1993.08.28
真夏のサンセット
湘南ホテル Standard Room
楽-4

このホテルはどうしてこんなに不思議な気分にしてくれるのだろう。単にホテルとして設備を見れば、小さい窓や使いにくいシャワーブースなど、マイナスの部分のたくさんあるのに、嫌いにはなれない。慌しく過ごしている日常で、ふと「そうだ、湘南ホテルに行こう」と思わせることが多々ある。上質すぎないのが丁度いい。そんなやすらぎのあるホテルだ。

8月の末、まだまだ海は真夏の輝きだが、湘南ホテルはすでにシーズンを終え、秋に向かいつつある。料金もすでに手頃なレギュラーシーズンプライスになっている。チェックインをしてからは、部屋でごろごろしたり、誰もいないプールやサウナに行ってみたりと、だらだらして過ごす。深く深呼吸をして、すべての息をはきだす時の気分だ。

夕方は小さなバーで軽く飲んで、部屋に戻ってシャワーを浴びる。先程まで西日が差し込んでいた窓からは、富士山の方向に沈む夕日が見える。まだ夏の太陽は力があり、海を真っ赤に焦がしていた。ここは湘南。いつか伝説になるホテルだと思う。

Y.K.