軽快な音楽を流しているところもまたとない。流行のポピュラーミュージックが流れているが、それはそれで雰囲気にマッチしている。

料理はとても元気だった。ペリゴール産のフォアグラはグランメゾンの料理に匹敵しているし、野菜一つ取っても味わい深いものだった。デザートのパイナップルのフュイテは焼き立てのアツアツ。しかしカナダのオマールは片腕だけ火が通っておらず生だったし、料理を出すタイミングが十分に計算されていないなど、まだ課題が多いはずなのに、従業員たちはこれでよいと思っているような印象が強かった。

会計時にもちょっとしたトラブルがあって、不慣れさを感じると同時に、その不慣れさを恥じる気持ちがないことを垣間見せたのが残念。2人でハーフボトルのシャンパンを飲んで食事をしてざっと3万円を超える。高級店顔負けの価格設定。ならば高級店に出かけた方がいいかもしれない。ただ、それらの店が閉まった後の時間帯はおそらく独壇場だろう。

1998.05.29
旧山手通り
「シンポジオン」代官山鉢山町
哀-1

コンサートがはねて夜9時過ぎ、この時間にまともな食事ができる店は本当にありがたい。ゴールデンウィーク中の金曜日はガラガラだったが、この日は、比較的多くの客で賑わっていた。料理も悪くないし、雰囲気は抜群だが、サービス人はやや洗練度に欠ける。向上心が感じられず、今持っている手の内で満足しているかのように見えた。

Y.K.