1992.05.17
店はかわれど
「エメラルド」ホテルオークラ神戸
喜-4

ちょうど神戸祭りの日と重なっていたので、ホテル全体に混み合っているかと思ったが、最上階はとても静かで、落ち着いて食事を楽しむことができた。久しぶりの再訪となったが、懐かしい顔ぶれが、そろって「お久しぶりです」と迎えてくれ、とてもうれしく思った。眺めのよい広いテーブルへと案内され、まずシャンパンを。

メニュを渡されたが、この店ではそちらを読むよりメートルの説明に耳を傾けた方が、イメージがつかみやすい。また、好みをよく覚えていてくれるので、勧められるがままに従うことにした。結果的にもそれが正解だったと思った。ただ、昼定食くらいで軽く済ませようと思っていても、このように乗せられてしまうと、結局アラカルトで注文してしまうので、昼来ても夜きても、支払う金額は変わらないかもしれない。

2皿のアミューズのあと、帆立貝と長ねぎのガレット トリュフの香りが運ばれてきた。メニュにはない今日のスペシャリテだと言う。帆立と長ねぎの違った甘さがよくマッチしていた。次いで小鳩のラビオリの入ったきのこのクリームスープ。少々苦みのあるラビオリがアクセントとなった一品。鴨の蒸し焼き フルーツ添えは火の通りもよく、マンゴーとリンゴのソースが爽やかだ。つつみこむような優しさと東洋的な神秘を感じさせるCHATEAU HAUT BRION '82との相性もよかった。ワインが少し余ったのでチーズをもらって、デザートはワゴンサービスのチェリージュビレ。このデザートは大抵どこでもおいしくないが、ここエメラルドのはおいしいと思える。

しばらくぶりに訪れても、まるで昨日にも会ったかのように、自然であたたかく迎えられるというのは、とてもうれしいことだ。旅先で一番うれしいことかもしれない。開業以来、素晴らしいサービスでもてなしてくれていた川崎マネージャー、村上さん、白井さんは、来月オープンの「ラ・コート・ドール」へ行った。川崎さんとは、「アランシャペル」から3店舗目のお付き合いになるわけだ。店はかわっても、もてなしは変わらない。そんな付き合いのできるサービス人と出会えたことをとてもうれしく思う。

1999年のコメント:ぼくは神戸での常宿はホテルオークラ神戸にしています。新神戸駅や、三ノ宮界隈からからはやや遠いのですが、港に近く、雰囲気が好きなので、多少の不便は覚悟して利用しています。他の神戸のホテルと一番差を感じられるのは、コーヒーショップ。見るからにオークラマンという感じの従業員たちは、よく気がつき、また、外国人のお客さんもたくさんいて、いい雰囲気です。特に朝食時がオススメ。充実した品揃えのブッフェは、朝食マニア必見です。

ロビー周りに、最近はなかなかお目にかかれなくなった、ライティングデスクが多数置かれていて、引き出しにはレターセットや絵葉書がいつでもセットされています。宿泊中でなくても利用できるのがいいですね。客室は、今となってはオーソドックスな部類に入りますが、ディビッドヒックスデザインの明るい室内に、清潔な大理石張りのバスルーム、良質のタオルやバスローブなど、快適に過ごすことができます。スイートのベロア地のソファや羽毛布団の心地よさは、一度味わうと忘れられません。

また、ルームサービスが充実していて、味の方も結構いけてます。以前はロビーフロアのエレベータホールに着物の女性を配置していましたが、最近は廃止されたようです。また、エグゼクティブサービスサロンがいつもクローズになっていて、困ることもあります。地震以降、いろいろと大変なようですが、早く災害前以上の活気を取り戻して欲しいものです。

Y.K.