1994.02.07
セカンドナイトフリー
神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ Towers Junior Suite
楽-3

2泊以上の連泊の場合、2泊目の客室料金が無料になるというプロモーションを利用して宿泊した。2泊したので、都合50%の割引に相当する。4泊なら25%OFFの計算になるし、1泊しかしない場合はまったく割引にはならない。ホテルにとっては単純に50%OFFのプロモーションを実施するよりも都合がいいのかもしれない。

客室はタワーズフロアのジュニアスイートを利用した。約50平米のスペースでもっとも充実しているのはバスルームだ。グレーの大理石を使用し、落ち着いた感じに仕上がっている。ところが、他のスイート同様、シャワーブースの排水が悪く、すぐに水浸しになってしまう。これはこのホテルの構造上の問題なのかもしれないが、それに甘んじて放っておいてよい問題でもないと思う。せっかくのゴージャスなバスルームのイメージが台無しになってしまうので、もったいない気がしてならない。

ベッドは大きく、シーツ類も肌に心地よい。また、室内に設けられた各扉とその取っ手のデザインがモダンでありながらもクラシックな感じがするこの部屋のデザインにとてもマッチしている。ミニバーには、紙ナプキンでなく、布のナプキンが全室用意されているのもユニークだ。このホテルを訪れるタイミングによるのかもしれないが、混み合っている日でも館内はいつも静かだという印象がある。廊下が騒がしかったり、周囲の客室の騒音が気になるという経験がない。

エレベータを降りてから客室扉までの雰囲気がよく、このホテルならではの香りも漂い、淡い色調でまとまったインテリアはなかなか秀逸だと思う。ロビーその他にもピーター・レメディオス氏ならではのテイストにあふれ、調和のとれた空間にまとまっている。

朝食はタワーズラウンジでとった。ごく簡単なコンチネンタルブレックファストだが、かなり早い時間からお客さんで賑わっていた。席数が少ないので、すぐにいっぱいになってしまうが、お客さんもそれを気遣ってか長居をする人はいなかった。今回の滞在中はマネージャーが休み中で、終始若い女性スタッフにサービスを受けたが、比較的消極的で内気なサービスだったため、こちらのテンションも下がってしまいそうだった。

空気の重いタワーズラウンジのサービスに比べてレストランのサービスは好調だった。1階のカフェレストランでの食事の際、係りがカトラリーをセットして下がってすぐに、目の前に置かれたパン皿が少々汚れているのに気付き、自分のナプキンを使ってその汚れを拭き取った。さりげなくしたつもりだったが、担当の係りはそれを見逃さず、すかさず寄ってきて「汚れておりましたでしょうか。申し訳ありません、すぐにお取り替えを」と対応してくれた。当然といえばそれまでだが、このエピソードのから「いい仕事をしよう」という意気込みが伝わってきた。

2日目の昼に突然時間が空いてしまい、フレンチレストラン「ラ・コート・ドール」にひとりで出掛けてみた。フレンチレストランにひとりで出向くのははじめての経験だった。さぞかし退屈な食事になるだろうと思っていたが、他のテーブルや店内の様子をじっくりと観察するのも、親密な会話に負けず劣らず楽しいものだという発見ができた。

ほとんどが女性グループで、申し訳ないがあまり上品とはいえない雰囲気だったし、声が大きいので会話の内容も聞こえてくるが、何もこんな素晴らしい料理と共にするような話題じゃないだろうにと感じた。この日はいつものマネージャーやアシスタントマネージャーは不在だったので、いつもの「ラ・コート・ドール」に比べるとこの日の天気のように雰囲気がどんよりとしていた。この空気をカラっと晴れ上がらせてくれるいつものサービス陣の実力が、本当に素晴らしいものであるということを、不在時に訪ねてみてより深く理解した。

1階にスポーツバー「アリーナ」というバーがあるが、いつも閑古鳥だ。ニューヨークあたりでは流行のスタイルだが、この立地では難しいコンセプトだと思う。

Y.K.