1993.05.08
清潔感
「コートドール」三田
喜-4

開店10分前に到着したら、まだ扉にはカギがおりていたが、5分過ぎに行くと、すでに3組の先客があった。木でできた立派な扉で、扉越しには中から外が見えないが、扉に近づくと中から開けて招き入れてくれる。その恭しさは食事中絶えることなく続き、添えられた笑顔は実に自然で心地よい。

店内のインテリアは床が石で少々冷淡な感じもあるが、大きな窓からささやかなガーデンが望め、初夏の昼下がりにはぴったりの環境だ。白いテーブルクロスに、同じく白一色のウェッジウッド社製ボーンチャイナとクリストフル社クリュニーシリーズのカトラリーがセットされ、グラスも肉薄で上品なデザインのものだ。それぞれの食器は十分手入れが行き届いており、卓上の花は小ぶりながら新鮮で、よいアクセントになっている。

また、化粧室にも注意が払われており、常に清潔に保たれ、赤いタオルが多数備えてある。このように細部まで清潔に手入れを行き届かせることは、食事の場としては大変重要な課題で、店で提供する料理のクオリティーやサービスに対する心構えを即反映しているものと考えてよいだろう。

この店の昼定食は非常に充実しており、しかも手頃な価格でいただける。この日は、サツマイモとレーズンのオランデーズ和えに始まり、名物赤ピーマンのムース・フレッシュトマトソース(アラカルト3,000円の3分の2の量)、仔羊のロースト・バジルソース、生姜のソルベ、マンゴーのプディング、小菓子とコーヒーという献立。どの皿もしっかりとした出来映えで、これで4,500円とは大満足だ。

サービスに関して言えば、食べ終わった皿を下げる前に次の皿のためのシルバーをセットすることに抵抗を感じたこと、それから、この日のようにやむを得ず料理と料理との間に時間を取ってしまうのなら、その間合いを埋めてお客さんを退屈させない努力をしたらどうかと感じた。駅からは遠く、ほとんどがご常連、そして車か徒歩での来店だと見受けられた。

Y.K.