1997.05.25
傷ついたホテル
箱根ホテル Superior Room
哀-1

富士屋ホテルチェーンが運営する箱根ホテルは、芦ノ湖の湖畔にたたずむ近代的な建物だ。湖に向かってコの字型に建っていて、すべての客室から芦ノ湖を望むことができる。外観同様、館内もとてもモダンなイタリアンテイストで、独特のムードを放つ。特に人の少ない日に訪れれば、ひっそりと落ち着いた雰囲気を味わえ、リラックスできるだろう。

今回宿泊した4階の客室は、天井がアーチ状に高く、最高で4メートルはあるかと思われる。また、客室の扉や窓も大型で、ドアノブは肩あたりの高い位置に取り付けられているのがユニークだ。バスルームは広く、ルーバーを開け放てば、バスタブから湖を望むことができる。また、タオル乾燥機が設置されているのもおもしろい。全室にビデオデッキが備わっており、テープの貸し出しも行っている。

この部屋は湖に対しちょうど正面を向いていて、外輪山の彼方にはくっきりと富士山も見えている。湖面と山並みしか見えないので、大自然に溶け込んだかのようだ。そして、このホテルには、小さいながらも温泉露天風呂があり、硫黄の香りを伴ない、少し白濁したなかなかいい湯が引かれているのがうれしい。ただし、一個所のみなので、時間で男女入れ替え制だ。サウナやジャクージも設置されていて、思い切りリフレッシュできる。

朝食は、中庭越しに湖を望むレストランでアメリカンブレックファストをとった。順序良くサービスされるが、コーヒーは食事の最初ではなくて、最後にサービスされる。サービス人は3人いたが、いずれも研修生らしく、不慣れな感じながらも、一生懸命サービスしていた。しかし、制服が極めて汚れており、不快な印象が残った。

この店には、以前に苦い思い出がある。朝方、伊豆からの帰り道に、箱根を経由した際、このホテルで朝食をとりたいと思い、この店に立ち寄った。しかし、宿泊客のみで一般のお客さんは入れないと断られた。「以前はそんなことなかったですよね」と確かめると、「実は、今日はこれから団体様が来るので」と主張が変わった。別にどちらでもいいが、せっかくあえて立ち寄ったのに、2人分の朝食も用意できないというのは、力不足だという印象を受けた。

また、客室のメンテナンスが不行届きで、天井や壁が染みだらけ。夜はともかく、日中はとても目立つ。シーツや枕カバーにも穴があいていたりする。せっかく全体的にいい雰囲気なので、少々のことで印象を悪くされるのは残念だ。

Y.K.