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グランドハイアット上海 Grand Twin Room | |
Grnad Hyatt Shanghai | 2009.10.26(月) |
Shanghai, China | 喜-3 |
ARCHIVES ・ 1992 |
壮麗で巨大な現代の仏塔 高層ホテルと聞くだけで、なんだかワクワクする。それが世界でも指折りの高さとなれば、まさに天にも昇る思いでチェックインを待ち望まずにいられない。人はどうして高いところが好きなのだろう。 高層ビルの高層階をホテルにするケースは90年代から急激に多くなり、あこがれの寝室は今もどんどん空へ近づいているが、グランドハイアット上海の登場はとりわけ衝撃的だった。複雑なパターンが組み合わさった壮麗なタワーは高さ420メートル。縁起のいい88階建てで、中央に目がくらむほどの巨大な吹き抜けを持ち、床から天井まで多面のガラスで覆われた555の客室を備える。華やかなグランドホテルが、そっくり天に舞い上がったかのように思えた。 1999年の開業から長いこと、世界一地上から高いところにあるホテルとして絶大な人気を誇ったが、同じ上海の中だけでも、隣りにより高いパークハイアットが出来て、グランドハイアットは妹分に落ち着いた。更に隣接地には地上600メートルに迫る高層ビルが2014年の完成を目指して建設中で、やはり高層階にはホテルが入居する。 グランドハイアット上海が建つのは、上海の浦東地区。近代的な高層ビルが建ち並ぶ世界有数の摩天楼だが、その歴史は浅く、かつては果てしなく畑が続く農産地だったと聞く。黄浦江を挟んで、浦東のビル群と外灘の歴史的建築が鮮明なコントラストを見せており、上海きっての観光スポットとしていつも賑わっている。 グランドハイアットのある金茂タワーとパークハイアットのある上海環球金融中心は、その圧倒的な高さゆえに、かなり遠くからでも見えるが、ビルの足元に立って見上げた時の圧倒的な迫力は、遠くからでは想像もつかない。 浦東の高層ビルは、西新宿同様、広い敷地にじゅうぶんなゆとりをもって建てられている。金茂タワーの敷地は24,000平米あり、ホテル専用のエントランスにもグランドホテルにふさわしい広大な前庭と車寄せを設けている。 車で到着し、入口に立つ係に名前を告げると、すぐに承知してマネジャーに引き継がれ、チェックインカウンターまで案内されることになった。館内に入ると、きらびやかな装飾が施されており、国際的なデザインながらも、中国の価値観が見て取れる。エントランスからエレベータホールに至るまでの道のりは、あんがい小ぢんまりと感じられた。 チェックインはグランドクラブレセプションで行うので、54階のフロントロビーはスルーすることに。ロビー階で客室用のエレベータに乗り換え、更に高層階へと進む。客室用エレベータは6基が弧を描いて並んでおり、メタリックな扉と大理石に囲まれたエレベータホールでも、日本でいえばバブル期のような華やぎを感じる。 客室は吹き抜けを囲むように配置されており、客室階廊下はすべてアトリウムに面している。SF映画の宇宙船発車台のようなスケール感は、高所恐怖症の人には冷や汗ものだろう。56階から87階まで115メートルもの吹き抜けは世界最大級だという。 アトリウムを見下ろすのは恐ろしいが、見上げる美しさは誰もが共有できそうだ。ここで大声を出すとどんな風に響くのだろうかと興味が湧いたが、さすがに試す度胸はなかった。 アトリウムの下はラウンジになっており、連日連夜生演奏が行われている。ピアノを向かって右側に設置するとは変わっている。さすが上海だけあって、二胡や琵琶も演奏に加わっている。演奏しているのは若者たちだ。考えてみれば、日本でも時折和服で琴を弾いたりしているホテルもあるのだから、それほど珍しがることもない。 グランドクラブレセプションは83階にあり、エレベータホール前がすぐレセプションデスクになっている。グランドクラブラウンジは2層にわかれてあり、吹き抜け部分には豪邸を思わせる大階段がある。ラウンジ内はいくつかのセクションに小分けされており、朝食からカクテルタイムまでゆったりとした雰囲気でくつろげるが、クラブフロアが7フロアもある割には狭いような気もする。 スタッフの数は多く、死角になっているテーブルに着いた時でさえ、どこからともなく係がやって来て、飲み物などを勧めてくれる。朝食や夕刻のスナックも充実しており、滞在中のリビングルームとして重宝だった。どの時間帯にも客はいたが、混雑して慌しいということは一度もなく、狭いのでは?という心配は杞憂だった。 今回利用したのは、標準的なツインルームのひとつ。フロアごとにルームレイアウトが異なり、それぞれ形状や広さもまちまちなので、同じカテゴリーの中でも当たり外れがあるように思われるが、この部分はこちら、この部分はあちらと、どの部屋も一長一短があるようで、自分のニーズにマッチした部屋を探すには、何度も利用してさまざまな部屋に泊まってみるしかなさそうだ。 標準的な部屋は、大雑把に分けて2タイプ。細長いか、三角形かである。細長い方は、入口から窓までが遠く、奥行きがたっぷり。三角形のは窓が2面で広く、動線が短いタイプだ。この部屋は、細長い方。部屋の幅は狭いが、使い勝手は悪くない。 入口から居室までの間は、大理石床の長い廊下になっており、途中にクローゼットとミニバーがある。ミニバーには、ウェルカムフルーツや無料のミネラルウォーターを始め、無料のティーセットや有料のミニバーアイテムなど、充実した品揃え。 引き戸のクローゼットは、向こう側にも扉が設けられ、バスルーム側からでも出し入れできるようになっている。内部も客室壁面同様に濃い色調の木材が使われており、温かみのあるデザインだ。 居室には、ハイアットらしく真っ白なデュベカバーでセットしたシングルベッドが2台、デスクユニット、ドレッサー、アーモア、アームチェアにテーブルと、シンプルなセッティング。この広さなら、大型のソファを置いてもゆとりが残ると思うが、アームチェアひとつだけにとどめている。アーモアは中国風のデザイン。中には液晶テレビとマガジンラックがある。 デスクユニットは脇にある窓に面して置かれている。デスクは窓向きだが、カーテンを開けていると、景色よりも隣室のリビングが目に入る。となりに泊まっている外国人の兄ちゃんと何度も目が合って、互いに笑ってしまった。LANは無料。両側が壁だからか、不思議と落ち着くワークスペースだ。 窓際には大型のミラーがあり、そこにスツール付きの小さなドレッサーがある。窓が床からガラスだが、ハーフミラーになっていることや、細かく分断されていることから、思っていたほどパノラミックな眺めは得られない。特に夜景にはかなりガッカリした。上海の汚れた空気と窓の汚さで、夜はほとんど何も見えないに等しい。 アームチェアに添えられたテーブルも中国風。スタンドライトも洒落ている。二日目にはテーブルにチューリップのアレンジメントが飾られていた。ベッドボードは木製、ナイトテーブルはガラス製だ。ブラケットライトの位置が福岡のグランドハイアットに似ている。 バスルームの入口は、ベッド脇にある。両開きの引き戸を開けると、白い大理石の明るいバスルームが姿をあらわす。床の大理石パターンは、入口ホワイエと共通している。 ベイシンはクローゼットの並びにあり、ガラス製のボウルが印象的だ。これもグランドハイアット福岡に似ている。トイレはクローゼット奥の磨りガラスドアで仕切られている。トイレの便座に洗浄機能は付いていない。 バスタブはコーナー部分に斜めに配置。バスタブ奥には、照明付きのオブジェ台があり、なにやら古めかしげな装飾品が飾ってある。その両脇はミラー張りで、バスルーム全体を一層広く見せている。バスタブの湯は、やや茶色がかっている。上海の水は総じて茶色く砂っぽいので、バスソルトが欠かせない。 バスタブに隣接してシャワーブースが設けられている。ガラス製のスイングドアで一部が仕切られているが、バスタブとは連続性のあるデザイン。これもグランドハイアット福岡にやや似ている。シャワーは固定式のみ。シャワーブース内にあるミラーは楕円形でエレガントだ。 バスアメニティは、ハイアットリージェンシーでも使われているオリジナル。細かいアイテムはポーチに収められているが、これは持ち帰っていいポーチではないらしい。でも、どう見ても備え付けの備品というほど立派には見えないのだが。 一夜明けて窓からの景色を見ると、やっととびきり高い場所にある部屋に泊まっている実感が得られた。早朝は靄が掛かっていたが、日が差すにつれ上海の街並みが浮かび上がってくる。黄浦江の両岸にひしめく高層住宅や、縦横にのびる無数の道は、上海の無限の発展を予感させる眺めだ。ホテル周辺では工事が盛んに進められており、深夜であっても容赦ない音が窓を通じて伝わってくる。これも都市の躍動と割り切らなければ、我慢できないかもしれない。 と同時に、はるか景色ばかりでなく、この金茂タワーの外観にも目を奪われる。美術品のように細かく組み合わさった外装部品は、下から見上げるのとは一味違う眺めを作り出す。窓の大きさも一枚一枚異なっており、ディテールを見れば見るほど、更なる興味が湧いてくる。 館内にはフィットネスジムや深さ1.6メートルの屋内プール、サウナやスパが整っており、滞在中は自由に使うことができた。ほとんど人と出会うことがなく、いつも人を気にせずに済むのがいい。プールの水質はいまひとつで、プールサイドのイスもくつろぐには向いていないのだが、男女別のスパ内にある大理石のジャクージは心地よくくつろげた。 館内レストランを幾つか利用したが、味、サービスともに満足には至らなかった。しかも美味しいと感じる料理はひとつもなし。加えて、巷に比べるとべらぼうに高いと来たら、もう館内で食事をする気にはなれない。ここに限ったことでなく、上海のホテルは総じてレストランがよくない。逆にいえば、街にでれば安くておいしいものが溢れているのだ。 |
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