1994.06.11
都心に近いコミュニティホテル
第一ホテル光が丘
哀-2

4月にオープンしたばかりの新しいホテルに泊まりに出掛けた。立地的には随分と無理があるようにも思えたが、これが成功するかどうかは、近隣の住民たちの感覚とホテルの努力に掛かっている。近所にホテルができても、普通の人はまず泊まることなどないだろうが、年に一度でもいいから、家族揃って食事にでも出掛ける習慣ができるといいと思う。そして、ホテルもそうしたニーズに応えられるような努力を惜しまず、地域の人々が気持ちよく利用でき、自慢になるようなホテルであり続けなければならない。近所のホテルが廃れていくことは、街全体が廃れることを意味する。ご近所の皆さんには、そんな思いを持ってホテルを見守ってほしい。

だが、このホテルとしては、ちょっと違う路線を考えているようにも感じられた。過分に立派な設備を整えたはいいが、人が集まりたくなるような工夫はしていない。いかにもホテルらしいものを造りすぎたようにも思う。レストランでは気軽にホテルの味が楽しめるよう、もっと手頃な料理を出した方がいい。料理教室や身近な話題をテーマにした講演会など、イベントも増やした方がいい。従業員は積極的に親しみを持ってゲストと接した方がいい。

都心のホテルと比較すれば、それなりにのびのびとした雰囲気があるものの、明らかに違うというほどではない。このような環境のホテルはあまり例がないのだから、独自の発想と地域研究の成果を、もっと顕著に表現したらどうだろうか。

客室は新しいだけあって清潔だった。アウトベイシンのバスルームも広く取られている。ベッドは狭いがインテリアは気合が入っている。だが、すぐに退屈してしまう。退屈を埋めるものがどこにもなかった。

Y.K.