1996.10.19
DINE-A-STAY
ホテルインターコンチネンタル東京ベイ InterContinental Suite
喜-4

この年、ホテルインターコンチネンタル東京ベイでは、直営レストランもしくはクラブインターコンチネンタルフロアでの宿泊で、5,000円利用する毎に1ポイントずつ加算されるポイントカードのプロモーション「DINE-A-STAY」をおこなっていた。

ポイントに応じてさまざまな景品や特典と交換でき、100ポイントになるとクラブフロアのデラックスルームに一泊できることになっていた。今シーズンは400ポイント弱貯まったので、宿泊3泊分と「ラ・プロヴァンス」でのディナーに交換した。当初は100ポイントでデラックスルーム利用と謳っていたが、途中から同じ100ポイントでスイートが利用できるようになった。今回はそのポイントを利用しての宿泊だった。

ラックレート100,000円のインターコンチネンタルスイートは23階と24階に6室しかなく、トップスイート2室と合わせても、このホテルにはスイートがわずか8室しかない。このクラスのホテルにしては少ないように思う。6室のインターコンチネンタルスイートのうち、4室がダブルなので、ツインは2室。

その2室は、面積は同じでもそれぞれに客室内の設計やインテリアのテイストが違っている。今回利用した24階のインターコンチネンタルスイートは2ルームタイプで、リビングルームとベッドルームそれぞれに35平米を割いた、合計70平米の客室だ。

リビングには窓際にライティングデスクが置かれ、リビングルーム中央にソファセットが置かれている。このソファ、なかなか立派で座り心地も悪くない。ソファセットの下には、華やかな柄のマットが敷かれアクセントになっている。入口脇にはゲスト用のクローゼットと化粧室があり、ミニバーはシンクが付いたウェットタイプだ。ビデオデッキが用意されているものありがたい。

寝室にはマットが固く、やや高めのベッドが2台入り、その奥にバスルームがある。広さ的には十分で、デザイン的にもスタイリッシュな雰囲気にまとまっているバスルームだが、タイル張りなので100,000円クラスの客室にしては、高級感に欠ける。

「エイジアンテーブル」

アラカルトで5品注文して、ふたりで取り分けて食べたら、たいそうお腹いっぱいになった。6千円とちょっとだったから、とてもお値打ち感があった。デートコースとしてもぴったりの店だが、アラカルトの場合、バランスよく注文するのが難しいので、従業員のアドバイスを参考にしながらオーダーするとよい。それを面倒がってコースを注文すると、ひとり6,500円と高く付くだけでなく、オーソドックスな品揃えで面白味がない。

韓国風のシーフードサラダ(1,800円)はドレッシングがキムチ風でサッパリしている。ベトナム風揚げ春巻(650円)には、春雨と挽肉とキノコがたっぷり入っている。中国風南瓜粥(1,000円)は、米を使わずに仕上げているので、粥というよりも裏ごししていないスープという感じ。韓国風松茸チゲ鍋(1,500円)は松茸の香りとトムヤンクン風の辛いスープがゴハンと溶け合っておいしかった。デザートにはエイジアンテーブルの定番、ココナッツカスタード(1,000円)を。

グラスワインを注文したが、ワインの入ったグラスをテーブルにポンと置くだけ。せめて銘柄を説明するくらいはして欲しいものだ。サービスは全体的に向上しており、安心して食事を楽しめる店になってきた。平日の午後1時過ぎがもっとも狙い目で、レインボーブリッジを目の前に望む席で落ち着いた食事ができるだろう。

「ラ・プロヴァンス」

アミューズの真鯛のエスカベージュは作り置きの品なのか、まるで巷のカジュアルレストランのような品物。オードブルは真鯛のマリネだと説明されたが、漬け込みが浅いのか、ほとんどお刺し身状態。トリュフの香りだと言っていたし、トリュフらしきものも乗っかっているが、香りはまったくない。中央に盛られたポワローの方がトリュフよりも数段存在感があった。

魚料理は黒鯛のポワレ。今日は鯛づくしですか?と思わせるほどだが、あまり同じような食材を使いまわすのは好きでない。皮は油を含んで湿っぽかったし、身も軽い感じがしなかった。肉料理には牛肩肉のポワレ プロヴァンサルベジタブル添えが運ばれてきたが、ほぼ牛のタタキ状態で、表面以外は真っ赤っ赤だった。

チーズはセミハード1種、ロックフォール1種、シェーブル3種、カマンベール2種の計7種のみで、更なる品揃えの充実を期待したいのと、提供直前まで冷蔵庫に保管するのではなく、チーズが出る頃には適温になるようにコントロールして欲しい。デザートの洋梨のコンポートと洋梨のソルベは、この日の料理の中では一番おいしく感じた。

「DINE-A-STAY」のポイントでの無料招待ディナーだったわけだが、ただより高いものはないということを再確認した食事だった。あまりおいしくないのに、ご馳走さまって言わなくてはならないのは苦痛だ。自分のお金で好きなものを食べるのが一番。常連客が多くなったのは結構なことだが、隣席の迷惑を考えずにオタクな話しをしたり、こちらが用があって視線を送っているのに、話しに夢中で気付かないのは困ったものだ。

Y.K.