1997.09.27
門限付き駐車場
オークラアクトシティホテル浜松 Suite
哀-3

浜松駅前にそびえたつ超高層ビルの上層部に、オークラアクトシティホテル浜松がある。新幹線の車窓からだと、線路からあまりに近いために、意識して見上げていないと見逃していまうが、この地域では群を抜いて高いビルだ。

東名のインターチェンジから国道を経由してホテルに向かったところ、結構早くからホテルが見えているが、なかなかたどり着かなかった。ぽつんと一本だけ高いビルが建っているので、遠くから見ていても近くにいるように錯覚する。

駐車場のゲートを見ると、夜間は車の出入りができないと書いているので、エントランスの駐車スペースに停めさせてもらおうと、ドアマンに交渉した。答えはNOだった。「このスペースはレストランなどをご利用で1〜2時間の短時間の駐車に限ってご利用いただいております」とのこと。理屈は分かるが、これこそ短時間ならば駐車場を利用すればいいではないか。

そもそも、駐車場がビル共同とはいえ、ホテルオークラの駐車場を兼ねているのだから、24時間営業するべきだ。何らかの事情でそれが不可能なら、代わりのアイデアを出してくれればいいのに、現状では停めたが最後、朝まで出せませんという状態。半ば強引にエントランス前に停めて、チェックインをした。その後何度かエントランス前を見たが、そのスペースは常にガラガラだった。はじめから快く「どうぞこちらへ!」といってくれれば、随分と印象がよかったのに。

案内されたスイートはちょうど建物の側面にあり、他の客室と窓の形状が違う。他の客室は、高さのない横広の窓だが、この客室の窓は幅はないが高さがあり、多分こちらの方が眺めが良さそうだ。インテリアは個性的で、好みが分かれるだろう。

リビングルームには中央にソファーセット、窓際にテーブルセット、そして、壁に向かって2つのライティングデスクが並んでいる。一方はドレッサーなのだろうが、同じようなつくりで見分けがつかない。両方ともデスクに向かうと半円状に鏡張りになっていて、自分の顔がたくさん映っている。不気味な光景だ。

ベッドルームは小ぢんまりとしているが、ベッドは大き目で心地よい羽毛布団だ。バスルームは非常に充実しており、ウォークインクローゼット、トイレ、バスの3室構成になっている。クローゼット内にもベイシンがあり機能的だ。もちろん総大理石張りでシャワーブースを備える。客室内は自由に照明を調光でき、便利だった。

このホテルは、夜景が素晴らしい。他に視界を遮るものがないから、かなり遠くまで見渡せる上に、野暮なネオンサインなどが少ないし、空気が澄んでいるので、ものすごく美しい。東京などの大都市高層ホテルとはまったく別の景観が望め、印象深かった。

レストランは、申し訳ないがまったくもってダメだ。オークラといえども地方の三流ホテル並みの味だった。かろうじて評価できるのは、31階の鉄板焼「さざんか」だろうか。店内は蛍光燈が煌々としているし、椅子も掛け心地が悪く落ち着かないし、シェフも暗い雰囲気で盛り上がらなかった。コルトンシャルルマーニュを頼んだが、不慣れな若い女性にサービスされ、ガッカリだった。その割にはとても高い。

「フィガロ」は高い割にメニューに魅力がなく、入る気にもなれなかった。「桃花林」は東京でも神戸でも大好きな中国料理店だが、どうもここは怪しい雰囲気だったので、イメージを壊さないためにパスした。ドアマンの印象はあまりよくなかったが、フロント係はとても優秀で、ひとりでもオークラらしい人に出会えてよかったと思う。

Y.K.