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釧路プリンスホテル Single Room |
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Kushiro Prince Hotel | 2010.11.18(木) |
北海道釧路市 | 哀-1 |
ARCHIVES ・ 1992 |
世界三大夕景を見逃して 帯広から釧路まで、列車の車窓から望む景観は心に迫るものがあった。北国をひた走る特急列車の速度はあんがい速く、もっとじっくりと眺めたいのに流れていってしまうという、そのつれないほどのスピード感が、すべてを心に焼き付けたいと思う気持ちを一層掻き立てたのかもしれない。 釧路の駅からプリンスホテルまでは、とぼとぼと歩いてみた。結構な荷物ではあったが、タクシーに乗るには近かったし、歩くなら今しかチャンスがなかったからである。だが、駅からホテルまでの道すがら見たものは、たいして面白くなかった。 そして、ホテルもまた面白みに欠けるものだった。プリンスホテルは、どこにあってもプリンスホテルである。その建物、構造、においに至るまで、プリンスであって、他の何ものでもないのだ。それだけ強烈なカラーを持っているわけだが、初めて一晩を過ごす街で、知り尽くした宿に泊まるのは退屈なものだ。 釧路の高級ホテルといえば、全日空ホテル、ラビスタ釧路川と、このプリンスの名があがるだろう。外観はそれにふさわしいと言えなくもないし、規模や設備もそれなりに整っているのだが、ランドマークとして輝いているという感じは受けなかった。 ロビーは大理石の床とオーロラを思わせるようなダウンライトが造り出す開放的な空間。せっかく十分なスペースを取っているのに、壁面に余計な掲示物やチラシを並べるなど、公共施設に通じるようなセンスが見え隠れする。 フロントカウンターはロビー中央のわかりやすい位置にあり、その奥には土産物を扱うショップがある。フロント前にはロビーラウンジ「摩周」がある他、フリーのソファも配されており、待ち合わせやくつろぎに利用できる。 エレベータは4基あり、すべてがシースルー。客室は6階から16階までにあって、15階と16階は一応ワンランク上のアメニティを用意しているようだが、ラックレートに違いはない模様。だがプランでは、6階から9階までの低層、10階から14階までのスタンダード、15階と16階の高層とで、1名1,000円ずつの差を設けている。 客室は約15平米のシングル、約23平米のツイン・ダブル、約48平米のスイートで構成される。スイートは各フロアの最も奥のコーナーに位置し、2面の窓が特長らしい。ツインはすべて海側にあり、シングルは街側だ。 ホテルに到着したのはチェックインタイム前だったが、すぐに部屋に入ることができた。まだ廊下では盛大に清掃作業が行われており、ワゴンや洗濯物で足の踏み場が限られている中を部屋へと向かった。 シングルルームは、15平米という割には広く感じられる。カーテンが閉じられたまっくらな部屋に入り、まずは電源スイッチを手探りで見つけ、すぐにカーテンを開けてみた。期待したのとは異なる風景だが、大きな窓は開放感をもたらす。 ブルーのカーペットに、オレンジを基調としたベッドスプレッドという奇妙な趣味に、それ単体ならまずまずに思える幾何学模様生地を使った椅子が加わり、なんとも不思議な組み合わせのインテリア。これもまたプリンスならではである。 ベッドは110センチ幅で、マットレスも寝具も時代遅れで、快適とは程遠いのだが、それも昭和に花開いたプリンス全盛期の思い出を呼び起こす点では役に立つ。 デスクは小ぶりながらも独立型で、窓を向いて設置されている。デスクトップにはささやかな折鶴が置かれ、釧路が丹頂鶴と縁が深いことを思い起こさせる。添えられた椅子は背もたれが高く、あんがい座り心地がいい。 デスクの脇にはテレビ台が置かれ、プリンス名物の白いテレビが載っている。テレビ上の番組表やプリンスカードの案内もまたプリンスらしい。小さな加湿器も常備されている。 ナイトテーブルは、2段の引き出しと金庫付き。一番大切なものを常に枕元で管理できるのは安心だ。 入口脇には折戸のクローゼットと、ティーサーバー、空の冷蔵庫を備えている。コンパクトな空間を有効に使うアイデアは、さすがプリンスである。 バスルームは装飾性を排除したシンプルなユニット式。壁掛けのホース式ドライヤーが時代を感じさせるが、別にイオンドライヤーを用意してある。 床は大理石。シャンプー類はポーラのアロマエッセシリーズ。シングルルームにしては、大型のバスタブを設置しているので、ゆっくりと湯に浸かることができた。 レストランは一応和洋中が揃っている。最上階には「トップオブクシロ」があり、ワンフロアをダイナミックに使った造りが印象的。両脇の大きな窓からは、釧路市街地を一望する。ランチタイムには、ブッフェが人気だ。 同じ「トップオブクシロ」も、夜になるとラウンジコーナーがオープンし、シックなバーラウンジとなる。レストランの方も、昼とは雰囲気が異なり、ぐっと落ち着いたムードだ。 朝食も同じレストランで提供され、ホテルのオールデイダイニングとして、利用頻度の高い店である。 釧路に行ったら夕陽を眺めろと言われてきたが、結局タイミングを逃してしまった。部屋から眺めるにはシングルルームではなくツイン以上の部屋を取る必要があり、夕景の名所となっている幣舞橋へ行くにも、防寒対策が欠かせない。いつか季節のいい時に再訪したいものだ。 |
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