1992.03.22
広告写真
「キャプテンズグリル」羽田東急ホテル
哀-1

最近店内の改装を終えてから、あちこちの雑誌などに広告を出しているが、その写真によると、店の雰囲気がとても魅力的だったので、チャンスがあれば行ってみたいとかねがね思っていた。今回行ってみたい店だと動機づけしてくれたのは、広告写真だった。広告である以上ウソがあっては困るわけだが、その施設のよい点を最大限に引き出し、出掛ける前から夢を見させてくれるような写真は素晴らしい。実際に行ってみたら幻滅だったというのもいただけないが、写真より実物の方がいい場合の方がぐっと少ないと思う。

この店の場合、写真がと現実との間に少なからずギャップがあった。思ったよりもはるかにチープに見えたし、写真ではキレイだった絨毯もすでに汚れてしまっていた。予約を入れないで行ったので、窓側の席ではなく、一番内側のブース席になった。お祝いというわけではなかったが、誕生日が近いこともあって、「春のお祝いディナー」と名付けられた12,000円のコースを注文した。

料理はフランス料理というよりも、婚礼料理に近く、レストランのメニューとしてはユニークな内容だった。祝前菜、真鯛のベルガモットソース、スッポンのスープ春景色、松阪牛のステーキ、チーズ、シャーベット、デザート、コーヒー、小菓子とグラスのシャンパンが付くことになっていたが、チーズは出てこなかった。忘れられてしまったのだろうか? また、パンのおかわりを頼んだのも忘れられてしまって出てこなかった。

このように、メインダイニングではあって欲しくないことが次々に起こったので、サービスについては不満が残った。しかし、窓の外に広がる空港の滑走路や次々に離着陸する飛行機のライトなどがとても美しく、ロマンティックな雰囲気を醸し出している。少々洗練度に欠けるこの店が、旅情のようなものを掻き立てるのに一役買っているようだ。

1992.03.22
中国料理の新境地
「養源斎」フォーシーズンズホテル椿山荘東京
楽-3

この昼、初めての「養源斎」に出掛けた、6,000円、8,000円、10,000円、12,000円とあるランチコースのうち、8,000円の「桂花」コースが内容的に魅力があったので注文してみた。ぼくの中にある中国料理の価値観に新境地をもたらしたといえるくらい、この店の料理はセンセーショナルだった。

豪快にして繊細、素朴にして複雑な味わい。かといって奇をてらうようなことは何一つしていないのがいい。オープン1年と少々だから、まだまだ気合たっぷりで、今ごろが一番いい料理が出ているかもしれない。今後、日本人の味覚に合わせて、ありきたりになってしまわないうちに、通っておきたい店だと思った。

昼は麺類だけでもいやな顔をされることはないようだ。冷たいジャスミンティーをお願いしたが、できないと言われた。熱いジャスミンティーがあるのだから、それをたっぷりの氷に注いでくれればいいだけなのに、フォーシーズンズにしては融通が利かないんだなとガッカリした。

Y.K.