YKsonic Web | home | concert | kidoairaku>overseas | blog | gallery | profile | contact | |
ヒルトン上海 Executive Room | |
Hilton Shanghai | 2009.11.02(月) |
Shanghai, China | 喜-3 |
ARCHIVES ・ 1992 |
エグゼクティブラウンジらしいエグゼクティブラウンジ 旧フランス租界のエレガンスとショッピングタウンの賑わいが入り混じるロケーションに建つヒルトン上海は、1989年開業と、上海の外資系ホテルでは老舗的存在だ。シルバーに輝く三角柱の40階建てタワーは、新しいビルが毎日のように竣工する上海でも、とりわけ旧来の景観になじんで見える。 正面玄関車寄せ周辺は広々として堂々とした佇まい。周囲には緑も多く、活気あふれる国際ホテルでありながら、落ち着いた風情も醸す。 車寄せから正面玄関までは数段の階段になっている。玄関両脇には石の獅子像が鎮座。その間を宿泊客や勤勉なベルボーイたちが絶え間なく往来する。中国では、いまだかつてベルガールを見たことはない。荷物運びは若い男の仕事なのだろう。 ロビーは大理石の床と柱が艶やか。ヒルトン東京同様に天井は高くないが、上海の方がスペースにはゆとりがあるようだ。一昔前のホテルロビーという趣きで、堅実さが感じられる。 正面玄関を入るとすぐにクラシカルなラウンドソファが見える。赤い段通にベルベット風の青いソファ、脇に添えた中国風の八角形のテーブルがレトロ上海を思い起こさせるが、中央のフラワーアレンジメントは現代的だ。このソファ、以前はなかったらしく、その当時は待ち合わせでも座るところがないと地元の人に不評だったと聞いた。 ロビーをそのまままっすぐ進むと吹き抜け空間に出る。2階に向かってゆるやかにのびる大理石の大階段が見事だ。 階段の脇には落ち着いたロビーラウンジがある。ラウンジの周囲にはブティックが並び、都市型高級ホテルらしい雰囲気だ。 フロントカウンターは正面玄関からも見える位置にあってわかりやすい。エグゼクティブフロアを予約していたが、この日の到着は23時を回っていたので、1階フロントでチェックインをした。係は手慣れた流れでてきぱきと。そのテンポ感にいささか煽られているような気分になったが、これも文化の違いだろう。 チェックインが済んだ時、提示したパスポートを返してもらっていないような気がして、係に「パスポートは?」と尋ねると、すかさず「返しました」との返事をするとともに、かばんの中を探すより先に「防犯カメラの映像を見てみましょう」と操作を始めた。 映像を見るまでもなく、パスポートはかばんの中で見つかり、すかさず「勘違い」を詫びたが、係が表情を変えることはなかった。ある意味、プロに徹した接し方だと思うし、相手のミスを一緒に笑い飛ばしたりはせず、見なかったことにするのも中国では礼儀のうちのようだ。 フロントは手前がHHonorsメンバーの優先カウンター。中央にはバカラのガラステーブルが置かれ、こちらにもモダンなフラワーアレンジが飾ってある。フロントカウンター内に掛けられている絵も印象的だ。 客室は、日本のヒルトンでもよく見られるように、ヒルトンフロア、デラックスフロア、エグゼクティブフロアのカテゴリーに分かれており、デラックスフロアが最も多い。33平米の長方形をした標準ルームを中心に、コーナーにある変形ルームやスイートなど、ユニークな部屋も揃う。 アサインされたのは33階のエグゼクティブルーム。深夜とはいえ、ベルボーイによる部屋への案内が省略されることはなかった。中国にチップの習慣はないが、複数室に多くの荷物を運び分けてもらったので、少々奮発したチップを渡すと、中国のホテルで初めて満面の笑みを見ることができた。 33平米の面積は、東京、大阪、名古屋のヒルトン標準客室より、一回り広い印象だ。近年に改装が済み、モダンで機能的になった様子。ハロゲンダウンライトを多用したコントラストのある照明が、濃い色調の都会的な内装とマッチする。 ベッドはハリウッドツイン。白いデュベカバー仕上げで、マットレスは厚め。ベッドリネンの質は前日までのリッツ・カールトンには劣るが、まずまずの感触だ。ベッドリネンの交換は、3日置きが標準。ベッド両脇のスリット状のミラーがアクセントになっており、ナイトテーブルには中国風のモチーフが見られる。天井からのリーディングライトはベッドをかなり明るく照らす。 デスクはガラス製のオーバル型で、大型のキャスター付きレザーチェアを添えている。卓上には蘭のアレンジメントがさりげなく置いてある。テレビはロングカウンターの上に設置。カウンター下はミニバーや無料コーヒーセットなどを収納している。カウンターの切れ目部分には、天然石を使ったバゲージ台がある。 窓際にはオットマン付きのソファがひとつ。テーブルの類は添えていない。窓はインターコンチネンタル東京ベイに似た出窓で、両サイドがわずかに開閉できる。高層階からは上海市街を一望でき、静安寺側なら煌びやかな寺の風景も見える。 クローゼットは入口ホワイエにあり、深い木目と中国風の取っ手が付いた両開きの扉が印象的だ。内部の広さはそれほどでもないが、収納棚に工夫が見られ、思いのほか物がたくさん入る。 バスルームはコンパクトだが、2種類の天然石を使って華やかに仕上げており、日本のヒルトンに比べると立派に感じる。ベイシンはひとつで、石のベイシントップは広くて使いやすい。ベイシン前のミラーには、磨りガラスの丸い切り抜きがある。コンラッド東京のようなミラーライトが組み込まれているのかと思ったが、そうではなく単なる装飾のようだ。 バスタブは手すりのあるゆったりサイズ。シャワーカーテンは2重で、レールがカーブしているので、シャワー使用時に広く使えていい。シャワーヘッドはウチワ型で、高さは自在に調節可能。このホテルでもシャワーの水圧は弱かった。バスタブの上には、蛍光灯の間接照明がある。シャワーブースはない。 トイレはバスタブとベイシンの間にあり、便座に洗浄機能は備わっていない。タオルは3サイズが3枚ずつ。バスローブはクローゼットに用意されている。 バスアメニティはお馴染みのクラブツリー&イブリン。パッケージに中国語が印字されている他は、日本で用意されているものとまったく変わらない。箱入りアイテムは透明のボックスにまとめられている。ベイシン下には引き出しもあり、片付けに便利だった。 エレベータホールは、フロアによってデザインがまちまちだ。一番華やかに感じたのは、エグゼクティブラウンジのある38階エレベータホール。大理石と間接照明のパターンが上海モダンを薫らせる。 エグゼクティブラウンジは、以前は37階にあったらしいが、38階に移転してぐっと広くなった様子。フロアにアクセスするのにキー操作は不要なので、入口で部屋番号や名前を聞かれることがある。ラウンジにもフロント業務を行うレセプションカウンターがあるが、清算はカードのみの取り扱いだ。 ラウンジは広大。特別階ラウンジというより、ホテルのスカイラウンジのイメージだ。ヒルトン東京のラウンジも拡張されたが、イスやテーブルが小さく、なんとなくごちゃごちゃとした印象であるのに対し、ここ上海は大きなソファや、間隔を取って配置されたダイニングテーブルなど、ゆとりがまったく違う。バーカウンターや、プライベート感のあるコーナーもあり、くつろぎの他、商談などにも使えそうだ。 フードカウンターには、時間帯によってさまざまなアイテムが並ぶ。朝食はブッフェレストランと遜色のない多彩な品揃えで、夕刻のカクテルアワーも、立食パーティのようなバラエティ。客層はビジネスユースのアメリカ人が多く、ヒルトンらしさが際立つ。久しぶりに居心地のよいラウンジに出会った。 ラウンジの窓からも、上海の街並みをダイナミックに望む。たいていの場合は空気の汚れが気になるが、この時は珍しく空気が澄み、窓もきれいだったので、かなり遠方までを見渡すことができた。 朝食は1階のレストランも利用できる。ヒルトン上海にも壮大なアトリウム空間があり、石の壁とグリーンに囲まれた巨大空間は、24時間営業のオールデイダイニングになっている。日中は、トップライトからふんだんに日が注ぐ時間もあり、さながらアウトドアテラスの気分。水の流れる音もすがすがしい。 アトリウムの周囲には、太湖石を使ったガーデンが設けられ、ホテルに居ながらにして中国の美意識を感じることができる。夜はライトアップされ、奇岩の穴が一層くっきりとする。 屋内プールはスケール感のある造り。深さは半分が1.2メートルで、もう半分が2メートルある。なぜか、コースを分断するように仕切られており、どう泳いでいいのかよくわからない。 プールサイドには水着のままくつろげるコーナーがあるが、この時期はとても寒くて、ゆっくりとはしていられなかった。 国際ビジネスホテルの代名詞ともいえるヒルトン。特に老舗のヒルトンは、堅実なホテルだという印象がある。なぜか昔のキャピトル東急ホテルのことを懐かしく思い出した。 |
▲このページの先頭へ | |
OFFICIAL WEBSITE |
このホテルに関する過去のレビュー 初登場のため、過去のレビューはありません。 |