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琴平花壇 Twin Room | |
Kotohira Kadan | 2011.12.09(金) |
香川県仲多度郡 | 楽-4 |
ARCHIVES ・ 1992 |
琴平温泉 岡山駅から高知へ向かう気動車特急に乗って瀬戸大橋を渡り、琴平駅に着いたのが午後4時前のこと。冬至を二週間後に控えた空は、すでに暮れ始めていた。もう夕方だからだろうか、駅前は閑散としている。さて、今宵の宿、琴平花壇はどこにあるのだろう。電話を入れれば迎えに行くとのことだったが、勘を頼りに歩いてみた。 琴電の琴平駅を過ぎ、商店街へ。生活感のある店や土産物を扱う店などが建ち並ぶが、やはりここにも人影はまばら。ちょっと覗いてみたいような店もあったが、ひとまず宿へ急ぐとしよう。散策はその後だ。 そのまま進むと川沿いに出た。神事に使う屋根付きの橋が見え、その珍しい姿をしばし鑑賞。この先は、だんだんと寂しくなっていく様子。はて、道を誤ったのだろうか。だが、体内磁石はこちらだと告げているので、直進しよう。 しばらく行くと、花壇の看板が見えた。細い坂道を上がりきると、モダンな正面玄関がある。駅からの所要時間は15分ほどだったろうか。新しい風景を眺めながらの散歩は、荷物がいささか重かったものの、楽しい道のりだった。 正面玄関を入ったところにあるカウンターで到着を告げると、チェックインは3階で行うとのことで、そのまま案内された。一度玄関を出て、コンクリートのタワーに設けられたエレベータを使って3階に上がる。 3階でエレベータを降りると、そこはウッドデッキになっている。琴平の街を見渡すテラスには、足湯が設けられており、好きな時に自由に使えるそうだ。係からは、眺めの概要や、目の前の広場で行われる神事について説明があった。 チェックインはラウンジで行われた。写真は夜のものだが、夕刻はもっと明るい雰囲気。座ると甜茶とおしぼりが出され、館内の説明や食事の案内なども丁寧だった。このラウンジは滞在中自由に使えるが、飲み物などは特別室のゲスト以外は有料。他に宿泊客が少ないのか、係は常駐せず、用があれば電話をとの案内が置かれていた。 客室への案内も恭しく行われ、旅館ならではだと思ったが、部屋に入ってからは、設備の説明をしたのみで、茶を入れるなどのサービスはなかった。この辺は、高級旅館とはちょっと違うらしい。部屋を入ると踏み込みがあり、そこで靴を脱ぐ。 居室は和洋折衷の雰囲気。床はフローリングで、2台のベッドを並べており、窓際には掘りのある小上がりを設けている。照明プランは効果的で、内装の質感も悪くない。 小上がりには、机とふたつの背もたれ付き座卓が置いてある。卓上には、ウェルカムお菓子のきんつば。窓は壁一面の大きさだが、障子が一部を覆っている。襖はなく、窓と障子の間にドレープが掛かっている。 窓の外にはテラスがある。手すりが簡素で低いため、ちょっとスリリングだが、格段の開放感。小さなイステーブルがあり、夏なら最高の夕涼みが楽しめるに違いない。 部屋の窓やテラスからも、足湯同様、琴平の街並みを一望する。遠くには讃岐富士も見え、目の前の巨木と合わせて、なかなか風情のある眺めだ。川のせせらぎが聞こえるが、道路の騒音はさほど届かない。 ベッドの環境は、旅館というよりもホテルの趣き。快適なマットレスと寝具を用い、シティホテルのようにシックなメイキングをしている。ベッドボードや梁の間接照明もいい感じだ。32インチテレビとオーディオセットは、ベッドの向かい側、小上がりの脇に設置されている。 部屋の奥にはクローゼットとドレッシングカウンターがある。湯沸かしポットや冷蔵庫もカウンターの並びに設置。ただ、この辺りは化粧をするには暗く、むしろ小上がりに折り畳みミラーでも用意した方が合理的な気もする。また、ライティングデスクとして使おうにも、空いているコンセントがない。コンセントはベッドサイドのみで、携帯の充電くらいしか想定していない様子。高速インターネットは無線LANが無料で使える。 冷蔵庫にはガラス瓶に入った天然水が用意されている。風呂上がりに嬉しいサービスだ。その他、冷蔵庫には13種類の飲み物とおつまみが入っており、こちらはいずれも有料。 ベイシンとシャワーブースは、部屋の入口からまっすぐ進んだところにある。ベイシンはモダンなデザインで、とても浅い。顔を洗う程度なら不都合ないが、ちょっと湯をためてハンカチを濯ごうと思っても、それには深さが不足だった。 この部屋にバスタブはなく、シャワーブースがあるのみ。シャワーブースには窓があり、格子付きながら、居室と同じ眺めを得られる。バスアメニティは少なめで、充実しているとは思わなかった。 トイレは居室奥のドレッシングカウンターに隣接している。一応リニューアルしてあるが、一部に古いままの設備が残っている。 清掃は概ね良好だが、浴室金具の拭き上げや、ベッドメイクの丁寧さなどに、詰めの甘さを感じた。サービス料15%の高級旅館であれば、隅々までにさすがと思わせる仕事ぶりが求められる。 琴平花壇の敷地には、庭園を囲むようにして幾つかの棟が点在している。独立した離れの貴賓室や、タイ古式マッサージをメインにしたリラクゼーションの棟もある。 庭園は起伏が激しく、ほとんど階段。木々の手入れは行き届いており、季節がよければ花々が見事なことだろう。裏にはこんぴらさんへと通ずる参道への通用口がある。上まで行ってみるつもりだったが、あいにく雨が降って来てしまったので断念した。 温泉を使った大浴場は2か所。朝夜で男女が入れ替えとなる。入浴時間は深夜0時までと朝5時から。タオルは浴場に用意されている。貸切風呂もあるが、1時間4,200円と高額だ。 大浴場はよく整えられており、快適だった。湯船は広く、屋外には眺めのいい露天風呂もある。雨に打たれながらの入浴も風情があった。 食事は2階のレストランで。部屋ごとに担当者が決まっていて、自分の受け持ち以外のテーブルには一切手を出さないスタイル。元芸者かと思わせる老女が担当になったが、細い体で熱心に給仕してくれた。翌朝も同じ係が。本当に働き者だと感心した。 チェックアウト後は、すぐに駅まで車で送ってくれた。「またお越しください」の一言に、誠実さがにじんでいるのが感じられた。 |
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