1996.09.15
もたついたチェックイン
ホテルオークラ Standard Room
哀-2

チェックインの手続きに5分以上を要した。混み合っていて待たされたわけではないが、カウンターの中の様子はやや慌ただしそうだった。フロントデスクに立ったまま、記入し終えたレジストレーションカードと共に、フロントスタッフがいつになったら相手にしているのかと思いながら5分待つのは結構苦痛だ。本当はどうだかしらないが、こうして待たされている時は「ないがしろにされている」という印象を持ってしまう。担当のフロントスタッフからは「お待たせしました」の一言さえ無かった。

ホテルのフロントにおいては、マクドナルドやスーパーのレジ以上に、待つのが苦痛だ。多くの一流ホテルでは迅速なチェックインを自慢としており、実際、チェックインでスムースかつスピーディーな対応をしてもらえた時は、滞在全体の印象も良いという場合が多い。

フロントにゲストが立ったら、最優先で応じるべきだと思うし、もし他の業務と重なってカウンターでの迅速な対応を妨げているとしたら、それはもはや一流ホテルではない。このホテルはリーディングホテルズオブザワールドに加盟をしている。チェックインに5分以上かかっていては、このコンソーシアムの謳っている基準に満たないことになる。

客室に入ってみると、清掃の状況があまりよくないのに驚いた。ベッドの下に小さなゴミが幾つか、テーブルのど真ん中に長い髪の毛が一本、アメニティグッズが入っている籠に髪の毛一本、バスタブに髪の毛二本。たかが髪の毛かもしれないが、こうも各所から、それも、容易に目に付くところから発見されると、本当にこれでインスペクターがOKを出したのか、その感覚を疑ってしまう

。この客室はstandardでオークラではもっとも低いクラスの客室だが、standardとあるからには、オークラのstandardが実現できていなければいけない。安い部屋だからといって手を抜かれては困るのだ。ターンダウンは全室行われるが、タオルの交換は別途頼まないとやってくれない。帝国ホテルがバスルームを簡単に清掃し、使用したアメニティを補充するところまでやっていることを考えると、お粗末といえよう。

客室でよい点を挙げれば、照明が明るいこと、引出しが多いこと、FAXが備わっていることなど。チェックイン後、部屋にフロントからウェルカムFAXが入るが、そんなことで機嫌を取る以前に、フロントできちんとした対応をしてもらいたいものだ。

「カメリアコーナー」

ホテルオークラ別館ロビー階に位置するコーヒーショップで、いつでも多くの人々で賑わっている。ちょうど帝国ホテルのユリーカののような雰囲気だが、客層はこちらの方が落ちついている。店内は明るく、オーソドックスなインテリア。今回はちょっと意地悪な利用の仕方をしてみた。昼夜で2回訪れ、しかも、同じセットメニューを注文して違いを探ってみた。

2,200円でスープまたはオードブル、メインディッシュ(4種からチョイス)、パン、サラダ、デザート、コーヒーというファミレス顔負けの価格設定だ。料理の出来映えも、価格を考えると、驚きのコストパフォーマンスといえよう。きちんとしたオークラの料理が出てくるのだ。それを、昼夜同一料金で提供しているのだからすごい。

さて、2回の食事を比べてみると、料理は大差ないものが出ていたが、サービスにはかなりの開きがあった。いかに、メンバー構成とマネージャーの手腕がいかに店の雰囲気を左右するかが浮き彫りにされた。昼間は行列ができるくらいの繁盛ぶりで、人員が足りないのか、水が無くなっても注いでくれないし、デザートを忘れて「以上でおそろいですね」と伝票を持ってきてしまった。余裕が無いのか、表情も硬かった。

一方、夜は、昼には及ばないまでも、若干の空席を残して埋まっていた。しかし、サービスはよく気付き、笑顔があり、また、実にキビキビとしていて気持ちがよかった。リズムに乗っている感じで、同じ忙しさでも、夜は見ていて心地よい忙しさだった。これが本当のオークラのサービスだと信じたい。

Y.K.