1994.05.03
エアポートの迎賓館
ホテルフジタ成田 Standard Room
哀-3

藤田観光がフォーシーズンズホテル椿山荘東京を手がけたついでに、高級路線のエアポートホテルを造った。フォーシーズンズに泊まる海外からのエグゼクティブをターゲットに、前後泊などの需要を狙うと意気込んでいるが、そんな需要は大きなホテルを埋めるほどあるはずもない。なくならないうちに泊まっておこうと、いざ出掛けてみた。

エントランスはこぢんまりとしており、館内に一歩足を踏み入れると、ネオクラシックの家具が配されたロビーに通じる。このフロアは2階で、階下にレストランやスパなどがあって、エントランス正面の吹き抜けの階段を下りてアプローチできるあたりも、フォーシーズンズホテル椿山荘東京にちょっぴり似ている。エントランスロビーのシャンデリアの下には、中国風の壷に活けられた花を飾っているが、さほど大きくなく、個人の邸宅風だ。

フロントカウンターも小さく造られているが、チェックインが集中することの多いエアポートで、これで本当にスムーズに対応しきれるのか心配。同じフロアには濃厚な色調の家具を並べたロビーラウンジもある。パブリックスペースは、確かに品質のよい家具類を揃えてはいるものの、洗練された感じがしない。田舎の金持ち的なセンスだ。

ロビーに比べて客室はさっぱりとしていた。高層階にはエグゼクティブフロアもあるがシングルとスイートしかない。なら標準客室のスタンダードルームで十分だと思い予約したが、思いのほかつまらない部屋だったので、もう少し奮発すればよかったと後悔。オーソドックスなホテルルームのレイアウトだが、比較的バスルームは広かった。

レストランは「ベルビュー」を利用したが、大きな窓が印象的で、夜には庭園のかがり火も見える。窓の取り方がフォーシーズンズホテル椿山荘東京の「ル・ジャルダン」部分によく似ている。一種のパクリだ。料理は和洋中にエイジアンと何でもあり。落ち着かない雰囲気も含めて、まるでサービスエリアかデパートのレストランだった。

全体にフォーシーズンズホテル椿山荘東京の縮小コピーみたいなホテルだが、とても同じに並べて見比べることなどできない。同じ会社のホテルだとしても、あまりにも格が違いすぎだ。

Y.K.