1994.09.28
バスルームという展望席
ホテル阪急インターナショナル Deluxe Room
楽-4

ハイアットリージェンシー、ウェスティン大阪と回って、それぞれ立派な造りに感嘆してきたが、阪急インターナショナルの内装は、それらを越えた上質さだ。ロビーに漂うスパイシーなポプリの香り、それぞれに力強い存在感がある調度品の数々が、伝説の古城を現代に甦らせたかのような完成度の高い仕上がりを見せる。規模が小さく、人影もまばらなので、密かにすべてが自分のために設えられているような気分のよさを味わえるホテルだ。

今回はバスルームから外が望めるデラックスルームを予約した。このタイプの客室は基本的にフロアに2室ずつあり、奥行きよりも横幅が広い構造だ。入口を入ると細長い廊下があり、その廊下に沿って十分な収納スペースが確保されている。そして、廊下に面したフレンチドアを開くと、真っ白い大理石に囲まれた、非常に広いバスルームがある。

ベイシンはアズキ色の石を使い、ガラスやアクリルの小物類が輝きを添える。三角形に張り出した窓に面してバスタブを配し、バスタブから星空や眼下の景観を存分に堪能できる造りだ。まだ周辺に視界を遮るものがないのがいい。シャワーブースは独立しているが、固定式のシャワーヘッドしかないのが少々不便だった。豊富なタオルや男女別のアメニティパッケージは他の客室と同様だ。

一方、ベッドルームは窓が平面になっており、スタンダードルームよりも少々狭いような気がする。ベッドは窓を向き、壁にテレビやオーディオ、引き出しを組み込んだキャビネットを置いた。ベッドと窓の間には、レザーを張った椅子を対面に置いたデスク、大きくて掛け心地のいいソファふたつを配し、快適に過ごす設備が十分に整っている。ベッドルームとバスルームのスイートと考えてもいいほどに、よくできた客室だった。

Y.K.