1994.04.04
イメージアップ
「ロオジエ」銀座資生堂
楽-4

ここのところ立て続けにこの「ロオジエ」で食事をしている。自分自身気が入っていることの他に、この店で人様からご馳走になる機会が多いからだ。良い店は、それだけ多くの人を魅了し、大切な接待の場でも安心して利用される。

今回は友人の誕生日を祝うために、こちらからお誘いした食事。階下のバー「ロオジエ」で待ち合わせをし、そのままアペリティフを楽しんでから、ダイニングへ移動する。移動はメートルドテルが先導し、ダイニングのエントランスではにこやかな給仕が待ち構えている。テーブルへの案内もスムースで、椅子を引く給仕の指先にもはっとするような洗練がうかがえる。さすが一流店だ。すべてのサービスは流れるように進み、タイミングを逃すこともなく、会話に踏み込んでくるようなこともない。

他のお客さんは、総じて平均年齢が高く、明るめの照明のもとでさえ全体的に落ち着いた雰囲気が保たれている。また、サービスのタッチはエンターテイメント性のないクールなものなので、給仕にちやほやされるのがお好みならば、この店はあまりオススメできない。ところが、静かに会話を楽しみながら美味に興じたい時には、最高の環境となる。どちらかというとレストラン慣れした人が好む空間だろう。

それでも、ジャックボリー氏の、決して飽きを感じさせない、比類ない完成度の料理は、サービスタッチの好みに寄らず、一度は味わっておきたい料理だ。この店の存在は、資生堂のイメージアップに相当の貢献をしている。貢献度で言えば山口小夜子さん並だろう。カネボウのビルにあるフレンチレストランとは、まったく比較にならないほど、「ロオジエ」の方がはるかに秀逸だ。

1999年のコメント:資生堂パーラーが入っていた銀座8丁目のビルが97年5月31日で閉館して以来、「ロオジエ」の料理を楽しむことができなくなっていましたが、嬉しいことに、資生堂本社内に場所を移し、99年10月18日に装いも新たにオープンするそうです。もちろんシェフはかのジャックボリー氏。早速予約しなくっては!

Y.K.